【社会連携センター】研究成果発表会を地場産センターで開催!

2023年度の福山大学研究成果発表会を備後地域地場産業振興センター(じばさんセンター)で開催しました。同センターは、商品開発、情報収集、人材育成、会議室、福祉共済事業などの幅広い機能を持ち、備後地域の活力づくり、産業の発展のための施設として1984年の開館ですが、今回は4階の大会議室(定員350名)をお借りしての発表会でした。その模様について、学長室ブログメンバーで社会連携センターの中村が報告します。

この発表会は福山大学社会連携センター主催で、共催は福山市、一般財団法人備後地域地場産業振興センター、ビジネス交流会:福山未来(福山バイオビジネス研究会、スマートビジネス研究会)です。また、広島県、備後圏域連携協議会、備後圏域の商工会議所及び商工会、公益財団法人ひろしま産業振興機構からご後援を頂きました。

研究成果発表会の通知のポスターは、前回に続き企画・文書課の吉田職員による作品です。研究成果発表会のテーマは、「地域課題の解決に向けた連携イノベーション」としました。

福山大学はブランディング戦略方針を2017年に策定しましたが、そこから生まれた福山大学ブランド研究「瀬戸内の里山・里海学」 に関わる研究テーマの成果が、発表全体の約1/3ほどを占めました。

研究成果発表会は、第一部の特別講演が2演題、第二部の研究成果ポスターセッションが52題という構成でした。

発表会全体の司会進行は社会連携センターの都祭弘幸センター長(建築学科・教授)が務めました。

まず大塚豊学長から、2015年度から始まった本研究成果発表会の経緯と新型コロナ感染症に対する発表会の対応、発表会のテーマと構成の説明、講演者の紹介、「瀬戸内の里山・里海学」の概要説明、福山大学の使命などに触れながら、開会の挨拶が行われました。

第一部の特別講演からご紹介します。

最初の講演者は、公益財団法人ひろしま産業振興機構福山支所長の鳥越直樹様であり、「備後地域のものづくりの歴史と未来」と題して講演を行って頂きました。ご講演内容は、次のようなものでした。

備後福山藩初代藩主である水野勝成による福山での功績の一つである干拓と芦田川を利用した綿花栽培から始まる備後絣(びんごかすり)とそれに由来する新市での繊維産業の発展、備後地域は砂鉄の産地であることによる鉄製品の生産、松永湾の遠浅を利用した塩田での塩づくりの最終工程である煮詰めに使用する油桐(アブラギリ)という木材を用いた下駄づくりの始まり、塩づくりから派生する農機具や工作機械の開発が福山地域の発展の源であること、大手企業であるシャープ(電子)、三菱電機(電気)などの進出による下請け企業の技術力の向上、これらの要素を原点とした分野別産業の更なる発展パターンの説明、オンリーワン企業及びナンバーワン企業が当地に多くなった背景、広島における将来に向けた産業発展の方向性、小丸会頭による福山商工会議所の再整備について話された後、福山大学への期待として、地域社会と有機的に連携しつつ、福山大学が核とする福山連携フォーラムによって、地域の課題の解決にいっそう貢献することが述べられました。

有意義なご講演ありがとうございました。

次の講演者は、本学の研究・社会連携担当学長補佐の仲嶋一教授(工学部スマートシステム学科)であり、「福山大学ブランド研究と産業」と題する講演でした。

講演内容は、今回発表する福山大学ブランド研究が、2017年度より進めている福山大学のブランディング戦略の一翼を担うもので、「瀬戸内の里山・里海学」を主要テーマとしている点についてでした。福山大学ブランディング戦略のねらいは、備後圏域の活性化、若者の定着、IターンやUターンの増加のために、地域の知の拠点、産業・経済活性化、大学としての独自色や魅力の樹立であり、備後地域の産学官民連携を推進し、地域の教育資源を最大限に活用して人間性を高め、地域を愛し、地域で活躍し、地域から国際社会につながる「未来創造人」を育成することです。また、福山は里山指数の高い備後圏域の中央に位置しており、瀬戸内海の中海に面した生物多様性のある地域という典型的な里山里海地域であることが述べられました。「瀬戸内の里山・里海学」のコンセプトの自然共生社会、生物多様性保全及び持続可能社会などについても説明されました。SDGsとカーボンニュートラル関連や政府指針であるSDGsアクションプラン優先課題8分野の内容は「瀬戸内の里山・里海学」に合致しています。さらに、福山大学はカーボンニュートラルを持続可能な社会の一つの側面と捉え、「グリーン&ブルー宣言〜瀬戸内の里山・里海から日本そして世界へ〜」を表明したこと、カーボンニュートラルを人材育成(未来創造人)の柱の一つとして展開し、「瀬戸内の里山・里海学」をさらに発展させることにも触れられました。

次に、第二部の研究成果ポスターセッションの様子を説明します。

今回の研究成果発表会では、5学部12学科及び5研究センター等から計52題の発表がありました。ポスターセッションは、備後地域地場産業振興センター4階の大会議室の中央に350名が聴講できるように並べてある長机の周りに、幅180cm高さ120cmの展示パネル20枚とホワイトボードを5台ほど並べて配置し、その展示パネルとホワイトボードの両面にポスターを掲示しました。

 

 

 

毎年、福山大学では教員の研究発表の一端を掲載数を絞った上で研究成果発表集を作成しています。また、全ての教員の助教以上の研究者情報一覧を冊子媒体として発行しています。この冊子の電子データを福山大学のホームページに掲載していますので、どうぞご覧になってください。

今回の2023年度研究成果発表会は、初めての会場となる備後地域地場産業振興センターで行いましたしたが、大きなトラブルもなく無事に終えることができました。研究成果発表会への参加者は外部聴講者も多く、約80名でした。備後地域地場産業振興センター様には大変お世話になりました。

これからも福山大学は、他大学や自治体、教育委員会、企業、地域、住民、学校・学生等との連携によりシーズとニーズのマッチングをさらに深化させ、大学の内部リソースの社会還元を推進していきます。社会連携センターは福山大学のワンストップとしての役割を果たしていきますので、今後とも皆様のより一層のご協力とご支援を、よろしくお願いいたします。

 

学長から一言:本学の各分野の教員が一堂に会して日頃の研究成果を発表しあう研究成果発表会が、コロナ禍の沈静化とともに、ようやく本格的に開催できるようになってきました。地域の各界からのご協力やご支援を受けて実施している本研究発表会が専任教員の日頃の研鑽の結果を通じて、本学と地域との連携を益々強めることに役立つことを願わずにはおれません。