【海洋生物科学科】養殖シロギス「びんごの姫」が水族館の舞台に登場!!

兵庫県に在る神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)では、海洋生物科学科を卒業した礒部雄太さんが学芸員として頑張っています。その礒部さんとの繋がりが、福山大学の養殖シロギスブランド「びんごの姫」の展示へと展開しました。このことについて、礒部さんの卒業研究を指導したアクアリウム科学研究室の水上講師と、同学科学長室ブログメンバーの阪本がお知らせします。

 


神戸市立須磨海浜水族園

スマスイ学芸員の礒部雄太さんは本学在学中に学芸員の資格を取得し、卒業後は株式会社グランビスタホテル&リゾートに入社、系列の鴨川シーワールド(千葉県)での勤務経験を経て、2020年3月からはスマスイの動物展示課で主に魚類の担当です。

「びんごの姫」の誕生

海洋生物科学科沿岸資源培養学研究室(有瀧真人教授・太田健吾教授)では、2015年から地域産業、特に水産業の活性化を目的にこれまで養殖の対象となっていなかったシロギスを取り上げ、地域の企業と連携して効率的な生産技術の開発に取り組んできました。さらに、2023年秋からは養殖されたものが「びんごの姫」のブランド名で、広く市場に出荷されることになっています。

福山大学のシロギスブランド「びんごの姫」

福山大学因島キャンパスの養殖施設

シロギスは釣りの対象としてよく知られ、天ぷらや塩焼きなどで楽しむ機会も多い魚です。皆さんは実際にその泳ぐ姿をご覧になったことはありますか? 本種は「海の女王」呼ばれるほど美しい姿をした魚ですが、繊細かつ神経質なためなかなか生きた姿を目にすることができません。でも、そんなシロギスを神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)の水槽の中でご覧いただけます。

企画展「フィッシングスマスイ~準備とマナーで楽しい釣行~」

現在、2024年春からのリニューアルオープンに向けた準備が進められているスマスイでは、2023年3月11日(土)から4月9日(日)の間、2階 企画展ブースにて「フィッシングスマスイ~準備とマナーで楽しい釣行~」が開催されています。カサゴやクロメバルなど、釣りの対象魚として有名な魚たちが展示されていますが、その中で華麗に泳ぐシロギスはまさに、福山大学の因島キャンパスで養殖された「びんごの姫」です。今回の展示は、企画の段階から礒部さんより相談を受け、福山大学シロギスを寄贈することになりました。

シロギスは漁獲時の網擦れや針傷などにも弱く、状態の良い型の揃った立派な個体を集めるのは極めて困難です。また、水槽に入れても人影や物音に驚いて壁面に衝突するなど、飼育中のトラブルも見られる魚ですが、養殖されたシロギスは飼育環境にも慣れており、水族館の展示にも適しています。

養殖水槽からシロギスを大切に取り上げる太田教授と礒部さん

車に乗せた輸送用タンクの中でも落ち着いた様子

スマスイの展示水槽にもすぐに慣れて、餌も食べ始めました

水槽の中を泳ぐ「びんごの姫」

今回寄贈された20個体のシロギスはすべて無事にスマスイへ到着し、一旦バックヤードの水槽内で健康状態を確認したのちに、一部が展示水槽にお目見えしています。

展示水槽と礒部さん

企画展示終了後も、寄贈したシロギスはそのままスマスイで飼育展示されることになっています。神戸市立須磨海浜水族園(スマスイ)をお訪ねになった際は、ぜひ水槽で泳ぐシロギス「びんごの姫」の美しい姿をご覧ください。

 

学長から一言:海洋生物科学科が開発に成功し、大型のテッポウギスと呼ばれるまでに育てる「完全養殖技術」で大きく元気に育ち、「びんごの姫」のブランド名も美しいシロギスたちが須磨海浜水族園の水槽を悠々と泳ぐ姿を想像しています。同園の学芸員として活躍する卒業生の礒部雄太さん、福大の研究成果を世間に大いに広めてください。