受験生へ向けた『薬学部教員からのメッセージ!』を公開しています。

■ 薬学部長をはじめ、薬学部の教員たちからのメッセージです!

 

薬学部長(井上 敦子-教授)からのメッセージ!

■ 福山大学薬学部では、活発な教育・研究を実施中!

皆さんも、本学薬学部の環境で勉強してみませんか?「研究マインド」を持った薬剤師として活躍するための多くの資質を身に付けることができますよ。

本学薬学部は、1982年の開学以来、40年以上に亘り、質の高い薬剤師養成の教育を行い、これまでに5000名を超える卒業生を世に輩出してきました(2024年3月時点において、広島県薬剤師会に登録されている薬剤師の出身大学は、福山大学がトップとなります)。

2022年には開設40周年を迎え、薬学部開設40周年記念行事が大々的に執り行われました。また、これまでに培われてきた教育体制(教員による担任制、意欲を高めるための初年次教育、医療現場を見学する早期体験学習、医療人が備えるべきヒューマニズム教育、基礎から専門領域までの学力を培う体系的教育プログラム、共用試験・国家試験の対策演習など)によって、薬剤師になるための国家試験合格率は中国四国地区で常に上位にあります(2021年度、2023年度は中国四国私立大学で第1位)。また、卒業生による就職体験発表会や合同企業説明会の開催などの手厚い就職支援により、毎年、高い就職内定率(2023年度は100%)となっています。

研究面においては、2021年度に科学研究費補助金(科研費)の獲得額と採択件数が広島県内の私立大学で第1位という結果になりました(2022年度と2023年度も第1位)。さらに、教育とともに研究活動を支える未来創造館(薬学部研究棟)が2021年に始動し、教育と研究の両輪のさらなる充実を図ってきました。この本学の充実した教育とともに、研究により学生たちの成長をサポートしていきます。

2022年度就職懇談会の資料抜粋(厚生労働省薬剤師国家試験の結果から算出)

 

未来創造館の外観

 

未来創造館の内観

 

未来創造館1階、共同利用センター

 

科研費獲得額が県内私大トップ ➡  https://www.fukuyama-u.ac.jp/pharm-posts/62428/

薬学部開設40周年記念誌 ➡  https://edu.career-tasu.jp/p/digital_pamph/frame.aspx?id=7541000-3-14&FL=0

薬学部の教育と研究について ➡  薬学部リーフレット(PDFファイル)

 


以下に、薬学部の教員からのメッセージを掲載しています!

 

1.なぜ病気になるのか。そして薬はどうやって病気を治すのでしょうか。
 【井上 敦子-教授(薬学部長)/薬物治療学研究室】

2.他人と過去は、変えられない。自分と未来は、変えられる。
 【田村 豊-教授(薬学部長補佐)/薬理学研究室】

3.新しいクスリの開発へチャレンジ!!
 【町支 臣成-教授/医薬品化学研究室】

4.☆来たれ福山大学薬学部☆安心してください。歓迎しますよ!
 【小嶋 英二朗-教授/薬品分析化学研究室】

5.さあ、これから医療人への第一歩。共に学び、共に成長していきましょう。
 【佐藤 英治-教授/医療薬剤学研究室】

6.健康増進や疾病予防のサポートも薬剤師の大切な役割の一つです。
 【杉原 成美-教授/衛生薬学研究室】

7.薬物を病巣に送り込む -薬物送達系に関する研究―
 【田中 哲郎-教授/薬物動態学研究室】

8.仕事をするからには一流であれ、一流であるために努力することに激烈であれ!
 【前田 賴伸-教授/薬剤情報解析学研究室】

9.薬剤師は人と向き合う職業です。コミュニケーション能力を育もう!
 【井上 裕文-教授/臨床分析化学研究室】

10.薬をコンピュータで創ってみよう!
 【秦 季之-教授/活性分子物理化学研究室】

11.遺伝子の知識を身につけて、疾病予防に役立てよう!
 【道原 明宏-教授/病態生理・ゲノム機能学研究室】

12.抗体を用いた新たな「がん」、「自己免疫疾患」治療薬の開発!
 【今 重之-教授/分子免疫学研究室】

13.臨床で求められている問題を解決するための研究のすゝめ。
 【佐藤 雄己-教授/臨床薬効解析学研究室】

14.科学の言葉で薬を理解しよう!
 【重永 章-教授/生体有機化学研究室】

15.福山大学薬学部には学んで成長するための「何か」がある!!
 【竹田 修三-教授/衛生薬学研究室】

16.患者の命を助ける臨床薬剤師の魅力。互いの目標を達成できる研究室を目指して。
 【高根 浩-教授/実践医療薬学研究室】

 


1.なぜ病気になるのか。そして薬はどうやって病気を治すのでしょうか。
 【井上 敦子-教授/薬物治療学研究室】 → 研究室ホームページへ

 みなさんは、どのような薬剤師になりたいですか。薬剤師といえば、薬のプロフェッショナルです。与えられた情報をただ知識として覚えるだけでなく、自分で考えて判断できる能力をもった薬剤師って頼もしいですね。そうなるためには薬についてとても多くのことを学ばなくてはいけません。例えば、病気をおこす体の仕組みと薬の効く仕組みの両方を知っていればこそ、薬の効きめを患者さんによりわかりやすく説明してあげられます。私達自身(生物)について、また身のまわりにある薬の効果について、ふだんからしっかり関心をもってください。きっと、思わぬ発見があります。そして何かに気づいた時、私達の生命の神秘に感動します!!

