【薬学部】見て学べる動画付き書籍を出版!

見て学べる動画付き書籍である『第2版 薬剤師が実践するフィジカルアセスメント~健康サポートに必要な知識と技能~』の出版について、杉原教授より報告がありましたので、薬学部ブロガーY.Sが紹介します。

 


より高度な知識とスキルを修得するための薬剤師教育が目指され、2006年に薬学部は6年制に年限が延長されました。その教育には大学教員と地域の薬剤師との連携が必須との考えから、2011年に広島びんごフィジカルアセスメント研究会を立ち上げました。研究会発足時の目的は、それまでの薬剤師教育にはなかったフィジカルアセスメントの技能とアセスメントにより得られたデータを有効利用するための知識の修得であり、勉強会を重ねました。

その当時は、まだ薬学生がフィジカルアセスメントを修得するための教科書は少なく、あったとしても概論のような内容でした。そこで、研究会は薬学生のための教科書として『薬剤師が実践するフィジカルアセスメント~健康サポートに必要な知識と技能~』の初版を2015年に、そして2018年に改訂版を出版しました。執筆や編集は、研究会に所属している本学薬学部教員はもとより、臨床現場で薬剤師の業務に携わっている研究会のメンバーが担当し、監修は本学薬学部の非常勤講師である数野医師に依頼しました。

その後、薬剤師の職域が広がると共に、地域住民のセルフメディケーションや在宅医療、薬物療法に携わる上で薬剤師自身によるアセスメントは益々重要になってきました。そこで、その現状を踏まえて、本年4月に第2版を出版することになりました。第2版においても大学教員と地域の薬剤師の総勢20名で執筆を担当しました。

大変お世話になった出版社の担当者 亀山裕幸氏、編集担当、杉原、猿橋准教授、小嶋教授(左から)

 第2版に掲載したアセスメント項目や症例は薬剤師として働いている研究会のメンバーからの提案を受けて構成を練り、新たに心電図や嚥下能力、フレイルチェックなどの項目や、副作用への対応が重要なハイリスク薬についての章を追加しました。さらに、第2版の特徴は、改訂版では実現できなかった動画の視聴をQRコードの添付により可能にしたことです。「百聞は一見にしかず」の通り、説明文以上に動画による学修は技能の修得を大きくサポートするものと考えられます。また、初版ならびに改訂版では、教科書に指定することから低価格に抑えるためにカラーでの掲載を泣く泣く断念した検査薬の色調変化なども、第2版ではQRコードを通してカラーで提示することができました。

第2版は、薬学部生の教科書としてだけでなく、技能の修得を目指す薬剤師の方々にも有用な書籍となることを願っています。第2版は、著者の皆さまの惜しみないご尽力と出版社の亀山氏による粘り強いサポートにより出版に漕ぎつけることができました。最後になりましたが、亀山氏、ならびに執筆を担当してくださいました研究会の方々に御礼申し上げます。

 広島びんごフィジカルアセスメント研究会 代表
 薬学部教授 杉原成美

 

学長から一言:問診や視診、触診、打診、聴診を用いた全身の状態の系統的査定を意味する「フィジカルアセスメント」。薬剤師の視点に立った同分野の専門書が無かった中で、本学薬学部の専任・非常勤教員と地域の薬剤師の皆さんが協力して研究会を重ねて作り上げた書物が増刷や改訂の後、動画視聴も可能にするなど装いを新たに第二版として刊行とは、まことに素晴らしい!薬剤師教育の新たな地平を拓くものでしょう。