【心理学科】後期ボランティア活動報告第3弾!(PACE福山支部が御調みくに幼稚園で防犯教室を実施)
春休みもボランティア活動を継続しているPACE(ペース)福山支部ですが、昨年末に幼稚園における防犯教室にチャレンジしていました! その様子について、心理学科の濱本有希助手からの報告をお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。
心理学科の濱本です。
PACE福山支部の学生が、2023年12月11日(月)に御調みくに幼稚園において、未就学児を対象とした防犯教室を行いました(PACE福山支部の過去の記事はこちら)。
PACE福山支部は、主に小学生を対象とした「地域安全マップ」の指導を行っています。地域安全マップは、半日かけて犯罪被害に遭わない能力(被害防止能力)を高めていくための教育プログラムになっていますが、今回の依頼は、幼稚園で防犯教室を実施してほしいというものでした。
学生指導員は、ひらがなも習っていない未就学児を対象として「地域安全マップ」作りを行うことは難しいと考えました。そこで、未就学児でも飽きずに最後まで楽しく参加でき、園児の被害防止能力をしっかり高められる体験型の講義ができるよう準備を行いました。
今回は、卒業論文の提出予定日が目前に迫っていたこともあり、2年生2人と、1年生3人が中心になって講義を行い、4年生がサポートするという形で実施することになり、多くの学生がはじめて講義やクイズを担当することになりました。
PACE福山支部としてははじめての未就学園児を対象とした講義だったため、事前の打ち合わせでは、副園長先生に普段講義で使う言葉の表現について、その言葉で伝わるのか、伝わりにくい・難しいものについてはどのような表現が良さそうかなど、多くの相談に乗っていただきました。
そのため、例えば、普段は「危険な場所」と表現しているところは、「あぶないところ」と表現するなど、全員で言葉の表現を徹底しました。練習の中では、何度も間違えて、メンバー同士で指摘しあう様子もたくさん見られました。おかげで本番では誰も言い間違えることがなく、しっかり練習した成果を実感することができました。
1.導入
<防犯教室の導入として、まずは挨拶をしている様子>
講義の冒頭では、いつものように全身真っ黒の服を着てサングラスとマスクをしている人が登場しました。園児に「不審者」を探すように言うと、みんながこの全身真っ黒な服を着たお姉さんを指さしました。そして、声をかけてみると、「防犯教室をしてみんなが安心して暮らせるようにするために来てくれた大学生」だということがわかるという寸法です。こうして、悪いことをしようとしているかどうかは、見ただけではわからないということを実感させ、防犯には見ただけでわかる「場所」に注目することが大切だと理解してもらうという流れで講義がはじまりました。
<全身真っ黒な服を着た大学生に質問をする様子>
2.物理的な安全・危険を判断する講義
小学校で行っている講義では、イラストを使って、その場所が「悪いことをしようとしている人」から「入りやすい」かどうか、「地域の人」から「見えにくい」かどうかをキーワードを使いながら判断してもらっています。しかし、今回はイラストだけでなく、実際に壁やフェンスを作ったり、「悪いことをしようとしている人」や「地域の人」役の学生が登場して、実際にその場所でどのようなことが起こるのかを想像しやすくするよう工夫しました。
<地域の人や悪いことをしようとする人が登場している様子>
3.心理的な安全・危険を判断する講義
防犯教育では、物理的な視点と心理的な視点から判断できる力をつけることがとても重要になります。実際に、大学生が勉強する場合でも、物理的なものは比較的理解しやすいのですが、心理的な要素は少し難しいところがあるように感じます。
例えば、「ゴミが散乱した荒れた公園」を考えてみてください。その場所がブロック塀や生い茂った植え込みではなくフェンスで囲まれているような場所であれば、物理的には視認性が高く「地域の人」から「見えやすい」場所だといえるかもしれません。しかし、「ゴミが散乱していても片づける人がいない」ということ、「荒れていても管理する人がいない」ということは、そこに住む「地域の人」の当事者意識が低く、心理的にはその場所が「見えにくい」場所だということを指しています。
今回は対象が未就学児ということで、心理的な要素まで含めて説明するかについて、とても迷いました。しかし、学生メンバーから「せっかく自分たちを呼んでくれたのだから、しっかり質の高い意味がある講義をやりたい!!」という強い熱意の声が上がり、心理的な視点についてもしっかり解説することになりました。
結果的に、いつもより寸劇の工程を増やしたり、実際に園児に登場してもらったりなど、少しでも理解しやすく、記憶に残りやすいように工夫しました。
<心理的に危険な場所ではどんなことが起こるのかを寸劇で伝える様子>
4.講義で学んだことを使って答えるクイズ
クイズでは、講義で見た寸劇の内容をきちんと理解できていないと答えられない問題を実施しました。しかし、園児たちは、イラストや写真を見せると、その場所でどんなことが起こるのか、想像することができました。そして、その場所が「どうして」安全・危険なのかをしっかり手を挙げて答えてくれました。
