【生命栄養科学科】令和4年度地産地消・尾道市食材PR活動報告~しまなみビーチフェス参加から尾道市長表敬訪問まで~

生命栄養科学科は、SDGsの達成に貢献するために、人・社会・地域・環境に配慮した「エシカル消費」につながる、地域食材の地産地消を推進する啓発活動を行っています。栄養教育研究室は、広島地域食材PR促進事業(ひろしま地産地消推進協議会主催)に参加し、広島県の地域産物を活用したレシピ開発並びにPR活動を継続的に実施しています。このことについて、生命栄養科学科の山本助手より西ゼミにおける令和4年度の活動を報告します(投稿は学長室ブログメンバーの石井)。

 


福山大学は、福山市と尾道市にまたがる広い校地を有しています。そこで、今年度は尾道市の3つの食材を取り上げて、その魅力を発信することにしました。活動成果を報告するために、尾道市の平谷祐宏市長へも表敬訪問を行いました。

 

◆その一:新しい魅力食材「しまなみリーフ」~因島を守る社長の心意気~

西ゼミの学生は、岡本社長を訪ねて、しまなみリーフの栽培の話を伺いました

「しまなみリーフ」は、尾道市因島でしか栽培されていない、特別に栄養価の高い葉物野菜です!

鉄工業が盛んな因島で、主に船体ブロック製作の鉄工会社を経営されている株式会社岡本製作所の岡本社長は、高齢化によって因島の農業の継続が困難となりつつあることを憂慮して、自社に農業部門を立ち上げて、付加価値の高い「しまなみリーフ」の無農薬栽培を始められました。私たちは、その志に共感し、「しまなみリーフ」のレシピ開発とPR活動を行うこととしました。

しまなみリーフは、見た目はフリルが優雅なレタスのようで、生食では水菜のような爽やかな辛みが楽しめる美味しさです。加熱すれば、ほうれん草のような活用範囲の広い万能野菜です。栄養価は、ほうれん草やケールより高ビタミン・高ミネラルの優れもので、管理栄養士を目指す本学科の学生にとっては放っておけない高栄養の注目野菜です。

レシピ開発では、まずはこの新しい野菜を知ってもらうために、奇をてらわず、サラダやお浸し、すき焼きなど、いつもの料理に活用してもらうことを目指しました。

しまなみリーフ推し!     しまなみリーフの肉巻き   リーフのすき焼き    リーフのジェノベーゼ

さて、2022年7月にはコロナ禍による中断を経て、2年ぶりに因島で「しまなみビーチフェス2022」が開催されました。祭りを盛り上げて地域に活気を取り戻したいとの岡本社長からのお誘いで、私たちも参加させていただき、しまなみリーフをたっぷり使ったオリジナル「しまなみリーフバーガー」を300食提供しました。

結果は大好評で完売しました。嬉しくて、暑さも疲れも潮風に吹かれて飛んでいきました。また、利益の全てを国連UNHCR協会を通じてウクライナ支援に寄附しました。

美味しい「しまなみリーフバーガー」を召し上がれ!因島しまなみビーチフェスにて

 

◆その二:村上水軍からの贈り物?! 因島の宝 「因島 はっさく」

「はっさく」は、尾道市因島が発祥の柑橘です。その歴史は室町時代に遡るそうで、村上水軍が収集した果実が起源とも言われています。みずみずしく、爽やかな酸味とほんのりとした苦みが愛される瀬戸内を代表する春一番の果物です。

私たちは、はっさくの販路拡大に貢献された田中清兵衛氏のご子息の田中豊さんから、因島営農センターにて、はっさく栽培の現状について伺いました。最近は、はっさくの人気が下がり気味で、高齢化で生産量も低下しているという課題を知り、因島の宝物「はっさく」の魅力を多くの人へ発信するように、私たちも協力したいと思いました。

レシピ開発では、デザートから料理まで爽やかな酸味を生かして考案しました。

左からはっさくパイ、はっさくクレープ、ポークソテーはっさくソース添え、はっさくワインゼリー

 

「因島はっさく」をもっとPRするために、 2022年10月に開催された大学の「三蔵祭」で、「はっさくのワインゼリー」を調理して、来場の皆さんに試食いただきました。

10月にはっさく?って驚きませんか!

