【海洋生物科学科】三菱電機のアマモ保全イベントに協力

10月21日(土)に因島で、三菱電機株式会社福山製作所による「里山保全活動(アマモ保全活動)、みつびしでんき野外教室」が実施されました。この催しには海洋生物科学科の教員・学生約20名が協力しました。この会の様子を、ブログメンバーの山岸が報告します。

当日朝、因島キャンパスに、参加者である三菱電機の社員および家族の皆さんが集合し、開会式が行われました。司会進行は、この会の立案段階からずっと準備を進めてきた三菱電機の横谷さんです。

福山大学からは、因島でアマモ再生研究を行っている海洋生物科学科の教授の私、山岸幸正がアマモ保全活動に協力したほか、学芸員養成課程を担当する本学科の真田誠至講師、水上雅晴講師、泉貴人講師および学芸員養成課程で学ぶ本学科4年生約20名が、野外教室や水族館見学に協力しました。

開会式の様子。

次に、今日のメインイベントの1つである、アマモの種まきの準備をしました。アマモが種をつける時期は6月~7月頃です。種はあらかじめ山岸の研究室で、因島のアマモから採取して海水中で保存しておいたものを用意しました。

種まきに使用したアマモの種。

今回種まきに用いた方法は、環境に負荷の小さいお米粘土(米粉で作られた粘土)にアマモの種を埋め込み、粘土ごと海底に埋めるというものです。粘土に埋めることで種が波で流されるのを防ぐことや、この粘土は自然に分解されるので、最終的にアマモだけを海底に残せることが利点です。参加者は、星形やハート形など、思い思いの形にした粘土に、種を埋め込んでいきました。

親子で一緒に粘土に種を埋めていきます。

大人の皆さんも、心をこめて種を埋めました。

それでは、海岸へ移動です。この日はとても穏やかな天候と海でした。アマモの種まきを行う参加者は、胴付長靴をはいて、アマモ場付近の海岸に集合しました。

アマモ場付近の海岸。

皆でアマモの種を埋めた粘土。

私(山岸)がアマモ再生実験を行っている海岸で、種をつけた粘土を砂底に埋めていきました。アマモ場の海底は粘土質で水がすぐに濁るため、ほぼ手探りの状態でしたが、協力して手際よく作業を行いました。うまくいけば、気温の下がる冬に種が発芽して、1月~2月頃にアマモが生えてくるはずです。

うまく種が芽生えるように願いつつ、粘土を埋めました。

この季節はアマモが夏枯れしており、参加者の皆さんに天然のアマモを見てもらうことはできませんでしたが、アマモの繁殖方法や役割について解説を行いました。

二酸化炭素を吸収して炭素を蓄積するアマモを増やすことは、カーボンニュートラルへの貢献や、SDGsの「気候変動に具体的な対策を」、「海の豊かさを守ろう」にもつながるものです。

一方子供たちは、野外教室として海岸で生き物探しを行いました。網を持って海岸の水たまりをすくい、小さなカニなどをみつけては歓声をあげていました。生き物の名前や探し方のコツは、学生たちが教えました。

夢中で生き物探しをする子供たち。

楽しい時間は過ぎ、閉会の時間になりました。海岸で閉会式が行われました。

閉会式の様子。

子供たちがみつけた生き物を見せてもらいました。皆からは「楽しかった!」の声が。

因島キャンパスに戻り、道具などを洗いかたづけた後は、マリンバイオセンター水族館の見学を行いました。学生が館内を案内し、水槽の生物の説明や、バックヤードの紹介などを行いました。

水族館の生き物たちに興味深々。

普段入ることのないバックヤードも案内しました。

こうして無事に会が終了しました。準備や運営にあたった関係者の皆さん、大変お疲れ様でした。

参加した皆さんが、海の環境への関心を高め、地域の自然を大切にする気持ちを育むことに役立つことができたならうれしいです。三菱電機福山製作所の皆さんとは、今後もなんらかの形で連携して地域貢献活動に取り組んでいけたらと思います。

 

学長から一言:本学の因島キャンパスで実施された三菱電機株式会社福山製作所による「里山保全活動(アマモ保全活動)」に内海生物資源研究所の皆さんが全面協力。アマモの繁殖を通じた海洋環境の保護とともに地域との連携という二重の使命を果たすことができたようで、喜ばしい限りです。活動に参加された皆さんは水族館をはじめとするマリンバイオセンターについての理解も深めて下さったことでしょう。