【生物科学科】ラオス海外研修~ラオスでのラム酒造りと文化体験~

生物科学科ではラオス海外研修として、学生12名と引率教員2名が、ラオスを訪問しました。前回ラオス国立大学との交流について報告しましたが、今回は本研修の一番の目的であるラオスでのラム酒造りと文化体験について、生物科学科吉崎が報告します。

 

福山大学ラオス醸造研修所(ヴィエンチャン)

ラオス人民民主共和国の首都ヴィエンチャンには、福山市出身の井上育三会長が設立したラム酒製造メーカーLAODIがあります。井上さんは本学生物科学科の非常勤講師も務めており、LAODI社には「福山大学ラオス醸造研修所」の看板が掲げられています。まずは井上会長よりLAODIでの研修についてオリエンテーションがあり、参加学生からそれぞれ抱負を語ってもらいました。

 

LAODI社の敷地内には広大な自社農場があり、そこでラム酒用のサトウキビを生産しています。さっそく社員に混じり、学生たちはサトウキビの収穫を体験しました。東南アジアにあるラオスは12月はとても過ごしやすいシーズンとされていますが、それでも日中は30℃を超えます。体験と言いながら、酷暑の中の2時間、かなりの重労働でした。

 

強い日差しの中の作業を終えたと思ったら、次はサトウキビの搾汁作業です。こちらは屋根の下の作業でしたが、機械を止めないようずっと動いていなくてはならず、かなりの肉体労働を延々とこなしました。酒造りの大変さを少しだけ知ることができました。

ラム酒を知らない方の為に、一般的にはサトウキビから砂糖を精製したあとの残渣(廃糖蜜)を発酵させ、蒸留して得たお酒のことを言います(インダストリアル製法)。LAODI社では廃糖蜜ではなく、絞りたてのサトウキビ汁のみを用いて造るのが特徴で、フレッシュでフルーティーな香りがあり、すっきりとした飲みやすさがあります(アグリコール製法)。

肉体労働を終えた後は、製造設備を見学させてもらいました。ラオスはサトウキビ生産が盛んな訳ではなく、ラム酒を造るメーカーも無かったところ、井上さんはサトウキビの原産地であるラオスでこそラム酒を造る価値があると思い立ち、52歳でLAODI社を立ち上げたとのことです。ラム酒造りの哲学について学ばせてもらいました。

ラオスとタイの国境を流れるメコン川も見学しました。メコン川は周辺人口6000万人が暮らす東南アジア最長の川で、母なる川と呼ばれています。研修中はこの川で獲れた魚をたくさんいただきました。ラオスは国民の6割が仏教を信仰し、ラオス人の穏やかな気質に影響していると言われます。首都ヴィエンチャンにはたくさんの寺院があり、人々の生活に密着しています。写真はラオス最高峰の寺院、国のシンボルともなっているタート・ルアンです。研修中はいくつもの寺院を訪れ、文化に触れてきました。

スファヌボン大学訪問(ルアンパバーン)

研修の後半はヴィエンチャンから電車で約2時間、世界遺産の古都ルアンパバーンに移動し、まずは昨年度本学生命工学部とMOA(Memorandum of Agreement)を結んだスファヌボン大学農学・森林資源学部を訪れました。今回はその合意書に基づき、教員と学生との交流が図られました。

スファヌボン大学では吉崎准教授よりブドウ栽培・ワイン醸造研究に関する研究発表を行いました。現地の果実などを用いてワイン造りを試行されている先生がおられて、大変興味をもって聞いてくれました。また、日本の焼酎麹と現地のモチ米を用いた新しい蒸留酒の共同開発を提案し、今後両大学で取り組むことになりました!

続いて本学の学生から、日本の文化や福山大学について、英語でプレゼンテーションを行いました。日本への留学に興味があるという学生さんがいて、こちらも質疑応答で大変盛り上がりました。先方の学生さんからは、「なぜ日本では魚を生で食べるのか?」という質問がありました。海の魚を食べる機会がないラオスでは疑問に思うのも無理がないですね。

スファヌボン大学の訪問を終えた後は、現地の特産品であるモチ米の蒸留酒Lao-Laoの工場を見学しました。写真は直火による蒸留器で、甕に溜液を集めていました。伝統的に造られているLao-Laoは製造所によってバリエーションがあるそうですが、きちんと調べた文献等がほとんどなく、興味が尽きなかったです。

古都ルアンパバーンにも多くの寺院があり、ここでもいくつもの寺院を訪れてラオス文化に触れました。こちらの写真は有名なワット・シェントーンという寺院本堂に背面ある、「生命の木」を表した絵です。仏教の世界を表しているとのことで、お土産屋さんではこの絵をモチーフにしたものがたくさん売られていました。

最後に、ルアンパバーンを訪れる観光客は必ず訪れるという有名なクアンシーの滝へ行ってきました。エメラルドグリーンの美しい水が特徴で、自然豊かな森をちょっとしたハイキングをして辿り着くことができます。研修の疲れも吹き飛ぶ絶景スポットでした。

今年度もラオス海外研修を無事に終えることができました。現地で研修を受け入れてくださったLAODI社のシハッタ社長、井上会長、ラオス国立大とスファヌボン大学の皆様、大変お世話になりました。またこの研修の支援をいただきました本学と関係者の皆様に感謝申し上げます。

2019年度

2022年度:①LAODI②大学間交流③小学校訪問④番外編

2023年度:①文化研修、②LAODI③大学間交流

2024年度:①奨学金授与②ラオス国立大(MOA締結)③ラオス国立大(国際交流)

 

 

学長から一言:生物科学科のラオス研修のいくつかのハイライトがギュッと詰まった内容の濃い報告です。ラム酒をつくるためのサトウキビの収穫あり、製造工程への参加あり、協定校のスファヌボン大学での研究交流、そしてラオスの生活や歴史や文化に触れるなど、参加した学生の皆さんは福大での日常を離れ、変化に富んだ日々を堪能したことでしょう。この経験をこれからの学びに活かしてください。期待しています。