【大学教育センター】キャリアデザインゼミ『振り返り・ビジョン導出合宿』に行ってきました!
未来創造館2階を拠点に活動するキャリアデザインゼミでは、学部・学科の垣根を越えて集う自主ゼミの安定した運営体制の構築を目的として、今年度 “ピアコーチング理論” を用いた組織づくりに取り組んでいます。“ピアコーチング” は、組織開発・人材育成の分野で近年注目されていますが、未だ日本国内の大学における導入事例は多くありません。今回は、そんなピアコーチングの取り組みの一環で行われた『振り返り・ビジョン導出合宿』の様子について、大学教育センターの前田が紹介します。(※本プロジェクトは、令和5年度 福山大学教育振興助成事業「特色ある教育方法開発助成金」に採択されています。)
2023年の春、所属メンバーが大幅に増えた「キャリアデザインゼミ」の運営基盤を更に強化させるため、“ピアコーチング理論” を活用した組織開発プロジェクトがスタートしました。6月から8月までの約3ヶ月間、ゼミメンバーで2名ずつのペアをランダムに15組作り、クラウド型ピアコーチングサービス「PEER+( https://peerplus.jp/ )」を利用した全6回のトレーニングプログラムに取り組んできました。
今回は、そんなピアコーチングの取り組みを振り返り、今後のゼミの運営について学部・学年問わずゼミ生全員で考える合宿を、9月11日(月)~12日(火)の2日間、広島県北東部の主要景勝地でもある帝釈峡の休暇村にておこないました。体調不良で急遽参加が難しくなったゼミ生もいて、当日の参加者は15名に減ってしまいましたが、1年生にとって初めての合宿ということもあり、期待に胸を膨らませてバスに乗り込みました。
自分未来創造室がサポートしているキャリアデザインゼミは、学生主体の自主ゼミということもあり、この合宿のプログラム運営や準備等にも、ゼミ生が積極的に関わっています。今回は、専門的なコーチングサービスを提供する株式会社コーチェットの櫻本真里CEOを講師に招いての合宿ということもあり、親睦を深めるためのアイスブレイクが企画されました。この企画を担当してくれたのは、経済学科1年の白政遥菜さん、阪田真奈さん、国際経済学科1年の上田奈央さん、溝入愛華さんの4名です。
アイスブレイクで和やかな雰囲気になった後は、3ヶ月おこなってきたトレーニングプログラムの振り返りです。メディア・映像学科の内垣戸准教授による、ポストイットを用いた振り返りワークに取り組みました。一人ひとりの感じたことや気づき、悩みや課題が言語化されたことで、他者を理解することの難しさやコミュニケーションの課題などが浮き彫りになりました。
休憩後は、コーチェット社の櫻本氏にファシリテーターをバトンタッチし、「理想の自主ゼミ像」について教員も一緒に話し合うチームコーチングをおこないました。キャリアデザインゼミに対する一人ひとりの理想像とゼミメンバーに求めることについて、全員が自身の考え・気持ちを素直に伝え合い、共通点や相違点を明らかにしていきました。
1日目のプログラムを終えた後は、宿泊先のコテージに戻って夕食の準備です。ちなみに夕食もゼミ生が主体となり、メニューの決定から役割分担、調理まで全てをおこないました。食事担当は、三姓実空さん(経済学科1年)、湯村彩香さん(心理学科2年)はじめ、1、2年生メンバーです。みんなで話し合って決めた定番メニューのカレーを協力して作ってお腹を満たし、翌日までの宿題となっていた「小さなアクションプラン」に各自で取り組みました。
2日目は、9月から11月の3ヶ月間、新たなペアで取り組むトレーニングプログラムに向けて各自で達成したい3ヶ月後の目標を考えて、絵と文字で表現しました。前日に取り組んだ振り返りと理想像を考えるワークを通じて、将来を考える基盤が出来ていたこともあり、メンバー全員が具体的な目標まで導き出せていたのは、本当に素晴らしかったです!
