【薬学研究科】博士学位論文公聴会で発表!

2月13日(月)、番匠谷研吾非常勤助手(薬学研究科4年生)と本田真知子助手の2名が博士学位論文公聴会で研究内容を発表しました。このことについて、薬学研究科長の町支教授からの報告を薬学部学長室ブログメンバーの五郎丸が投稿します。

 


初めに、大学院博士課程4年生の番匠谷研吾非常勤助手が発表しました。

多くの聴衆と発表中の番匠谷研吾非常勤助手

発表は「抗真菌薬のアムホテリシンB(AmB)の既存の製剤には、副作用やコストの面で問題がある点に注目し、これらの問題点を改善すべく、機能性高分子であるヒアルロン酸及びスチレン-マレイン酸コポリマーを用いた新規ナノ製剤について検討し、粘膜付着性や血中滞留性といった治療に適した機能を賦与した低コストの製剤を調製することが可能となった。本研究で得られた知見は、真菌症治療における安全かつ効果的な製剤を開発する上で、有用な基礎資料になるものと期待される。」という内容でした。

質疑応答中の様子

番匠谷非常勤助手は6年制薬学部を卒業後、臨床現場で問題となっていることを解決するべく大学院で学びたいと考え、田中哲郎教授の指導の下、真菌症治療における安全かつ効果的な製剤開発を目指した研究を4年間行いました。修了後は、本学教員として採用され、教育・研究を通して学生指導を行っていくことになっています。

次に、卒業生の本田真知子助手が発表しました。

発表中の本田真知子助手

発表は「患者数が増加している炎症性疾患のマウスモデルに対する細胞外マトリックスの機能を解析した研究で、がんや自己免疫疾患、線維化など様々な難治性疾患に関与している細胞間隙に存在する細胞外マトリックスと、その受容体であるインテグリン間の相互作用機構の解明を目的としている。その難治性疾患である非アルコール性脂肪性肝炎や関節リウマチ、多発性硬化症の症状悪化にオステオポンチンやネフロネクチンが関与することを初めて見出した報告であり、この成果はこれら疾患の新たな治療薬研究に応用されることが期待できる。」という内容でした。

質疑応答中の様子

本田助手は本学薬学部を卒業後、助手として実習や課題研究など学生の指導をする傍ら、今重之教授の指導の下、自身の研究成果を積み重ねていき、今年度その業績をまとめることができ、学位取得に挑戦しました。今後のさらなる発展を期待します。

公聴会では薬学部の教員をはじめ、学部学生も興味深々の様子で聴き入っていました。質疑応答では、教員を相手に堂々とした受け答えで活発な討論が展開され、活気に満ちた有意義な公聴会でした。

 

 

学長から一言:薬学研究科の博士論文の公聴会で研究発表を行った番匠谷研吾助手と本田真知子助手、お疲れ様でした。研究概要を読んでも専門的すぎて素人の理解の範囲を超えていますが、私たちの病気の治療に役立つ薬剤の開発にとって重要な意義のある結果ということだけは十分に分かります。若い研究者が本学で着実に伸びているのは実に嬉しく、頼もしい限りです。