【社会連携センター】川崎医科大学の学術集会で発表!

第15回川﨑医科大学の学術集会が、7月27日(土)に医学教育の為の現代医学教育博物館で開催されました。福山大学はこの学術集会に2015年から参加しています。この発表会の様子について、学長室ブログメンバーで社会連携センター中村が報告します。

 

新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが、季節性インフルエンザと同じ5類に移行したとはいえ、コロナ禍の第11波の到来が心配される中での開催でした。

学術集会の抄録集には口頭発表が11題、ポスター発表が56題、プロジェクト研究が69題ほど記載されています。今回の学術集会に福山大学からは薬学部薬学科の3名が参加しました。井上裕文教授は口頭発表とポスター発表で参加し、中村徹也講師喜屋武龍二助教はポスター発表で参加しました。その他に参加した大学は岡山県立大学、就実大学及び川崎医療福祉大学の3大学でした。

学術集会は、川崎医科大学の砂田学長の挨拶で始まり、口頭発表とポスターセッションが行われました。11テーマの口頭発表は3セッションに分けられていて、セッション1は4名、セッション2は4名、セッション3は3名でした。セッション1とセッション2の間は10分間の休憩が挟まれています。セッション2が終わると、フロアーを変えてポスター発表が行われました。ポスター発表後に再び、口頭発表のセッション3が行われました。

福山大学の井上教授はセッション2で発表しました。井上裕文教授の発表題目は、「エルネオパNF 1号輸液に混注したオクトレオチドの 安定性に関する検討」でした。

食事により十分な栄養が取れない患者に投与される高カロリー輸液には患者の病状を改善するための薬剤が混合されることがあります。しかし、混合された薬剤の安定性についての情報はほとんどありません。そこで高カロリー輸液であるエルネオパNF1号輸液にがんの消化管閉塞に伴う消化器症状を改善するオクトレオチド酢酸塩製剤を混合したときの安定性についての発表しました。

中村徹也講師の発表題目は、「葉酸受容体を標的とするパクリタキセル放出メソ ポーラスナノ粒子の合成と評価」でした。

抗癌剤は治療を必要とする目的部位に届けられると治療効果が生み出されますが、望ましくない部位に届いても攻撃してしまい副作用を引き起こします。このように抗癌剤は正常な細胞まで攻撃してしまうので、癌細胞に多く存在している受容体を標的するように工夫をすることで、癌細胞を積極的に攻撃するナノ粒子製剤を開発しました。このような癌細胞に抗癌剤を効率的に送達する研究について発表しました。

喜屋武龍二助教の発表題目は、「アセタール型リゾリン脂質の効率的合成を指向した1,2-ジオールのtrans 選択的アセタール化反応の開発」でした。以下は喜屋武助教からの発表内容の説明です。

脂質は生体膜を構成する主成分として有名ですが、実は生体内での情報伝達も担っている重要な分子です。これまでに私が所属する研究室では、創傷治癒効果を持つ新たなリン脂質を見出しています。本脂質の化学合成では現在、異なる立体化学を持った化合物が混ざってしまい、これらが分離困難であることが本脂質の生命科学研究を進める上でのネックになっていました。そこで私たちは、これら脂質のうち一方の立体化学を持つものだけを選択的に合成できる新規反応を開発し、その成果を本学会で発表しました。

今回、発表した教員の集合写真です。皆さん、お疲れ様でした。

福山大学社会連携センターは、これからも他大学との研究交流や共同研究の更なる進展を目指して活動してまいります。お世話になった川崎医科大学学術集会での発表によって、研究交流の深化、新たな研究アイデアの発見、共同研究締結へ繋がればと思っています。今後とも、引き続きよろしくお願い申し上げます。

 

学長から一言:川崎医科大学主催の学術集会で日頃の研究成果を発表した薬学部の井上裕文教授、中村徹也講師、喜屋武龍二助教、お疲れ様でした。研究の内容について、門外漢には大まかなイメージしか描けませんが、きっと人の健康やウェルビーイングにとって重要な意味をもつ成果なのだろうと理解しました。