【建築学科】本学科の学生の作品が建築新人戦2024の100選に選ばれました!

福山大学建築学科では、建築コース(デザイン系)を選択した2~3年生の「建築設計演習」という授業があります。今年度、3年生前期の課題で設計した「美術館」が、建築新人戦で100選に選ばれました。設計者や教員のコメントをお届けしたいと思います。FUKUDAI Magの学科委員であり、3年生前期の「建築設計演習Ⅲ」担当した大畑から紹介させていただきます。

 

建築設計演習Ⅲ(3年生前期)では、尾道の海と山にそれぞれ美術館を設計しました。建築設計演習の課題では、敷地が指定されるのが一般的で、それ以外に建築物の面積や階数、どのような部屋を必要とするかが提示されます。
「美術館」は美術品を展示する博物館であり、どのような作品を展示し、どのような展示を行うことが効果的であるかを考えるのが大きなポイントになります。また、建築物をどのような形にデザインするかが設計の醍醐味です。

「建築新人戦」は、全国の建築学生が取り組んだ設計課題作品を対象に実施するコンテストです。今年度、授業で設計した美術館の作品を「建築新人戦2024」に出品し、1,000を超える作品の中から100選に選ばれた学生をご紹介します。

建築学科3年生の大土井彪さんです。

設計者である大土井彪さんにインタビューしてみました。

1.設計した美術館について、教えてください。
「尾道という町並みは歴史的な建物や寺が多く並んでいます。そこに西洋風なもの、曲線的なものは合わないと考え、日本的でかつ美術館のような象徴的であるものを考えました。そのため、日本の建築に用いられる軸組み構造の建築を創りました。」

2.デザインするうえで、目指したかったことや工夫した点を教えてください。
「まず、作りたい情景が神聖さを持った空間、特殊な空間を作りたかったため木のグリッドによる連続的で吸い込まれていくような視覚的な空間のアプローチを行い、日本的という考えから尺貫法による配置を行いました。色へのアプローチがこの建築の強みであり、“尾道らしさ”を明かりやアクセントカラーに赤みを付けることで表現しました。」

3.自分の作品が全国で100選に選ばれた感想を教えてください。
「正直選ばれるとは全く思っていなかったため大変驚きました。予定も選ばれることを全く考えず組んでいたため担任の先生のサポートに大変助けられました。また、今まで同学の友人としか比べることがなかったため、会場で日本中の学生のコンペ作品の傾向や表現を知れるとても有意義な機会となりました。」

4.今後どのようなことを学びたいですか。今後の抱負を教えてください。
「自分の作品は、どれもまだまだ至らないものであると考えているため、CGや模型について表現力を高め、構想段階での形の意義・意味についてよりストーリーのあるものにしていきたいと思っています。」

建築設計演習Ⅲは、河口教授、長岡客員教授、大畑の3人で担当しています。本学建築学科出身の建築家である河口教授と長岡客員教授から、多くの刺激を受けながら美術館の設計に取り組みました。

担当教員からのコメントもご紹介します。

【河口教授】
尾道の古い街並みを臨む千光寺公園のふもとに、木造フレームの構造体を露わにしたこの作品は、京都の清水寺を連想させる。
設計者本人の、大胆の構想と建築フレームの構成の美しさが、周囲の自然と交わって、空間そのものをより豊かにしている。

【長岡客員教授】
授業では、何度も形態の模索を繰り返して、最後の形を見出している。
そのうえで“表現”という意味でも、素晴らしい世界観があると感じられる。
これからも、もっといろんな作品を見て、いろんなことを吸収して、建築と向き合って頑張ってほしい。

【大畑講師】
海と山の2つの美術館のうち、山の作品が今回100選に選ばれました。
この敷地はとても傾斜があり、厳しい条件を乗り越えた作品となっています。
授業では毎回試行錯誤する様子を見させてもらいましたが、自身が持つ“こだわり”に妥協せずまとめ上げることができており素晴らしいと思いました。
さらに、課題を通じてCGの技術が大きく磨かれ、将来の設計にも活かされる強みになると思います。

(授業で作品の発表をしている様子です)

大土井さんの作品のパネルは新人戦2024のホームページから見ることができます。

今回ご紹介したように、建築学科では、いろいろなコンテストに挑戦して、設計力やプレゼンテーション力を培う機会がたくさんあります。

また、建築学科では「建築製図演習」や「建築設計演習」の優秀作品を製図賞として表彰し、2号館2階に展示しています。お気軽にお越しください。

 

学長から一言:全国の建築専攻学生が設計の腕を競う「建築新人戦」。1,000を越える応募作品から選ばれた優秀作品100点の一つを作った建築学科3年生の大土井彪さん、実に素晴らしい! きっと地元尾道の風景に溶け込む美術館になっているのでしょう。設計だけでなく、実際に将来われわれの目の前に建物が現れるようになるまで、どうぞ引き続き頑張ってください。