安全安心防災教育研究センター
Education and Research Center for Safe, Secure and Disaster Prevention
安全安心、環境に対して工学の立場から地域連携・ものづくりの高度化を推進し地域の活性化・発展に貢献する
安全安心防災教育研究センターは、福山大学における安全安心防災教育研究にかかる先端的な学術研究基盤を強化して、福山大学研究推進委員会の目的に沿って、工学部を中心とする安全安心防災に係る教育研究を推進するとともに、地域の研究機関、産業界、自治体及び関係諸団体等広く社会と連携して活力ある地域づくりに貢献すること、技術振興に資することを目的とします。
概要
当センターは、阪神・淡路大震災をきっかけに地震に対する防災を目的として設立されたハイテク・リサーチ・センター(2004年より構造・材料開発研究センター)を、更にIoTやAI等の先端技術を活用して福祉・環境等も含む広い範囲での人々の安全安心や暮らしの向上に貢献すべく組織を拡張して2014年に再設立されました。現在の当センターは、旧センターの目的を継承する構造・材料開発研究部門と、新たな河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門、スマートコミュニティー教育研究部門で構成されます。
当センターは工学部、工学研究科を主たる運営組織とする大学直属の機関であり、同様の他の学内研究組織と協働して福山大学ブランディング研究プロジェクトを支える一方、当センター個体としても地域の研究機関、産業界、自治体等と連携した研究を推進し、安全安心で活力ある地域づくりに貢献します。得られた学術成果は、学術論文、学会発表、公開講演会、年次活動報告書等で公表するとともに、産学連携推進と人材育成により地域社会の発展に貢献します。
運営組織図
センター長メッセージ
当センターの母体である構造・材料開発研究センター(現構造・材料開発研究部門)の発足のきっかけとなった阪神淡路大震災では日本のどの場所も災害に対して安全とは言えないことを思い知らされ、また東日本大震災からは構造物に頼り切った防災対策は不十分であることが明白となりました。当センターではこの事実を踏まえ、母体のハード面の防災開発研究に加え、ソフト両面からの防災・減災に取り組んでいきます。また、地域が発展するためには、自然災害だけでなく、交通災害をはじめとするさまざまな災害に対する対策に加え、福祉の高度化ほか生活全般に亘る安全安心の充実が必要であり、また、我々の大切な財産である瀬戸内の豊かな環境を保持、活用していくことが不可欠です。瀬戸内の恵まれた環境を活かしつつ、我々が一生住みたい、子供にも住ませたいと思える、そのような住みよいまちを作り上げていくために、地域の人々の思いと工学のテクノロジーを融合させて新たなまちのかたちを作り上げる、そのような共同体をスマートコミュニティーと名付け、この創生を新しくに結成されたスマートコミュニティー教育研究部門が担います。当センターでは、このような安全安心、環境に対して工学の立場から貢献し、地域連携・ものづくりの高度化を推進して地域の活性化・発展に取り組みます。
安全安心防災教育センター長
教授 仲嶋 一
運営体制
安全安心防災教育研究センター運営委員会(令和5年4月1日現在)
役職名 | 氏 名 | 学内指定職 |
---|---|---|
委員長 | 仲嶋 一 | 安全安心防災教育研究センター長 (河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門長) |
委員 | 都祭弘幸 | 安全安心防災教育研究副センター長 (構造・材料開発研究部門長) |
委員 | 梅國 章 | 工学部長 |
委員 | 井ノ内 直良 | 研究科長等協議会議長 |
委員 | 中村 雅樹 | 社会連携センター |
委員 | 中東 潤 | 機械システム工学科 |
委員 | 津田 将行 | 大学教育センター |
委員 | 歌谷昌弘 | スマートコミュニティー教育研究部門長 |
委員 | 関田隆一 | 電気電子工学科 |
委員 | 伊澤 康一 | 建築学科 |
委員 | 中道 上 | 情報工学科 |
委員 | 佐藤理恵 | 工学部・生命工学部事務長 |
幹事 | 佐藤理恵 | 工学部・生命工学部事務長 |
部門紹介
構造・材料開発研究部門
西日本最大級の共同利用実験設備を有する施設
福山大学 安全安心防災教育研究センター・構造材料開発研究部門(30号館)は、文部科学省私立大学ハイテク・リサーチ・センター整備事業に基づいて2000年に開設された、西日本最大級の共同利用実験設備を有する施設です。