 私達のからだの臓器(脳、心臓、胃腸、肝臓、腎臓など)は、神経細胞により、うまく働くようにみはられています。図1は神経細胞の顕微鏡写真です。赤いところは神経細胞を形作っているチュブリンという名前の骨格タンパク質です。自然の形がとても美しいと思いませんか。この美しい細胞はどのように働いて、また薬はどのようにしてこの美しい細胞を変化させるのでしょう。そのしくみがわかれば、もっとよく効く薬や副作用の少ない薬を考えることができます。私達は痛みを感じた時、鎮痛薬を飲みますね。痛みも神経細胞が脳に伝えて痛いと感じているのです。一口飲んだらぜんぜん痛くなくなるような魔法の薬があればいいと思いませんか。一緒に顕微鏡をのぞいてみましょう(図2)。

図1 神経細胞の顕微鏡写真

図2 顕微鏡で観てみましょう!!

【担当科目】
生体機能調節II、循環器と腎疾患と薬物治療、消化器系疾患と薬物治療

【研究内容】
1.神経細胞の活動は生理活性物質によってどのように調節されているか。
2.炎症などの病気になった時、免疫系と神経系はどう関わっているか。
3.病気になった時、脳の中ではどのようなことがおこっているか。

【研究室の学生から一言】
 薬剤師になるための勉強は大変です。私は、井上先生の研究室で、4年生から6年生まで過ごしました。先生と一緒に楽しく学修したり研究したりするなかで、いつも夢をもって頑張れることを教わりました。私は、信頼される薬剤師になる夢を目標に、頑張ることができましたし、大学を卒業してからも生涯学修していくつもりです。

 


2.他人と過去は、変えられない。自分と未来は、変えられる。
 【田村 豊-教授/薬理学研究室】 → 研究室ホームページへ

 最初に、私の好きな言葉をみなさんに紹介します。

「他人と過去は、変えられない。自分と未来は、変えられる。」-エリック・バーン(1910年~1970年)-

 カナダの精神科医エリック・バーンの言葉です。有名な言葉ですから、みなさんも見たり聞いたりしたことがあるかもしれません。もう一つ、本を紹介します。「アルフレッド・アドラー 人生に革命が起きる100の言葉」です。難しくないので、是非読んでみて下さい。この2人の言葉に共通するのは、「自分の考え方と決断で、自分の未来、人生を簡単に変えることができる。」ということです。ポジティブな考え方や行動で、6年間の大学生活を充実したものにして欲しいと思っています。

 さて次に、私が取り組んでいる「ハムスターの冬眠研究」を紹介します。ハムスターはペットとしても人気の動物ですが、ゴールデン・ハムスターは冬眠できるって知っていましたか?冬と同じ環境、つまり日が短くて寒い環境になると冬眠します。通常ハムスターの体温は37℃、心拍数は1分間に400~500回、呼吸は1分間に20回程度ですが、冬眠すると体温は約6℃、心拍数は2~3回、呼吸数は1回程度になります。そして冬眠が終わると自力でもとの状態に戻すことができます。すごいと思いませんか?ハムスターがどんなメカニズムで冬眠するのかを解き明かして、医療に応用しようと思っています。興味があったら、一緒に研究しませんか?

実験風景

冬眠ハムスター

【担当科目】 
人体の構造と機能、薬の効くメカニズム、末梢神経に作用する薬物、代謝性・呼吸器疾患と薬物治療など

【研究内容】
1.ゴールデン・ハムスターの冬眠を制御するメカニズムの解明
2.オピオイド鎮痛薬により耐性が形成されるメカニズムの解明
3.神経障害性疼痛が起きるメカニズムと予防法の解明

【研究室の学生から一言】 
 明るくて、とても楽しい先生です。勉強面では親身になって、分かりやすく説明してくださいます。また、就職や生活面においても相談に乗ってくださいます。時に厳しく、暖かく見守っていただいているので、安心して勉学や研究に励むことができています。

 


3.新しいクスリの開発へチャレンジ!!
 【町支 臣成-教授/医薬品化学研究室】 → 研究室ホームページへ

 我々、有機合成化学を専門とする研究室は、2015年ノーベル化学賞を受賞された大村智教授と同様に、新しいクスリを創り出すべく研究を行っています。自然界(陸、海)の植物類や微生物類がつくり出す未知の化合物はまだまだ多く存在します。今日、いろいろな測定機器が進歩した結果、先に述べた様々な種から、これまで報告されていない未知の成分が発見されてきています。これら新規化合物は、極微量しか採れません。よって、これらの化合物が新しいクスリになるのかどうかを生物学的試験によって確かめるには、その化合物がたくさん必要になります。そこで、我々、合成屋さんの出番になります。即ち、これまでに誰も創ったことのない新規化合物を標的として、大量に効率良く合成する方法を開発するための挑戦が始まります。

 研究室配属された学生達は、それぞれ違うテーマで、新規化合物の全合成に向かって直面する困難な問題を解決するため日夜研究に励んでいます。世界初の合成を達成したときの喜びは病みつきになります。但し、これが新しい医薬品探索のスタートラインです。合成した化合物を使って、生物学的試験へと展開していきます(医薬品開発の道のりは長いです!)。

 最後に、研究室のモットーは、「楽しく実験し、みんなで遊ぼう!」ということで、研究室みんなの強い絆を作れるように教員と学生が一緒になって様々なイベントを企画し、交流を深めています。

実験風景

実験装置

【担当科目】
基礎有機化学Ⅰ・Ⅱ、ターゲット分子の合成、生体分子の構造と化学的性質、医薬品の化学構造と性質

【研究内容】 
1.電子環状反応を使った新しい生理活性含窒素天然物等の合成研究と医薬品への展開が可能かの探索研究
2.タンデム型環化反応を使った新しい生理活性含窒素天然物等の合成研究と医薬品への展開が可能かの探索研究
3.マイクロ波を使った新しい合成手法の開発と医薬素材の探索研究

