【建築学科】令和4年度の卒業設計優秀作品が選定されました!

建築学科では、毎年、卒業設計について最終審査後に優秀作品を選定しています。今年度は2月7日(火)に最終審査会を行い、その結果を踏まえ、日本建築学会をはじめ外部の各種団体の各賞対象作品として6作品を推薦しました。このことについて、大島教授からレポートが届きましたので、学長室ブログメンバーの山本がお伝えします。

 


建築学科では、4年次になると卒業研究と卒業設計から何れかを選択します。今年度は24名が卒業設計を選びました。卒業設計は卒業研究同様に大学4年間の集大成として位置付けられ、4年次の1年間をかけて取り組みます。卒業設計は、テーマや敷地、プログラム等を設定し、それらをもとに建築的空間的提案を行い、図面や模型等で表現するものです。

今回は、これらの点において総合的に評価された6つの優秀作品の紹介です。
                            
・潮待ちの防波堤建築 ―郷愁の町・鞆の浦水産観光施設―  佐々木 壮
(近代建築卒業制作2022掲載優秀作品) 
鞆町には、町全域を見渡せ景観が良く玉津島を含む長い防波堤がある。その地形的特性に着目して、まちづくりの推進になる施設を提案した作品。鞆町を海側から臨むことができる防波堤の地形的価値を見出し、堤防に沿って大規模な水産業施設を建てることで鞆町の水産業の再生を提案した。

 

・結び ~新たな千光寺公園の提案~  木曽 莉央
(日本建築学会「全国大学・高専卒業設計展示会」出展優秀作品)
千光寺公園西側には、地盤レベルが異なるスペースが分散し利用されていない敷地があり、その一区画の敷地に対して新たな利活用を提案した作品。千光寺と他、人同士、歴史や文化等を「結びつける」をコンセプトに、システムとして縦と横のプレートを構成して魅力的な空間を提案した。

・平和が存続する時間「一瞬」のために  ―弁証法的手法による形態及び建築空間の設計提案―  岡本 直大 
(日本建築学会中国支部優秀作品)
「平和」な状態は一瞬でしかなく、それを持続するために空間的提案として何ができるかをテーマにした作品。「都市と自然」、「流動的形態と純粋幾何学」、「動と静」、「凝縮と拡散」等の2項対立的な読取りを行い、それらを知覚体験させるために弁証法的手法によって空間構成した。

・共に生きる建築  〜自然と新しい建築の調和〜  梶原 未智瑠
(日本インテリア学会中国四国支部長賞作品)
準限界集落の山村に、完成した建築物ではなく、目的を持たないフレーム等の「建築以前の建築」を点在させことで様々な活動を誘発させることにより地域再生を目指した作品。先行して造られたフレーム等の存在感が地域内外の人に働きかけ、有効利用に繋がる仕組みを提案した。

・数十年後の参拝者へ  手錢 一眞
(日本インテリア設計士協会優秀学生賞作品)
出雲には八百万の神々が上陸するという稲佐の浜があるが、そこから砂を持参して出雲大社へ参詣するための新たな参道空間を提案した作品。既存敷地に対応するため段階的建設を行い、参道空間の分節を図りながら、出雲大社に近づくにつれて建築化するという空間的連続性も提案した。

・おもいでの場  〜尾道市における新しい弔いの場の計画〜  大村 飛勇我
(エーアンドエー卒業設計作品集掲載優秀作品)
尾道市街を望む向島にある小歌島に、火葬場とともに樹木葬による弔いの場を提案した作品。市街地には近いが、尾道水道を挟んで彼岸的な場所にあり、敷地全体を公園として利用することができる。地上に現れる建物も極力小さくし、樹木や敷地の形状に溶け込むように設計されている。

これらの卒業設計作品は、その他の作品とともに「広島平和祈念卒業設計展」(3月7日(火)~3月9日(木)、於・広島県立広島産業会館)にも出展され、さらに建築学科が毎年開催している「福山大学卒業設計展」にも出展され、市民に公開される予定です。

 

 

学長から一言:4年次に卒業研究(論文)と卒業設計のうちから後者で行くことを自ら選び、長い時間をかけて完成し、しかも学外の各種コンペに応募するように選ばれた6人の作品は、素人目ながら、いずれも引き込まれるような魅力に溢れています。建築と聞くと「実用」という言葉を思い浮かべがちな私ですが、「芸術」であることを改めて認識。作品に込められた「哲学」を感じます。