本部門では、スタッフの密接な協力のもと、建築・土木構造物の耐震性向上とその性能評価法、耐震構造用新機能材料の開発に関する研究を行っています。これらの研究開発プロジェクトは、福山大学単独のテーマだけではなく、国土交通省や地方自治体(官)、他大学(学)、民間企業(民)との共同テーマに関しても取り組んでいます。
本部門で実施されたこれまでの研究開発プロジェクトの多くの成果は、日本建築学会、日本土木学会、その他の学協会における講演会・シンポジウム、大学主催の公開講座・研修会等を通して広く社会に還元しています。福山大学がある備後地域は、地震被害が比較的少ないところですが、近い将来の発生が危惧されている南海トラフ地震に備えて、防災・減災に関する最新の情報提供や防災士の育成で貢献しています。
これまでもこれからも地域に根差した大学・研究機関として、地域の産官学民機関の方々に積極的にご利用いただくことで地域社会の持続・発展に貢献することを本部門の使命としています。
構造・材料開発研究部門長
都祭 弘幸
研究員
構造・材料開発部門長
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
都祭弘幸 | 建築学科 教授 | 建築構造,コンクリート構造,耐震構造 |
研究員
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
梅國 章 | 建築学科 教授 | 建築生産、材料施工、建築構造 |
中東 潤 | 機械システム工学科 准教授 | 材料工学 |
河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門
芦田川としまなみを中心に川と海の環境と安全を考える
河川はまちを貫いて里山と里海を結び、生活用水の提供をはじめ様々な恵みを我々に提供しています。しかしながら過去においては高度成長の中で河川の環境破壊が進み、近年改善されているものの、芦田川をはじめ近隣の河川は更なる環境の改善を必要としています。
一方、河川は災害の発生源でもあり、近年急増する集中豪雨による洪水に加え、河口域における津波、高潮を含めた防災、減災対策が急務となっています。
このような背景から、河川環境の保全を研究すること、河川構造物の面から防災の研究を行うこと、洪水発生の予知と避難等による減災の研究を行うことは、当センターの重要な研究分野であると認識し、これに係る教育研究部門として、「河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門」を新設しました。
河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門長
津田将行
研究員
河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門長
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
津田将行 | 大学教育センター 准教授 | 河川工学、応用生態工学 |
研究員
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
香川直己 | 電気電子工学科 教授 | 電子機器学 |
仲嶋 一 | 電気電子工学科 教授 | 計測工学、波動応用技術 |
スマートコミュニティー教育研究部門
事故を未然に防いで住みよいまち作り!
私たちの日常生活には事故につながるリスクが潜んでいます。これまでは事故が起きて、それと同種の事故が再発しないように対策を採ることを繰り返してきましたが、新しい時代の住みよいまち作りでは、経験したことがない事故も未然に防止することが必要となります。住みよいまちの基盤となる安全は「事故にあいませんように!」と願うだけではなく、リスクを考えてその対策を事前に採ることで構築できます。
安全を基盤として、瀬戸内の恵まれた環境を活かしつつ、安心して我々が一生住みたい、子供にも住ませたいと思える、そのような住みよいまちを作り上げるべく、地域の人々の思いと工学のテクノロジーを融合させて地域創生へつなげることが本部門の目標です。
そのために工学で何をしたら良いかを追求するスマートコミュニティー教育研究部門では、各種安全技術、くらしを豊かにするIoTとAI、先端的ものづくり技術、福祉を念頭においた住環境デザインなどを地域創生として総合的に研究します。さらに、社会安全工学教育を工学部の基盤教育として、地域と産業界において、もっとも必要とされている「リスクを考え」、「様々なマネジメントができる」クリエイティブな技術者を育成する教育を実施します。