【研究室の学生から一言】 
 医薬品化学研究室では、学生個々に出される課題研究に取り組んでいきます。実験は失敗が続くこともありますが、その分成功した時は嬉しいです。また、BBQやボーリング大会、ゼミ旅行など様々なイベントを企画しては皆で楽しんでいます。研究やイベントを通して学年関係なく交流でき、充実した大学生活を送っています。

 


4.☆来たれ福山大学薬学部☆安心してください。歓迎しますよ!
 【小嶋 英二朗-教授/薬品分析化学研究室】 → 研究室ホームページへ

 私は、以前、赤十字血液センターに勤務していましたが、縁あって2007年に福山大学薬学部に赴任してきました。伊達先生という女性の先生とともに、やるべき時にはしっかりやり、遊ぶ時には思いっきり遊ぶといった、オン・オフの切り替えを素早くおこなえる、メリハリの効いた人材の育成を目指した研究室運営をしています。 
 
 血液センターでは、研究部門において、献血で得られた血液から血液製剤を製造する際の様々な問題に取り組んでいました。この経験を活かして、抗体を中心として血液成分の分析、血液を介する感染症に関する生化学的な解析をおこなっています。その手法の一つとしてファージディスプレイという方法を使っています。ランダムペプチドライブラリーといういろんなペプチド配列を持ったファージの集団から、目的の配列を持つものを抽出し解析する方法です。この方法を足掛かりに、薬の効き方、感染のメカニズムなどの解明をおこなっています。

 医薬品をはじめとする化学物質や生体成分を分析することは、病気の診断、治療方針の決定、治療状況の把握など、様々な段階で必要な情報を得るために欠かせない根幹となる部分です。「分析」を通して、病気の克服などに有益な情報を世の中に提供していきましょう。

実験風景

ファージディスプレイ法

【担当科目】
基礎分析化学、分析技術の臨床応用、臨床検査など

【研究内容】
1.血液成分分析に関する研究
2.血液を介する感染症に関する生化学的研究

【研究室の学生から一言】
 小嶋先生は、学生の意見に耳を傾け、学生の個性を生かし、楽しい学生生活を送れるように支えてくださっています。実験やイベント行事などを介して学生との絆を大切にしてくださり、先生の笑顔で周りも自然と笑顔にあふれています。私たちは、先生と関わり、日々勉強や実験に充実して励むことができています。そんな素敵な先生がおられる福山大学にぜひ来てください(^_-)-☆

 


5.さあ、これから医療人への第一歩。共に学び、共に成長していきましょう。
 【佐藤 英治-教授/医療薬剤学研究室】 → 研究室ホームページへ

 福山大学薬学部へようこそ。医療薬剤学研究室の佐藤といいます。私は主に高学年(3年生以上)の授業や実習を担当していますが、1年生では「生体機能の調節Ⅰ」という授業を担当しています。来年度、1年生になったみなさんとお会いできることを楽しみにしています。

 さて、私の研究室の名前は、医療薬剤学研究室です。どういうことを研究しているのでしょうか。医療の現場では多くの医薬品が使われていますが、問題はまだまだ山積しています。たとえば、もっと効果的な使い方はないだろうか、薬の飲み合せは大丈夫だろうか、また副作用を防ぐにはどのようにすればよいのだろうか、などが挙げられます。このような医療現場での問題点や疑問点について、保険薬局や病院と共同で研究しています。研究室には、4年生が6人、5年生が5人、6年生が6人在籍していて、日夜、勉学や実験にがんばっています。また、研究活動の他に、研究室では年間を通してたくさんのイベントがあります。春には4研究室対抗ソフトボール大会があり、今年は2位になりました。他にも学生主導でゼミ旅行や忘年会、たこ焼きパーティー、ピザパーティーなどもあり、楽しく過ごしています。

 薬剤師になるための勉強はとても大変のように思うかもしれませんが、基礎からじっくり学んでいけば大丈夫です。実際、研究室の学生もこのように時間を見つけて学生生活を楽しんでいます。福山大学薬学部では勉強などのサポート体制も充実しており、また皆さんの楽しいキャンパスライフを応援しています。皆さんの入学を楽しみにしています。

白衣授与式

研究風景

【担当科目】 
生体機能の調節Ⅰ、基礎病態解析、調剤、事前学習、病院・薬局実務実習など

【研究内容】
1.点滴には多くの医薬品を混ぜますが、混ぜた医薬品がどのくらい安定なのかを調べています。
2.製薬企業が販売していない薬剤は病院の中で作っています。例えば、病院では口から飲むお薬を坐薬に変えて使っていますが、その有効性と医薬品の安定性を調べています。
3.医療の世界では疑問だらけです。そこで、世界の臨床論文を集めてまとめ、疑問を解決する調査研究を行っています。

【研究室の学生から一言】
 佐藤先生は研究や勉強でつまずいたときにも、親身になって相談に乗ってくださり、適切なアドバイスをくださります。飲み会や研究室旅行にも積極的に参加してくださり、昨年の宮島旅行ではもみじまんじゅうをとてもきれいに焼いていました。このような楽しい先生のいる研究室で日々楽しく過ごしています。

 


6.健康増進や疾病予防のサポートも薬剤師の大切な役割の一つです。
 【杉原 成美-教授/衛生薬学研究室】 → 研究室ホームページへ

 「薬剤師の仕事として、どのようことをイメージしますか?」と尋ねられると、みなさんの多くは、病院や地域薬局で調剤したり、患者さんに薬の飲み方などを説明している姿を思い浮かべるかもしれません。しかし、薬剤師の仕事はそれだけではありません。
 