普段の地域安全マップ作りでは、実際に街歩きをして、実際の場所を見てその場所を判断するというワークをすることができます。しかし、今回は実際の街の様子を見に行くことができませんでした。そこで、学生が事前にこの付近を歩き、今回のクイズで使えそうな実例となる写真をたくさん撮ってきて、スライドに入れ込むことにしました。園児たちは、知っている場所の写真を見て、その場所がどうして安全なのか、地域の人が自分たちが安全に過ごすためにどんな工夫をしてくれているのかを考えられるようになり、わかりやすく解説することができました。
<イラストや写真を使ってのクイズ(左)や危険や安全の要素を解説する様子>
5.危険な場所の歩き方
危険な場所がわかったら、「①危険な場所には近づかない」こと、「②危険な場所には1人で行かない」こと、「③1人で行く時は、気を付けて行く」ことが重要です。
未就学児なので、まだ1人で危険な場所に行く機会は少ないかもしれませんが、例えば1年生になったら、1人で歩いて登下校をすることも出てくるかもしれません。そのため、「気を付けて歩く」ということがどういうことなのかを体験してみる時間を設けることにしました。
まずは、大学生が、周りを気にしながら気を付けて歩くお手本を披露しました。それを見て、園児たちは大喜びです。大学生が何人かお手本を見せた後、「〇〇先生もできそう!」「〇〇先生もやってほしい!」ということで、幼稚園の先生方にも挑戦していただきました。大学生もびっくりするほど上手なお手本で、園児たちも自分たちもやってみたくてソワソワし出しました。
<危険な場所の歩き方に挑戦してくれた幼稚園の先生方の様子>
6.グループで危険な場所の歩き方教室
そこで最後に、園児たち皆に危険な場所の歩き方を練習をしてもらいました。園児たちは、3人ずつのグループに分かれ、その班に大学生が1人ずつ付きました。しっかり周りを見ながら歩くことで、それを見ている悪いことをしようとしている人に「私はしっかり周りを見ています」というメッセージを伝えるつもりで歩きます。そうすることで、目に見えない心理的なバリアができるので、悪いことをしている人からは、「近づきにくい」「入りにくい」ということになり、「安全」になります。
<小グループに分かれて園児に危険な場所の歩き方を教える学生の様子>
7.危険な場所の歩き方発表会
それぞれのグループで練習した危険な場所の歩き方について、グループごとに前に出て披露してもらいました。園児たちが周りをキョロキョロ見ながら歩いていると、悪いことをしようと考えている大学生が登場します。しかし、しっかり周りを見ているので、すぐに気が付いて逃げることができました。
<グループごとに練習した危険な場所の歩き方を披露する園児>
最後に、集合写真を撮りました。講義もクイズも寸劇も大盛り上がりで、大学生も大満足でした。
<集合写真>
後日、御調みくに幼稚園から、とても可愛いお礼の色紙が届きました。
<幼稚園から届いた色紙>
御調みくに幼稚園での防犯教室に参加したPACE福山支部のメンバーの感想をいくつか紹介します。
- 谷邊彩音さん(2年生・岡山龍谷高校出身)
今回私は、PACE初の幼稚園での防犯教室で講義を担当することになりました。幼稚園児に向けての講義の前例が無かった為、言葉は勿論、学ぶことに加え、楽しんで貰えるよう一から試行錯誤し考えました。本番は、緊張と不安で頭がいっぱいでしたが、講義を行っていくうちに園児も興味津々で参加してくれました!また、言葉での説明だけでなく、寸劇を取り入れ園児も参加する形で行いました。話を聞くだけでなく、実際に参加して貰うことでより理解しやすい講義になったのではないかと思います。今回の御調みくに幼稚園での経験を通し、これからのPACEやその他のボランティア活動での講義のスキルが上がるのではないかと思います。PACEでは、今現在小学生と幼稚園での活動が主ですが、今回の活動で、より幅広い年代の方にも身を守る為に防犯について知って頂きたいと思いました!
- 中原晴菜さん(2年生・福山暁の星女子高校出身)
小学生よりもさらに語彙力や理解する力が未熟な幼稚園の子どもたちに向けて、どのように講義を進めたら飽きずに楽しく学んでくれるのか、そして学んだことを覚えてくれるのかということを考えることが特に大変だったように感じます。講義の中にも寸劇を取り入れて説明したので、手を挙げて答えてくれたり、指さして反応してくれたりした時は「分かってくれた!良かった!」という思いで嬉しかったです。地域安全マップの防犯の考え方は年代を問わず知って欲しいことであるので、今回初めて幼稚園の子どもたちへ向けて講義をしたことは、PACE福山支部の大きな一歩となったのではないかなと思います。今後もこの勢いで頑張って活動していきたいと思います!
今回も、とても学びのあるイベントになったのではないでしょうか。この経験を活かして、これからも犯罪の予防に貢献していってほしいと思います。参加・協力してくださった御調みくに幼稚園の皆様、本当にありがとうございました。今後も、PACE福山支部の活躍にご期待ください!!
普段対象としている小学生よりずっと小さい未就学児を対象とした講義の初挑戦でした。工夫と練習を重ね、幼稚園児も心から楽しめる講義ができたことは、とても素晴らしいことだと思います。ご協力くださった御調みくに幼稚園の先生方にも心から御礼申し上げます。
来年度はどんな挑戦ができるかなと、今からワクワクしています。乞うご期待です!
学長から一言:心理学科のボランティア活動グループのPACE(ペース)福山支部が幼稚園で防犯教室を開催。子ども達の発達段階を考慮したクイズや寸劇など盛り沢山の内容づくりで工夫を凝らしたことが分かります。ちょこんと行儀良く正座して大学生のお兄さん、お姉さんの話を聞く園児のかわいらしさが印象的です。今回もPACEの皆さんは役に立つ良い仕事をしました。