このはっさくは、農家の藤川恭子さんから頂戴しました。房どりで果肉だけにするため、一房一房を丁寧に手剥きして、冷凍保存されていたもので、解凍してそのまま利用できます。そんな貴重なはっさくを使用したワインゼリーは、ワインの渋みとはっさくの苦みがマッチした大人の味です。

三蔵祭ではっさくワインゼリーを無料でご試食いただきました

 

◆その三:尾道の穏やかな里海育ち ふっくら美人な「尾道の真鯛」

尾道は漁業も盛んです。「尾道の真鯛」はご存じでしょうか?瀬戸内海の穏やかな海育ちで大丈夫って?ご心配なく、ふっくら美味しいのだと尾道漁業協同組合長の藤川伸一郎さんからお話を伺いました。尾道の真鯛は、体が丸く厚みがある、そのため頭が小さく見える独特のプロポーションです。脂がのって身が柔らかく美味しいことから、関西の高級スーパーマーケットにも並ぶ高級魚だと知りました。尾道市の漁業は、後継者不足や漁獲量の減少など、課題のある中で「アコウ」の稚魚の放流など、多くの漁業者や関係者の皆様の努力によって良質な鮮魚を市民へ届け続けてくださっていることを学びました。漁獲量が年々減少傾向にある中で、鯛の漁獲は維持されているそうで、少し安堵しました。JA「ええじゃん尾道店」や漁協の朝市で購入できることから、私たちも朝市に出かけ、名人の藤川組合長から真鯛を分けていただきました。

尾道市漁港にて。左:網に入った元気な真鯛 右:藤川組合長が手に持つ大きな真鯛をいただきました

最近は、残念ながら多くの若者の魚食離れが進み、肉食に傾倒しています。そこで、私たちは尾道の鯛の魅力に気づいてもらい、魚食を気軽に取り入れてもらうための若年層向けのレシピ開発を目指しました。

開発レシピ。左から鯛のカルパッチョ、鯛の手まり寿司、鯛カツバーガー、鯛お好み焼き

尾道の鯛をPRするために 「三蔵祭」では、とっても贅沢でボリューミーな「鯛カツサンド」、ふわふわ衣が絶品の「鯛のフリッター」を無料で提供しました。

大好評で、あっという間に無くなってしまいました!皆さんに喜んでいただけて嬉しい限りです。

 

◆尾道市食材のPR活動

レシピ開発にとどまらず、尾道市の食材の魅力をさらにPRするため、広報媒体の作成にも挑戦しました。食材ごとのPRリーフレットを作成し、JA直売所「ええじゃん尾道」で市民の皆様へ配付しました。

尾道食材のPRリーフレット

尾道食材のレシピ集・レシピカレンダー

作成したレシピ計26品をレシピ集としてまとめました。これらのレシピは、広島県のHP「ひろしま地産地消ファンクラブ」に今後掲載されますので、お楽しみに!

一方、レシピ集を掲載した卓上カレンダーも併せて作成しました。

 

◆活動報告のため、尾道市長へ表敬訪問しました!

2023年1月、これらの成果物を持参し、栄養教育研究室の学生5名と指導教員である西准教授、山本助手の7名で、尾道市の平谷祐宏市長を表敬訪問し、この1年の活動内容、開発した尾道食材のレシピ、PR媒体の作成などを報告しました。

平谷市長からは、現在、尾道市で取り組んでいる地産地消促進活動や尾道市の歴史など、お忙しい中にも関わらず時間をかけてじっくりお話くださいました。私たちへ激励のお言葉もいただき、大変嬉しく思いました。

この活動の中で、学生は調理だけでなく、地産地消に関する様々な調査や生産者との交流や考察を重ねてきました。これらの活動を通じて、SDGsの達成に向けての地産地消推進に何が課題であるか?大学生である自分たち、あるいは今後、管理栄養士として社会に出てからの自分たちに出来ることは何か? など、多くを学び、自分なりに向き合い考えることができました。

そして、今回の活動が、少しでも地産地消推進に役立つことを願っています。

最後になりましたが、平谷市長をはじめ、尾道市役所の皆様、生産者との交流会でお世話になりました尾道漁業協同組合、JA尾道、たからじまファームの皆様、試食会にご参加いただいた皆様、本活動に関わってくださったすべての方に感謝申し上げます。

ありがとうございました!

 

 

学長から一言:地元尾道の海と陸の食材、名産品を使い、生命栄養科学科の学生と教員が一緒になって新たなレシピを開発したばかりでなく、そのPR活動まで展開し、地産地消、ひいてはSDGs達成のために頑張りましたね。管理栄養士を目指す学生諸君には貴重な経験だったに違いありませんし、地元の皆様のご協力なしには為し得なかったことでしょう。お世話になった方々に私からも御礼を申し上げます。