 超高齢化が進んでいる日本では「早期発見、早期治療」に加えて、医療対策として「健康増進」や「疾病予防」、「介護予防」がとても重要になりました。日頃の生活習慣を改善することで、心筋梗塞や脳卒中、糖尿病などの生活習慣病、認知症や寝たきりの状態となることを回避・遅延できることが多くの研究から明らかにされたからです。現在、日本人の平均寿命は世界のトップクラスですが、これからの課題は、生活習慣病を予防し、寝たきりや認知症を抑制して、介護を必要とせずに過ごせる期間「健康寿命」を延ばすことです。

 薬剤師は、調剤業務だけに止まらず、地域住民の健康増進やセルフメディケーションのサポート、在宅医療への関与、健康や病気に関する相談など、地域の中で最も身近な医療人として幅広い役割を担っています。そして、薬剤師の活躍が「健康寿命」の延伸につながることが期待されています。
 
 地域から信頼され頼りにされる医療人になるためには、医療の高度化に対応できる専門的な知識と技能を修得する必要があります。さらに、患者さんに寄り添った人間関係を築く力やホスピタリティが求められます。みなさんが、将来、質の高い薬剤師となり、その役割を果たすことができるように、本学薬学部はしっかりとした教育プログラムを完備しています。

 薬剤師はとても遣り甲斐のある仕事です。薬剤師は地域住民の方々に最も身近な医療人として大切な役割を担っています。薬剤師になって、日本の医療や「健康寿命」の延伸に貢献しましょう。本学薬学部は、高度な専門知識や技能を修得し、患者さんに寄り添える質の高い薬剤師を目指して頑張る学生のみなさんを、しっかりと応援していきます。

実験風景

健康フェスティバルでの啓発と研究活動

【担当科目】
疾病の予防、化学物質の生体への影響、食品衛生、セルフメディケーション

【研究内容】
1.食品中に含まれるフラボノイドによる薬の体内動態に及ぼす影響
2.フラボノイド含有食品による生活習慣病の予防効果~コレステロールの摂り過ぎを防ぐ!~
3.健康増進ならびにセルフメディケーションの支援、及び在宅医療に関する地域薬局の機能

【研究室の学生から一言】
 私は、杉原先生の研究室で、先生方や研究室の仲間と楽しくコツコツと卒業研究や国家試験に向けての勉強を行っています。現在薬剤師にはたくさんの専門知識が求められるだけでなくコミュニケーション能力を身につける必要があるため、研究室での習慣や経験は将来薬剤師になったときに必ず役立つと思っています。

 


7.薬物を病巣に送り込む -薬物送達系に関する研究―
 【田中 哲郎-教授/薬物動態学研究室】 → 研究室ホームページへ

ようこそ福山大学薬学部薬物動態学研究室へ。

 さて、このサイトをご覧の皆さんは薬学に興味を持っている方々だと思います。薬学の研究領域は幅広く、化学あり、物理あり、生物あり、そしてそれらの基礎科学を礎に展開されている様々な応用科学(生化学,薬理学,衛生化学,薬剤学など)の領域を含みます。そのなかでも、薬剤学は比較的薬学の独自的な領域ということがいえます。薬物を医薬品とするためには、剤形(錠剤、散剤、水剤、注射剤、軟膏剤、貼付剤、吸入剤など)に仕上げる必要があります。この剤形に関連する学問領域が薬剤学なのです。私は、九州大学大学院薬学研究科(薬剤学専攻)を経て、創設まもない福山大学薬学部に赴任しました。以来、初代井口定男先生、二代目金尾義治先生よりご薫陶を受けつつ、薬剤学領域での研究・教育に携わって来ました。

 薬剤学には、製剤に関する物性などを研究する物理薬剤学や製剤学、生体内での薬物の運命を研究する生物薬剤学、薬物の体内での動きを特に時間との関係で論じる薬物動態学、医薬品を実地で正しく適用できるようにする医療薬剤学などの研究領域があります。

 福山大学薬学部薬物動態学研究室では、薬物の体内での動き(薬物動態)の評価系を利用し、新しい剤形の研究を行っています。近年、新しい剤形に関するシステムは薬物送達系(Drug Delivery System: DDS)と呼ばれています。薬物送達系に関する研究は薬物の有効性や利便性を引き出しつつ副作用を軽減するなど、患者さんのための研究領域です。

 薬物送達系には、薬物の体内への吸収性を改善したり、薬物の持続性を向上させたり、薬物の病巣への到達度を向上させたりする工夫があります。なかでも、薬物の病巣への到達度を向上させる領域は薬物標的化(Drug Targeting:薬物ターゲティング)と呼ばれ、薬物の有効性を向上さるとともに副作用を軽減することが期待されます。必要な時に必要な場所に必要な量だけ薬物を到達させることができれば、副作用のない優れた薬剤を提供できるはずです。

福山大学薬学部薬物動態学研究室では、薬物の体内での動きを時間的かつ空間的に制御する方法論について研究しています。研究室での活動は、週初めの研究室ミーティングで始まります。週末は英語論文セミナーで論文紹介や進捗報告を行っています。また、時節に応じて、お花見会、新規研究室員歓迎会、忘年会、卒業記念パティーなど、研究室メンバー間の親睦を図っています。これらの親睦会は同学年だけのつながりだけでなく、世代を超えた縦のつながりを結ぶ良い機会です。さあ、皆さん、研究室ライフを通じて人生の最も輝かしい時期を有意義に過ごし、思い出深き学生時代を築きましょう。

