【心理学科】PACE福山支部が学生指導員養成セミナーを開催!

心理学科のボランティア活動はたくさんありますが、PACE(ペース)福山支部は今年で活動開始から17年目となるご長寿団体です。本日は、そんなPACE福山支部の今年度の活動開始状況について、心理学科濱本有希助手からの報告をお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。

 


PACE福山支部は、犯罪機会に関する知識、統率力、コミュニケーション能力を備えた指導員の養成を目的として、地域安全マップ作製指導員養成セミナーを毎年行っています。今年は、PACE福山支部の7名の学生が準備をし、4月26日(水)に1年生から3年生13名の参加者を迎えました。とても充実したセミナーになりましたので、その様子をご報告いたします(PACE福山支部に関する過去の記事はこちら)。

地域安全マップは、事前講義、フィールドワーク、マップ作り、発表会という流れで1日かけて行う体験型の学習プログラムとなっています。今年は1年生から4年生まで学年を超えて多くの人に参加してもらうため、事前講義とフィールドワークのみの短縮版セミナーとして水曜日の4限、5限に開催し、残りのマップ作りと発表会は、後日の定期活動の中で行いました。

1.事前講義

事前講義では、最初に「PACE福山支部の活動」に関することを説明しました。4月に入学したばかりの新1年生も多く参加してくれたので、まずはPACE福山支部に興味をもってもらい、メンバーになってもらいたいという思いで、いつもより詳しく伝えました。

その後、地域安全マップを支える犯罪機会論の理論について解説しました。犯罪の原因をどのように考えるのかについては、「犯罪機会論」と「犯罪原因論」という2つの考え方があります。犯罪の原因が「人」にあると考えるか、「機会(人が犯罪を行うチャンス)」やそれを提供するような「場所」にあると考えるかです。

日本では、犯罪者という「人」に注目する犯罪原因論の考え方が広まっています。そのため多くの人が、犯罪を予防する際にも「人」に注目し、「不審者」に気を付けるという教育が主流となっています。

犯罪原因論は、どうやってその人を更生させるのかという立ち直り支援の分野では非常に役に立ちます。一方で、実は犯罪の予防には向いていません。なぜなら、犯罪が発生する前に対処しようとする防犯の分野では、まだそこに改善や更生の対象である「犯罪者」は存在しないからです。

では、防犯としてどのような対処が可能なのでしょうか。ここで犯罪機会論の考え方が役立ちます。すなわち、人が犯罪を行えるような「機会」や「場所」をなくしたり、「場所」自体を改善したりすることで、犯罪を未然に防ぐことが可能だと考えることができるわけです。

今年は、事前講義の資料作りにもしっかり時間を取り、学生同士で議論しながら、初めて聞いた人でも理解しやすい解説ができるように努めました。

<学生が作成したスライドの一部>

<学生が講義をしている様子>

2.フィールドワーク

フィールドワークは、3つの班に分かれて行いました。すべてのグループで「犯罪が起こりやすい場所」や「犯罪が起こりにくい場所」の多くの要素を発見してもらうため、当日までに、PACE福山支部のメンバーで何度も学内フィールドワークを行い、事前に紹介するポイントを決めました。これにより、参加者は決められた時間内に効率よく学習することができたように思います。

<フィールドワークで学ぶ内容について説明する様子>

学内セミナーを通して、地域安全マップの楽しさややりがいを伝えることができました。最後のあいさつでは、PACE福山支部の定期活動への参加の呼びかけや活動の様子を発信しているInstagramの紹介も行いました。

最後に集合写真を撮りました。

<集合写真>

そして、今年度からはじめた毎週火曜日の2限と3限の定期活動では、みんなで勉強をしたり、イベントの準備をしたり、親睦を深めたり等、楽しく活動をしています!!そんな定期活動の中で、セミナーで作れなかった地域安全マップを完成させました!

<完成した地域安全マップ>

完成したマップは、現在29号館に掲示しています。お立ち寄りの際にはぜひご覧ください!

メンバーの感想

学内セミナーを終えたPACE福山支部のメンバーの感想をいくつか紹介します。

今年度からPACE福山支部の代表を務めさせていただくことになりました。代表としての最初の活動である学内セミナーでは自分の役割や周りへの状況把握等をしっかり考えて行動するよう意識しました。正直、代表として不安になることや自分の知識不足に悩むこともありましたが、先生方の熱心なご指導や周りの仲間に支えられ、前向きに活動に向き合うことが出来たと感じています。

学内セミナーでは予想以上の参加者に来ていただき、自分の持てる力を十分に発揮できるよう頑張りました。講義やフィールドワークを通して少しでも参加者の人が私たちの活動の意義や防犯を学ぶ楽しさを知ってくれたら嬉しいと思いました。

現在、既に3つの依頼がきており、新メンバーも加えた新PACE福山支部でひとつずつやり遂げていきたいです。小学校や公民館に赴き、地域安全マップ作製指導を行うことは地域に貢献できるだけでなく自分自身のスキルアップや今後のあらゆる場面でも対応できる能力が身に付きます。防犯を楽しく向き合いながら学生生活で胸を張って自慢できる活動にしていきます!

学内セミナーの開催前は、多くの人が来てくれるのか、いい学内セミナーが開けるか、不安と緊張でいっぱいでした。準備期間には、私たち自身も初めてのことも多く、戸惑うこともありましたが、先生方のお力も借りみんなでしっかり準備を行うことができました。セミナーでは、多くの方に私たちの活動を知ってもらい、セミナーを通して活動に参加したい!と言ってくれる方が増え、とても嬉しかったです。

今年は今まで以上に活動の幅を広げていき、去年以上に多くの人に私たちの活動を体験していただける機会をつくっていければと思います。また、副代表としてみんながより良い活動ができるよう今まで以上に精進していきたいと考えています。

  • 中原晴菜さん(2年生・福山暁の星女子高校出身)

私は今回のセミナーで事前講義を担当しました。「地域安全マップとはどういうものか」、「犯罪はどのようにして起こるのか」などの難しいことを地域安全マップを全く知らない学生に向けて説明をしなければならないので、どのように分かりやすく伝えれば良いのかを考えて練習することがとても大変でした。しかし、当日は練習の成果をしっかり発揮でき、参加者の皆さんが積極的に参加してくれたので、とても楽しく講義をすることができました。いつもは小学生に向けて講義をしますが、学生向けに講義の資料を準備していく中で改めて気づくことも多く、今後の小学生への講義にも繋げていきたいと思いました。

参加・協力してくださった皆さん、本当にありがとうございました。今後もPACE福山支部の前進にご期待ください!!


今年度は新メンバーが増え、フレッシュな風が吹いているPACE福山支部。上級生も下級生に適切な指導をすべく、勉強に励む姿が多くみられます。頼もしい限りです。実はすでに小学校での活動を1つ終え、来週にはもう1つ、小学校での活動が控えています。また続報にもご期待ください!

 

学長から一言:子どもが犯罪に巻き込まれるのを防ぐためのボランティア活動を続けるPACE福山支部のメンバーの皆さん、お疲れ様。犯罪理論を学び、活動の中核である「地域安全マップ」作成の意義を理解した新たな指導員の養成も含めて、ますます地域の安全な生活や防犯に貢献して下さい。犯罪心理学の良き応用・実践の場ですね。