【健康栄養科学科】災害食試食会報告、パッククッキング教室の開催

健康栄養科学科では、食や健康にまつわる様々なテーマで研究活動を行っています。その中一つ「災害食の研究」について、学長室ブログ委員の石井がお知らせします。今回は災害食の試食体験会と料理教室のご報告です。

 

◆備蓄食試食体験会の報告&パッククッキング料理教室のご案内

 健康栄養科学科の吉田純子准教授の応用栄養学研究室は、災害時の食料や食支援について研究しています。備蓄食の試食体験会を学科内で行いましたので、その報告をいたします。

 近年、全国各地で地震、豪雨などの災害が頻発しています。農林水産省は、支援物資が3日以上届かないことを想定して「最低3日分~1週間分×人数分」の家庭備蓄が望ましいとしています。今回は、16種類の備蓄食をリストアップしました。その中には「SDGs・災害食大賞2023」で賞をとった備蓄食もあります。

こちらの写真は配膳しているところです。缶詰やレトルトパックから少量ずつお皿に盛りつけました。

 

わかめご飯やカレー、煮魚や羊羹までバラエティーに富んでいます。

今回の参加者は24名でした。試食した感想は、「味が濃い」という意見が多く、備蓄食は既製品のため塩分の調整が難しいので、食べ方の工夫が必要と思われました。硬さや食感についても個々の意見がありました。また、「温かかったので美味しかった」とか「温かかったらもっと美味しかったのでは」という意見があり、適温であることも大切だと分かりました。

実は、災害時に水やガス、電気などのライフラインが停止しても、カセットコンロがあれば残った食材とポリ袋を使い調理することができます!

パッククッキングは、農林水産省が推奨しており、普段の食品が使えること、加熱に使った水が汚れないので貴重な水を節約できる、袋に入れたまま食器によそえば食器が汚れない、などのメリットがあります。試作をしたので、その様子をご紹介します。

<トマトカレー>

鶏卵、牛乳、小麦を用いない食物アレルギー対応レシピを考えました。

材料は、無洗米、玉葱、ピーマン、じゃが芋、ウインナー(卵・乳製品・小麦不使用のもの)、カレー粉、砂糖、ウスターソース、にんにくチューブ、醤油、トマトジュースです。

ポリ袋に材料を全部入れ、よく揉んでなじませます。

ポリ袋の空気を抜き、袋の上の方で口を縛ります。

鍋底に耐熱皿を置き、水を沸騰させてポリ袋を入れます。

30分経ったら鍋から取り出します。

完成です!

1食当たりの栄養価は、エネルギー425kcal、たんぱく質9.4g、脂質8.7g、食物繊維4.5g、ビタミンB1 0.22mg、B2 0.10mg、ビタミンC 33mg、食塩相当量1.6gです。エネルギーの補給に役立ち、栄養素をバランスよく摂れます。災害時に不足しがちなビタミンCは、1日必要量の半分近く摂れます(災害時の栄養参照量では、ビタミンCは1日必要量80mg以上と決まっているのに対して、33mg摂れます)。

このたび、地域の方々にこの「パッククッキング」という調理方法を体験していただく会を企画しました。実際に災害が起きた時に活用できることを目指しています。小学生以上の方はどなたでも参加いただけます。なお、申込は締め切りました。

今回のメニューは「減塩や食物アレルギーに配慮した災害食」がテーマです。

 

◆パッククッキング料理教室

日時 :8月10日(土) 10:30 ~14:00

会場 :福山大学 健康栄養科学科 18号館2階 調理室

内容 : ①料理教室(パッククッキングによる災害食作り)、(減塩食)サバ缶パスタ、トマトシチュー、

     炊き込みご飯(アレルギー対応食)トマトカレー、あずき蒸しぱん

     ②栄養講話(応用栄養学研究室ゼミ生による災害時栄養に関する栄養講話)

申込 :終了しました

お問い合わせ先:・電話:084-936-2111 ㈹(平日10時~17時)  担当者内線:吉田 4042

        ・E-mail:j_yoshida@fukuyama-u.ac.jp

詳しくはこちらのパッククッキング料理教室のちらしをご参照ください。

 

学長からの一言:健康栄養科学科が日頃の研究の成果を踏まえて実施する健康や栄養に関する啓蒙活動。テーマは災害時の食の確保や備蓄食の料理法。頻繁に起こる大雨被害や地震を目の当たりにすると、決して他人事でない重要かつ喫緊の課題です。近々実施の料理教室も、普段はあまり味わうことのない備蓄食や調達しうる食材で作る緊急時の料理など、興味深い内容満載の会になりそうです。