実験風景

研究室の親睦会での様子

【担当科目】
薬物の臓器への到達と消失、薬物動態解析、医薬品をつくる特講

【研究内容】
1.制癌剤を癌細胞へ特異的に送り込む新規剤形を開発する。
2.ナノテクノロジーを利用した難溶性薬物の可溶化により新規投与剤形を開発する。

【研究室の学生から一言】
 私は薬物動態学研究室に薬学部学生として4年生から6年生まで所属し、卒業と同時に薬剤師資格を取得しました。現在は福山大学大学院薬学研究科博士課程に進学し、新規投与剤形の研究を行っています。研究室では、先生方とのデイスカッションを通じて、研究の展開を模索しつつその実践にあたる日々を過ごしています。また、非常勤助手として学生実習や課題研究を通じて後輩の指導にも携わっています。これからも研究に精進し、新規剤形の研究を発展させていくつもりです。

 


8.仕事をするからには一流であれ、一流であるために努力することに激烈であれ!
 【前田 賴伸-教授/薬剤情報解析学研究室】 → 研究室ホームページへ

 平成31年4月より、37年間の病院薬剤師(岡山労災病院・副薬剤部長、大阪労災病院・薬剤部長、中国労災病院・薬剤部長)を経て赴任しました。現在、病原微生物と感染症、統計解析と臨床研究、臨床推論演習などの教育に携わっております。医療現場で培いました経験を伝授し、将来、学生達が医師や患者から信頼され、「貴方に会えて良かった」と感謝される薬剤師に育ってくれればと思っております。

 私が尊敬している恩師の座右の銘を紹介したいと思います。それは「仕事をするからには一流であれ、一流であるために努力することに激烈であれ」です。私が学生の時、授業中よく聞かされ、私の脳裏に刻まれたこの座右の銘を意識して病院薬剤師の仕事をしてきたつもりです。どのような人でも、努力しない人間はすぐにサビ付いて使いものになりません。凡人であっても、たとえどのような職業についていても、目の前の仕事に対していつも一流を目指して目を輝かせて懸命に努力している人に、私は魅力を感じます。目の前の仕事に真剣に取り組むこと自体が人を育てると思うのです。これは学生でも社会人でも同じです。目の前の仕事で自分を磨き、「やりたいこと」をはっきりと認識し、「やらなければならないこと」もきちんと理解し実行している人、そういう人物が今、求められています。そのために、学生達が自分の人生を切り開くための「人間力」を増進させるサポーターとして支えていきたいと思います。

医薬品の副作用や相互作用の回避を目指し格闘している「レボフロ班」

学生が夢の新薬を合成している風景

【担当科目】
病原微生物と感染症、医療統計と臨床研究、事前学習など

【研究内容】
1.キノロン系薬と金属カチオンの相互作用を回避させる
2.第三世代経口セフェムのバイオアベイラビリティを向上させる
3.胆汁酸代謝を利用したターゲッティング

【研究室の学生から一言】
 私たちは「レボフロ班」として楽しく活動しております。前田先生は一見怖そうに見えますが、とても面白く楽しい(イケメンの?)先生です。時にコーヒーを飲みながら切れのあるトークをされたり、世界一美味しい「たこ焼き」を作ってくれたりします! また、就職のことにも親身になって相談に乗って下さいます!みなさんもこんな楽しい先生のもとで実験してみませんか!?

 


9.薬剤師は人と向き合う職業です。コミュニケーション能力を育もう!
 【井上 裕文-教授/臨床分析化学研究室】 → 研究室ホームページへ

 薬剤師として医療現場で活躍したいと思っている皆さんは、患者さんと信頼関係を築くために、コミュニケーション能力を身につけていく必要があります。では、どうやってコミュニケーション能力を身につけていくのかということになります。コミュニケーション能力は、その理論を講義で学べば身につくというものでしょうか? そうではなく、人と関わるなかで様々な経験をし、その積み重ねによって身に備わっていくものであるとは思いませんか。このような考えのもと、本学薬学部では「対人関係の気づきの体験学習」として、幼児や高齢者との「コミュニケーション交流学習」を実施しています。

 この交流学習では、幼児や高齢者とパートナーシップを組み一対一の交流を8回にわたり体験します。交流を通して、受講生たちはパートナーから頼られる経験をして役立ち感を掴み、自己肯定ができるようになり、コミュニケーション能力が向上していきます。また、笑顔、優しさ、温かさをもって接するとパートナーも同じように返してくれる経験をして、思いやりを持ってパートナーと関わることができるようになり、ホスピタリティを育むこともできます。

 皆さんは、入学して2年生に進級すると「コミュニケーション交流学習」を受講します。笑顔や優しさをもって人と関わること、人から頼れられることを経験して、ホスピタリティを育みながらコミュニケーション能力を向上しませんか。コミュニケーションは「ちょっと苦手で、、、」という人も、人との関わりの経験を積み重ねることにより、必ずコミュニケーション能力は向上します。私達教員は、皆さんが笑顔でポジティブに幼児や高齢者と交流し、一つでも多くのことに気づき成長できるようにサポートします。一緒に頑張りましょう!!

高齢者施設での交流学習

保育所での交流学習

【担当科目】
コミュニケーション交流学習、薬学入門Ⅰ・Ⅱ、基礎分析化学A・B

【研究内容】 
1.pg(1×10-12g)/mLオーダーで存在する生体成分を検出する!
2.目的の生体成分を素早く分離して効率よく測定する!