そして、合宿プログラムの最後を締め括るのは、ゼミ生企画の貿易ゲームとグループインタビューです。ピアコーチングを通じて養ったコミュニケーションスキルを活用し、櫻本氏にも参加頂いて参加メンバー全員で交流を深めました。貿易ゲームのファシリテーションを担当した重森湊太さん(メディア・映像学科1年)は、ゲーム終了後「楽しかったという声をたくさん聞くことができ、とても安心しました。貿易ゲームを通じたコミュニケーションが、ゼミのチームビルディングにつながってくれたら嬉しいです。」と語ってくれました。グループインタビュー担当は、長尾実輝さん(経済学科1年)とゼミリーダーの藤本悠太さん(心理学科4年)でした。
最後に、2日間の合宿を終えて、5人のゼミ生からコメントが届いたので紹介します。
高渕絢人さん(経済学科3年)「この合宿で学んだことは、言語化する難しさです。合宿だけでなく普段の生活でも、自分の思っていることを言語化してわかりやすく伝えることは、難しいことだと思っていました。実際、これは本当に難しいことだと櫻本さんに教えていただいたので、今後もトレーニングを積みたいと思います。今回の合宿を通じて変化を感じたのは後輩達の姿勢です。半年前の合宿では、先輩ばかりが動き、後輩はただ見ているだけということが起こっていました。しかし、後輩からしてみれば、何をどのように動けばよいかわからなかったのだと思います。今回の合宿では、そんな後輩が積極的に動いてくれていました。これが、いい組織の状態だと感じました。」
上野りりこさん(メディア・映像学科3年)「私は、合宿で2つの事を学びました。まず、何か行動する上で「状況判断能力」と「コミュニケーション能力」が必要不可欠だと感じました。3人1組でのグループワークや、みんなと料理をする際に、誰が何をするべきかの判断をお互いコミュニケーションを通じて活動しました。その結果、相手や自分の「強み・弱み」を引き出す事ができ、そこから枝状に「人間関係・能力・経験値」が広がると気づきました。次に、駄目な自分や弱っている自分を見せることで「この人と一緒に頑張りたい。助けてあげたい。」と思うのだと先輩方の姿を見て感じました。素の自分を出す事は簡単ではなく、どれだけ人を信頼し本当の強さを知れるかが大事だと気づきました。」
阪田真奈さん(経済学科1年)「合宿に参加して思ったことは3つあります。1つ目はアイスブレイクの時にやはり臨機応変な対応が必要だと思いました。色々とアクシデントに見舞われましたが、なんとかその場に応じて行動できました。2つ目は、ピアコーチングの時に、もっと質問を増やしたいと思いました。なかなか質問が出せなくて話が盛り上がらなかったので、櫻本さんが話していたことを少しでも活かして、質問が出来たらと思いました。3つ目は、もっと自分に自信をつけるためにも、様々なことに挑戦したいと思いました。キャリアデザインゼミで企画をサポートする役割など、色んなことに挑戦して、多くの失敗や成功を経験したいと思いました。」
長尾実輝さん(経済学科1年)「私は、ピアコーチングのスキルを、日常生活で活かせていないのが悩みでした。しかし、振り返りをすることで、自分目線・他者目線の気づきや反省点を見ることができ、新しい気づきに出会えました。また、実践してみる機会と、他の人がピアコーチングをしている姿を客観的に見る機会があり、自分の力の把握と他者からの吸収をして、スキルをより自分のものにすることが出来ました。この合宿で、先輩や先生がキャリアデザインゼミに対する大切にしている思いを、ピアコーチングを意識して深く聞くことが出来ました。無自覚に線引きしていた今後のゼミの在り方を、メンバーの一員と自覚して考えるキッカケになりました。」
三姓実空さん(経済学科1年)「私は今回の合宿に参加して、たくさんのことを学べて、色んな思い出をつくることができて、とても充実した時間を過ごすことができました。初日には3ヶ月の振り返りをしたり、理想のゼミ像について話しましたが、振り返っていく中で、メンバーのその人らしい課題などが分かり、みんなのゼミに対して思っていることを聞けて、これからキャリアデザインゼミがどのように変わっていくのか楽しみになりました。また、自分は初めて20人分のカレーをつくりました。最初はカレーが足りるか、美味しくできるかがとても心配でしたが、みんなに喜んでもらえてよかったです。この合宿で学んだことを日常にも生かせるように頑張っていこうと思います。」
今回、ゲスト講師としてお越し頂いたコーチェット社の櫻本氏のご協力もあり、キャリアデザインゼミの学生たちにとって本当に学びの多い合宿になりました。このように “コーチング理論” を学び、実践することを通じて、“共に学び合う” 仲間づくりを学部・学科、学年問わず促すことができれば、未来創造館が掲げる “CROSSING” な新しい学びの実現に一歩近づくのではと期待しています。
これからキャリアデザインゼミの学生たちは、自分で設定した3ヶ月後の目標を達成するために、各自で挑戦をはじめることになります。上手くいくことばかりではなく、失敗することも必ずありますが、この合宿を通じて学んだコミュニケーションの知識とスキル、深まったゼミ仲間との絆を糧に、更に成長していってくれることを心より願っています!
学長から一言:キャリアデザインの授業を受講した縁で、日頃から未来創造館2階に置かれた自分未来創造室に集う学生諸君が、キャンパスを飛び出して新たな学びへチャレンジ。株式会社コーチェットのCEOで“ピアコーチング理論”の専門家である櫻本真里氏をお招きし、合宿して励んだ学習と実践には、正規の授業では味わえなかった学びの楽しさがあったことでしょう。