【心理学科】デートDV予防プログラムを作成しました!
「LGBT」や「ジェンダーレス」など、何かと耳にする機会のある「ジェンダー」という言葉。皆さんはどのくらい意識したことがありますか?本日はそんなジェンダーについて学べる「ジェンダーの心理学」の講義について、講義を担当する赤澤淳子教授からの報告をお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。
心理学科の赤澤です。
福山大学の共通教育科目には、「ジェンダーの心理学」という科目があります。この科目は、心理学科の福留広大講師と私赤澤が担当しています。福留講師は前半の理論編を担当し、主として「ジェンダーの歴史的背景」、「ジェンダー・ステレオタイプ」、「性差別が維持されるメカニズム」などについて講義しています。そして、後半の応用編は赤澤が担当し、「ジェンダー・スキーマ」、「デートDV予防」、「物語とジェンダー」について、アクティブ・ラーニングも導入しながら参加型の授業を行っています。
今回は、1月11日(第13回授業)で行われた「デートDV予防プログラムを作ろう」という授業の内容を紹介します。
プログラムを作成する前に、学生たちは第11回、第12回の授業でデートDVの暴力の種類、生起要因、予防するため必要なこと等について事前学習をしました。それらの内容を踏まえ、まずは各自でデートDV予防プログラムを考えてくることを課題としました。その後、4~5名のグループに分かれ、各自の案を紹介してからグループごとにブラッシュアップした1つの予防プログラムを作成し、完成したプログラムを全体の前で発表するグループワークを行いました。プログラムの命名も各グループで工夫して考案してもらい、最後にどのプログラムが良かったか全員で投票しました。
ジェンダーの心理学の2022年度の受講生は59名でした。共通教育ということで様々な学科の学生が履修しており、グループもいくつかの学科の学生から構成され、日頃は話さないようなメンバーとの交流が可能となりました。コロナ感染症等の影響で欠席の学生も数名いましたが、8つのプログラムが完成しました。以下に投票で1位、2位となったプログラムを紹介します。
第1位「匿名お悩み掲示板」
第1位だった「匿名お悩み掲示板」というプログラムは、カフェに匿名のお悩み相談の掲示板を設置するアイディアです。その掲示板には、イラストのように匿名で悩みを書いて貼り付けることができます。そして、その悩みへの対応策も一緒に貼り付けることができるというものでした。
<「匿名お悩み掲示板」の発表の様子>
投票した学生からは、以下のようなコメントがありました。
- 「アナログという発想がすごく良いと思った。また、気軽に実行できるのも好印象」(情報工学科)
- 「カフェに掲示板を置くというのが斬新で面白い。ネット社会の現代で、物理的に掲示されているというのは現実味をより感じることができると思った。」(海洋生物科学科)
- 「匿名なので、人に相談出来ないようなことでも相談しやすく、誰でも見ることが可能なので、掲示板に相談した人以外にも悩んでいる人の助けになれて素晴らしいと感じた。」(心理学科)
第2位「恋愛検証モニタリング」
続いて、第2位の「恋愛検証モニタリング」というプログラムは、人気番組からヒントを得た行動観察をベースとしたアイディアです。プログラム参加者がデートDVの現場に遭遇した時にどのような対応をとるのか、また、その後どのように感じたのかを模擬実験的に行うという内容でした。
<「恋愛検証モニタリング」の発表の様子>
こちらも、投票した学生のコメントを紹介します。
- 「実際にあるテレビ番組からアイデアを引用してきたのが良いと思った。検証する側、される側の立場を替えて2回実施してみるのも面白そうだ。」(情報工学科)
- 「モニタリングのテレビ番組を視聴している時に、思わず声を出して共感するなど感情移入をしてしまうことがあるので、効果的ではないかと思った。」(機械システム工学科)
- 「第三者がどのように行動するべきかを実際の行動をみて学ぶことができるし、モニタリングは人気で、小さな子供から大人までを対象にできる。また、テレビを視聴した人がSNSで意見交換もできて良いと思った。」(生命栄養科学科)
今回紹介した2つ以外にも、様々な工夫があるプログラムが完成しました。デートDV予防プログラムを作成するという課題でしたが、実はこの課題を作成するという内容こそが、参加した学生たちのデートDV予防プログラムとなっています。このプログラム作成の授業は毎年行っていますが、参加した学生のプログラムのネーミングのセンスや興味深いプログラム内容に感心するとともに、私の授業の楽しみにもなっています。
魅力的かつ効果的に思えるデートDV予防プログラムができましたね。考えることを通じてデートDVを少しでも減らそうという、実践力の高い素敵な取り組みです。
心理学科では、プログラムや対策を考案することを通じて効果的な学習を促す授業がたくさんあります。例えば、産業・組織心理学や交通心理学もその一つ。他にも魅力的な授業がたくさん展開されていますので、またいつか紹介したいと思います。
学長から一言:「ジェンダーの心理学」という科目は、若者のハートをグッと捉えるさまざまな内容を含んだ構成のようです。通り一遍の講義ではなく、とくに第13回目の受講者自身の参加型の授業は、きっと自らの行動指針を作り上げ、デートDVの加害者にも被害者にもならないようにするのに役立つことと思います。