【研究室の学生から一言】
 井上先生は、教育熱心な先生です。明るくて話しやすく、授業はとても分かりやすいです。分からないことがあって質問に行っても、分かるまで教えてくれるのでテスト対策もばっちりです。また、土曜の午後には薬学部の先生や生徒と楽しそうにテニスをしています。テニスが好きな人はぜひ声をかけてみてください。

 


10.薬をコンピュータで創ってみよう!
 【秦 季之-教授/活性分子物理化学研究室】 → 研究室ホームページへ

 病気になったとき、様々な薬をもらいますよね。それらの多くはタンパク質にくっついて、その機能を抑えることにより、病気の治療に用いられています。この関係は、薬がカギ、タンパク質がカギ穴に例えられます。カギは決まったカギ穴にしか入りませんよね。この関係を用いれば、カギ穴にうまくあうカギ(薬)を作ることができれば治療薬になる可能性があります。私たちの研究室では、うつ病やパーキンソン病と関係するタンパク質にくっつくカギになりそうな化合物を合成しています。また、コンピュータの中でこの関係を調べる分子シミュレーションとよばれる手法を用いて、可能な限り効率的に薬になりそうな候補を探すことも行っています。

 皆さんは高校でさまざまな科目を学修しています。もしかすると好きな科目よりも嫌いな科目が多くあるひともいるかもしれません。ここで紹介したコンピュータを用いる手法には、生物の知識だけでなく、化学や物理といった科目の内容が役に立ちます。さまざまなことに興味を持って挑戦し、自分を大きく成長させて下さい。あなたの未来は、あなただけのものです。ぜひ輝いて下さい。

分子シミュレーションで得られた結果

実験風景

【担当科目】
物質のエネルギー、物質の構造と相互作用、化学反応速度

【研究内容】 
1.うつ病やパーキンソン病の治療薬の合成と解析
2.タンパク質の構造や性質をコンピュータシミュレーションで解析
3.植物と共生する菌とその菌が作る化合物の探索

【研究室の学生から一言】
 私は秦先生の研究室を卒業し薬剤師として働いています。試験に合格することは大変でしたが、先生から励まされ頑張ることができました。何事も簡単にあきらめず、粘り強く続けることの重要性を研究室で学びましたが、就職してからも必要であることに気づきました。

 


11.遺伝子の知識を身につけて、疾病予防に役立てよう!
 【道原 明宏-教授/病態生理・ゲノム機能学研究室】 → 研究室ホームページへ

 同じ量の薬を飲んでも、普通に効く人、普通以上に効く人、効きにくい人の3パターンにわかれます。なぜでしょう? その違いは遺伝子によって引き起こされていることが分かっています。薬は体の中で分解されていきます。分解に関係している酵素はタンパク質からできています。タンパク質を作るための設計図は何でしょう? 遺伝子の本体であるDNAです。DNAの少しの違いで、できてくる酵素が正常に働いたり、正常以上に働くようになったり、中途半端に働くようになったりします。その結果、薬の効き方が変わってくるわけです。患者さんに適切な薬の量を提供するためには、遺伝子の知識が必要不可欠になってきます。

 DNAの違いにより、いろいろな酵素が働かなくなると、生体内に必要な物質の低下が引き起され病気になることがあります。遺伝子診断により酵素の働きを低下させる遺伝子が早めに分かれば、減少する物質を補うことにより病気を防ぐことが可能になります。つまり、遺伝子の変化を明らかにすることは疾病予防に役立つわけです。そのためには、病気に関連した酵素・タンパク質の働き(能力)、あるいは、それらの量に影響を与える遺伝子を明らかにする必要があります。実際我々の研究室では、疾患モデル動物と健常(対象)動物を比較しながら、疾患に関連した酵素量の減少に関わる遺伝子の探索を行っています。病気に影響を与える遺伝子を一緒に探してみませんか。そして、遺伝子を使って疾病予防に役立てましょう!

実験風景

DNAの電気泳動写真

【担当科目】
生命情報を担う遺伝子、ゲノム情報と創薬、バイオ・細胞医薬品、生体防御Ⅱ

【研究内容】
1.コレステロールは体の中でどのようにつくられるのか。 
2.コレステロールと脳の病気がどのように関わっているか。
3.ストレスと脳の病気がどのように関わっているか。

【研究室の学生から一言】
 薬学部は薬剤師になる勉強だけでなく、研究もしっかりするんですよ。教科書に書かれていないことを明らかにしていくことは本当に楽しくて、ワクワクします。大学を卒業しても研究ができる医学部のある附属病院に就職したいと思っています。遺伝子解析のできる薬剤師をめざしてがんばるぞ!

 


12.抗体を用いた新たな「がん」、「自己免疫疾患」治療薬の開発!
 【今 重之-教授/分子免疫学研究室】 → 研究室ホームページへ

 皆さんは薬学部にどのようなイメージをお持ちですか?もちろん、薬剤師になるための勉強も大事ですが、研究も重要です。未知の生命現象を不思議と捉え、どうしてそのような生命現象が起こるのか、メカニズムを解明したくはありませんか? 私達の研究室では、抗体というある特定のタンパク質を標的とした「鉄砲」のようなものを開発して、新たな病気の治療薬の開発を目指した研究を行っております。具体的には、がん細胞は異物で通常は身体から免疫系が攻撃することで排除されますが、免疫の働きががん細胞の周りは弱まるメカニズムがあります。また関節リウマチなどの自己免疫疾患は逆に免疫系の暴走です。私達は「がん」や「自己免疫疾患」に関与する遺伝子を見つけ、それらの役割を無くすことができる抗体の開発を日々目指しております。 自分の予想した結果が得られたときの喜びは、実験した方しか分かりません。是非、皆さんも一緒に新たな生命現象の解明と治療薬の開発を行いましょう!

図:細胞の異常な接着を抑制できるような物質を開発しています。

図:関節リウマチ、治ったかなあ?

【担当科目】
免疫のしくみ、免疫と疾患、免疫・炎症・アレルギー疾患の薬物治療、感染症の薬物治療

【研究内容】
1.ユニークな視点からの細胞外マトリックス-インテグリン間相互作用阻害剤の開発 
2.細胞接着に着目した新たながん、自己免疫疾患、線維化治療薬の開発

【研究室の学生から一言】
 多くの実験で抗体を使用して、さらに病気も抑えられることを直に感じて、抗体は本当にすごいと思いました。実験することで国家試験の勉強にも繋がりました!

