税務会計学科では、３年生の就職活動が本格化するのに合わせ、就職体験発表会を実施しました。当学科では、簿記資格取得者を優先して受け入れていますが、学科での専門的な学びを通じて、会計専門職へのキャリアパスをいっそう充実させるべく取り組みを行っています。そのような中、会計・税務事務所への就職する学生も増えています。当日は、学科学生を中心に、他学科、院生を含め１３名が参加しました。その様子を税務会計学科の関下が報告します。

昨今、夏頃のインターンシップを経て、採用面接に進むなど、就職活動が早期化しています。就職活動に向かうために業界に対する理解を深める必要があります。そのような状況から、税務会計学科では今年度、「会計専門職への道」をテーマに就職体験発表会を企画しました。

税務会計学科では、「資格取得」を当学科の強みの一つと考えています。日商簿記検定2級・3級を初めとして、税理士試験まで、資格取得や試験合格をめざして多くの学生が頑張っています。

そうした中、「会計専門職」を目指した先輩方からその体験を聞き、下級生の間で共有するため、池永経営会計事務所勤務の小林勇斗さん、今春4月から府中市役所勤務の宮本響さんの二人をお招きして、体験談を語っていただくことにしました。

小林勇斗さんは、2021年3月経済学部税務会計学科を卒業後、同年4月に本学大学院経済学研究科に進学、主に所得税に関する研究に取り組まれました。在学中には、学部・大学院での勉学の傍ら、税理士試験に挑戦の経験もお持ちです。

【写真１】小林勇斗さん

大学院修了後の2023年4月から池永経営会計事務所に勤務し、監査や財務を中心としたコンサルティング業務に携わっているとのことです。現在の業務内容、学部・大学院時代にどのような勉強をしてきたか等々、丁寧な説明が続き、その中で、業務に使用している財務分析様式（数値はダミー）を学生に回覧して、実際の業務の一端が体験できるようになっていました。

【写真２】数値資料を見る現役生たち

続いて発表の宮本響さんは、4月から府中市役所での勤務が決まっており、地方公務員試験の経験についての話でした。また、国税専門官試験にもチャレンジし、一次試験（筆記試験）に合格したことについても説明がありました。

【写真３】宮本響さん

税務会計学科では、指定校推薦入試（会計経営人材強化）を実施しており、学科の水準向上のため、入学時に簿記資格を持った学生の受け入れを進めています。そのことは、学科のレベルアップに貢献しています。それに伴い、学科の中の雰囲気も資格取得に対して強い意識が感じられるようになっています。これから教員側に求められるのは出口にあたる就職先の用意、ある意味での「出口戦略」です。

従来税務会計学科では、簿記資格による「入り口」を用意している一方、「出口」については、個々の学生の奮闘にゆだねているというのが現状でした。

そのため卒業生の多くは、企業の経理職、将来の経営幹部層候補、さらには、在学中の学習内容を大いに生かすことができる金融機関などを就職先として希望し、実際にも多くの卒業生がそれらの職に就いています。

今後税務会計学科では、学生たちの頑張りに応え、取得した資格をもっと実際に活かせる就職先を用意しようという考えから、従来十分に卒業生を送りだすことができなかった税理士・会計事務所を重要な就職先として的を絞り、必要な措置を講じていく予定です。今回の就職体験発表会では、この試みの一環として、卒業生の何人かがすでに就職をし、活躍をしている池永経営会計事務所様のご協力を仰ぐことができました。非常に有意義な体験会であったと考えております。

また税務会計学科からは、ここ数年、大学院への内部進学が継続しています。学部－大学院の6年教育体制による会計専門職育成も進めたいと考えています。加えて、税理士への道は、試験合格だけではありません。宮本さんがチャレンジした国税専門官になることも「税」と「会計」の知見を活かしていく一つの方法であると考えます。実際のところ、本学科には国税専門官を目指して入学してくる学生もいます。その意味で宮本さんによる就職体験記は、現役学生たちに大変有意義ではなかったかと感じています。

次年度以降、税務会計などの科目の中で、現実の税務実務のなかの現在注目されている相続や事業承継税制などについて、会計プロフェッショナルの協力を得て、指導を強化して行きたいと考えています。また、会計専門職以外にも、中小企業診断士などの資格取得体制の強化も図るつもりです。

最後になりましたが、今回ご協力を賜りました池永経営会計事務所様に深く感謝申し上げます。

学長から一言：「会計専門家への道」を拓くことに焦点を絞った今年度の税務会計学科の就職体験発表会。経営・会計の実務に日々携わっている卒業生や就職戦線を勝ち抜いて4月から公務員としての勤務が決まっている報告者によって語られた体験談は、これから本格的に就職活動を行う学生諸君に大きな刺激となったことでしょう。