 


13.臨床で求められている問題を解決するための研究のすゝめ。
 【佐藤 雄己-教授/臨床薬効解析学研究室】 → 研究室ホームページへ

 治療法や新薬の開発が目覚ましい昨今、臨床現場では、薬の効果や副作用が発現する要因など、臨床の中で生じる疑問(クリニカルクエスチョン)が多数存在しています。クリニカルクエスチョンを見つけるには、当然勉強や経験が必要ですが、常にいろいろなことに目を向けて、さらに一つの事象を深く掘り下げて物事の本質を見きわめようとする気持ちが最も重要です。そしてこれが解決すべき疑問(リサーチクエスチョン)となり、研究へとつながります。

 薬剤師は、「抗がん剤の副作用はなぜおきるの?治療薬はないの?」「風邪をひいたときに医師から処方される抗菌薬は必要なの?使用方法は正しいの?」「漢方薬はどうやって使用するの?なぜ効くの?」といった薬に関するクリニカルクエスチョンをリサーチクエスチョンに変換して、基礎あるいは臨床研究を行い、その結果を直ちに現場へ還元することができます。リサーチクエスチョンを見つけ、解決できる薬剤師こそが真の薬のプロフェッショナルであり、患者さんや医師・看護師などの他の医療従事者から信頼されると思います。 現在、私共はがん治療や感染症治療、漢方治療等において、薬物血中濃度や生理活性物質の体内挙動をもとに、現場で活用できる「薬の適正使用」を目指した研究を行っています。

 研究の最終目標は臨床で薬を使用する際の効果や副作用を反映する「指標」を見つけ出すことです。 臨床も研究もでき、信頼される薬剤師を目指しましょう!!

図1 薬剤師の行う研究について

図2 いざ研究!!

【担当科目】
製剤の性質、事前学習、総合薬学演習、薬学総論、病院・薬局実務実習 など

【研究内容】
1.生理活性物質を指標として消化器機能異常の機序解明を目指す基礎および臨床研究 
2.PK/PD解析および薬物治療モニタリングに基づく抗菌薬・抗がん剤の適正使用のための研究
3.生体内の生理活性物質を指標とした漢方薬の適正使用のための研究

【研究室の学生から一言】
 研究室では、動物を扱う班やペプチド合成を行う班など、幅広い分野の内容を、とことん研究しています。学生は研究をする真剣な場面と、楽しく会話する場面の切り替えができており、とても良い雰囲気です。新しく赴任された、佐藤雄己先生と共に、日々の研究に励みたいと思います。

 


14.科学の言葉で薬を理解しよう!
 【重永 章-教授/生体有機化学研究室】 → 研究室ホームページへ

 高校生までは化学、生物学および物理学を別々の科目として学びます。しかし、実際にはこれらの間に境界線はありません。特に薬学部では、これら全ての知識が必要となります。例えば、多くの薬は特定のタンパク質に結合することで、その活性を発揮します。薬とタンパク質の結合は、物理学の言葉で説明できます。また、薬の設計や合成には、化学の知識が必須です。さらに、薬の活性評価は生物学の範疇に入ります。つまり、物理学・化学・生物学にわたる幅広い知識を有機的につなぐことで、はじめて薬を理解することができるのです。  

 これまで私は、薬が効くメカニズムを解明するための新たな方法の研究を行ってきました。この結果、統合失調症関連タンパク質の阻害剤結合部位を明らかにすることに成功しています(図1)。この研究でも、物理学(コンピューターシミュレーション)、化学(化合物の設計と合成)および生物学(タンパク質の発現と活性評価)の知識を駆使しています。このように、科学の様々な分野の総合的知識が必要とされる点が、薬学の大きな特徴といえるのかもしれません。  

 「薬学は化学、生物学および物理学の全知識を必要とする総合科学」と言われると、その幅広さに高校生の皆さんは気後れするかもしれません。しかし心配はありません。分からなければ、分かるまで教員に聞けばよいのです。

 福山大学薬学部には私を含め、それに応えることができる様々な分野の専門家が揃っています。科学の言葉で薬を理解したいと思った方は、ぜひ福山大学薬学部を目指してみてください。

 

図1.統合失調症関連タンパク質(赤色部分が、私たちが明らかにした阻害剤結合部)

図2.実験室の風景

【担当科目】
生体分子の構造と化学的性質 など

【研究内容】
1.生物活性化合物(薬の素)の作用機序解明に資する新規ツールの開発 
2.生命現象解明のための新たな方法論の確立
3.脂質関連化合物の作用機序解明と高活性誘導体の創成
4.上記研究の基盤となる有機化合物の新規合成法の開拓

【研究室の学生から一言】
 重永先生は、分かりやすく丁寧に教えて下さいます。実験では、一人一人が集中して取り組んでおり、また、メリハリがあって良い雰囲気の中で実験をしています。生体有機化学研究室は始動したばかりですが充実した日々を送っています。

 


15.福山大学薬学部には学んで成長するための「何か」がある!!
 【竹田 修三-教授/衛生薬学研究室】 → 研究室ホームページへ

 私は、2020年4月に着任しました。実は、私もタイトルにある「何か」と出会うために、ここに来ました。みなさんは「どのような基準で大学を選んでいますか?」もちろん、国家試験の合格率が良いからなど、理由は多様だと思います。この観点からすると、福山大学薬学部は中四国の私立薬科系の大学では、例年高い合格率を誇っています。しかし、福山大学薬学部の魅力はこれだけではないのです。

 薬剤師を取り巻く環境はめまぐるしく変化しています。この状況に対応するためには、「単に薬剤師になる」ために薬学部に入学したいというのではなく、みなさんはこの大学で学んだら、ほかの大学の学生とは違う「何か」を身につけて社会に羽ばたくという明確な目標を抱いて欲しいのです。福山大学には、薬学部のほかに、文科系学部や工学部があり、理系・文系の総合大学として学ぶ環境が用意されています。薬剤師が医療系の多職種のスタッフと連携することは当然です。しかし、医療現場には「ヒト」だけではなく、ヒトの活動を支えるたくさんの医療機器があります。これら機器の開発には工学系の研究者の英知も集約されています。

 大学は、教育と研究の両輪で成り立っています。学生は1人では育ちません。的確な指導者が必要です。しかし、育てるためには、指導者の能力が求められます。福山大学には、全国の学会で活躍する教員がたくさんいます。これまでに私が出会いつつある「何か」については、みなさんが入学後に語りたいと思います。2021年度から11階建ての新校舎「未来創造館」が稼働します。ここに薬学部が新たに入ります。最新の環境でみなさんと一緒に世界を目指した研究をしたいものです!!

 研究テーマは、下にある1と2です。私は、現在、広島県では唯一の大麻研究者で、大麻成分の薬理・毒性研究を行っています。ほかにも、身の回りにある環境化学物質が乳がんに与える影響を分子レベルで明らかにし、予防法の確立に向けた研究を進めています。

図1 環境化学物質によってがん細胞が悪性化する??

図2 日々発見の連続です!!

【担当科目】
化学物質の生体への影響、食品衛生、セルフメディケーション など

【研究内容】
1.大麻は毒か薬か?:大麻成分の薬理・毒性研究 
2.環境化学物質による乳がん悪性化機構の解明と予防法の確立に向けた研究(図1)

【研究室の学生から一言】
 竹田先生は、研究に行き詰まった時はいつでも親身になって相談にのってくださいます。しかし、一方的に答えを教えてくださるのではなく、学生自身が考えて答えを導けるようなアドバイスや指導をしてくださいます。そのため、受動的に行動するのではなく、自分たちが主体となり考え、研究を実行できる力が身についています(図2)。誕生日会などの研究室の行事も一緒に盛り上げてくれます。また、色々な話をしてくださるため、日々楽しく過ごしています。

 


16.患者の命を助ける臨床薬剤師の魅力。互いの目標を達成できる研究室を目指して。
 【高根 浩-教授/実践医療薬学研究室】 → 研究室ホームページへ

みなさんが思い浮かべる薬剤師の仕事とはどのようなものでしょうか?

私は大学病院の薬剤師として約20年間、医療現場の最前線で患者の生命と尊厳と向き合いながら『薬物療法のプロフェッショナル』とは何かを考えて過ごしてきました。図1に示したように、患者の状態を診断して薬物療法(薬の処方)を最終決定するのは医師の役割です。では、薬剤師の役割とは。医師の処方せんに従って薬を調整(調剤)して、薬の説明をすることが薬剤師の仕事なのか?(図1の①~③)。そうではありません。薬剤師は医師をも凌駕する豊富な薬に関する情報と患者を診る力、コミュニケーション力をもとに、患者に起こりえる副作用や薬の飲み合わせなどを推察し、科学的な根拠にもとづいて最適な薬物療法を考えて医師に提案しています(図1の⑤と⑥)。皆さんの想像通りでしたか。

図1  医薬品をより安全かつ効果的を使用するための薬剤師の役割(①~⑥)

医師や看護師の人間模様を描いた医療ドラマは毎回高視聴率で支持されています。最近、病院薬剤師を主人公とした史上初のドラマが放送されました。主演を務めた俳優さんはドラマを通じて、“薬で命を助ける専門家”なんだと痛感されたそうです。ズバリ、薬剤師は“薬学の力で患者の命を救うことができる”魅力的な職業なのです!

私の研究室は「実践医療薬学研究室」と言い、実際の医療現場で起こっている薬物治療上の問題を薬学的視点から原因を追究し、科学的根拠に基づいた実践的な解決方法を探索しています。中でも、感染症の原因である病原微生物をたたく薬である抗菌薬をより効果的かつ安全に使う方法の開発を行っています。わが国では感染症の専門医が十分揃っていない病院が多いため、薬剤師の活躍に対する社会的ニーズが高く、薬物療法のスペシャリストである専門薬剤師の資格が取得できる領域です。研究室は2017年9月に創設されたばかりですが、学生と教員が今何をしないといけないのかを考え、理解して、コミュニケーションを取りながらお互いの目標(薬剤師国家試験合格、就職、学会発表・論文発表)を達成できるようにチーム一丸となって頑張っています。

図2 地域の抗菌薬使用量と薬剤耐性菌検出の関係を分析している私

【担当科目】
病院・薬局実務実習、病原微生物と感染症、臨床推論演習 など

【研究内容】
1.抗菌薬の安全かつ効果的な使い方に関する研究 
2.課題解決を志向した抗菌薬耐性対策サーベイランスシステムの開発とその評価 
3.抗菌化学療法におけるEBM実践能力向上を目的とした卒前・卒後教育システムの開発

【研究室の学生から一言】
 高根先生は、学生一人ひとりのことを親身になって考えて下さり、分からないことがあれば一緒になって悩んで下さるような尊敬できる先生です。トークがとても面白く、研究室を和ませて下さいます。サッカーの観る専だそうなので、話題を振れば盛り上がること間違いなしです。

 


 

*受験生からのいろんな疑問については、以下の「受験生のための Q&A」をご覧ください。

【受験生のための Q&A:https://www.fukuyama-u.ac.jp/pharm/pharm-q-and-a/

 

(薬学部M)


福山大学薬学部の教員・研究室の活動内容については、 【教員紹介】 をご覧ください。