スマートコミュニティー教育研究部門長
歌谷 昌弘
研究員
スマートコミュニティー教育研究部門長
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
歌谷昌弘 | 電気電子工学科 教授 | 電力工学 |
研究員
氏 名 | 所 属 | 専 門 |
---|---|---|
関田隆一 | 電気電子工学科 准教授 | システム工学、システム安全、 安全・品質・信頼性マネジメント、宇宙機推進系 |
伊澤康一 | 建築学科 准教授 | 建築環境学 |
佐藤圭一 | 建築学科 教授 | 建築史、都市地域計画史 |
中道 上 | 情報工学科 教授 | ソフトウェア工学、HCI、要求工学、認知科学 |
池岡 宏 | 情報工学科 教授 | コンピュータビジョン、画像処理、CG、AI |
施設・設備
構造・材料開発研究センター
研究プロジェクト
ひと・まち・くらしプロジェクト
ひと・まち・くらしプロジェクトは「ひと、まち、くらし」をキーワードとして地域の産業界や自治体組織などと連携して、地域の活性化につながるようなテーマについて各学科が専門性に応じて取り組むプロジェクトです。地域でのフィールドワークや地域諸団体の協力など、一連の活動によって社会人基礎力や学士力の効果的な向上をこのプロジェクトでは目指します。
令和3年度 プロジェクト一覧(○は研究代表者)
プロジェクト名 | 担当教員 | 所属 |
---|---|---|
看護・介護を支援するスマートシステムに関するプロジェクト | ○中道 上 | 工学部 情報工学科 教授 |
仲嶋 一 | 工学部 電気電子工学科 教授 | |
瀬戸内の里海プロジェクト | ○仲嶋 一 | 工学部 電気電子工学科 教授 |
田中 聡 | 工学部 電気電子工学科 准教授 | |
沖 俊任 | 工学部 電気電子工学科 准教授 | |
伍賀正典 | 工学部 電気電子工学科 准教授 | |
伊澤康一 | 工学部 建築学科 准教授 | |
池岡 宏 | 工学部 情報工学科 教授 | |
備後地域遺産研究会 | ○佐藤圭一 | 工学部 建築学科 教授 |
中嶋健明 | 人間文化学部 メディア・映像学科 教授 | |
行動分析と誘導支援,小児向け教育支援 | 〇池岡 宏 | 工学部 情報工学科 教授 |
山之上卓 | 工学部 情報工学科 教授 | |
宮崎光二 | 工学部 情報工学科 准教授 | |
森田翔太 | 工学部 情報工学科 講師 |
委託事業・研究
平成28年度 文部科学省委託事業「学校施設の防災力強化プロジェクト」
本事業では、地域の典型例として福山市立今津小学校およびその学区を取り上げ、救急避難期における学校機能のあり方に焦点を当て、地域住民へのアンケート調査、人の迷い行動の調査、リスクマップの作成、模擬避難といった学校内外における避難行動全般にわたる調査を行いました。これらから課題を洗い出し、避難誘導における学校施設の新たなモデルを提案するとともに、地域住民の津波避難に対する心が構えを形成することを目的としました。また、この地区の特徴は瀬戸内海沿岸にしばしば見られるものであり、この地区における調査・研究は瀬戸内全域にわたるモデルケースとして展開できるものであり、この結果は複数の類似環境でも活用されることも期待されます。
平成30年度 国土交通省委託研究「芦田川の二極化抑制のための河道計画に関する研究」
近年、多くの河川において、流況の変化に伴う河床撹乱の頻度の低下、規模の変化、土砂供給量の減少により、流路部では洗掘により河床低下が進む一方で対岸や中洲などは土砂が堆積しており、河川横断面での比高の差が大きくなっています。そして土砂堆積部では樹林化が進行しており、流下能力の低下による治水機能の低下、河川植生への影響が問題となります。芦田川においても中下流域において河道内の樹林化が進行しており、治水上危険な箇所については、樹木の伐開と河道整正の河川改修が行われています。本研究では、芦田川で樹木の伐開と河道整正が行われた箇所を対象として、河川改修後の植生と土砂堆積のモニタリングを行い、植生の遷移過程と土砂堆積の進行状況について調査を行いました。
令和元・2・3・4年度 国土交通省委託研究「芦田川中下流部の河道形態・構造の防災評価ならびにビオトープの生態評価」
芦田川の中下流域河道区間は河川構造物が多く、水質の異なる河川の交わる特異的な河川環境です。本研究では、これを洪水災害に係わる防災工学的研究と多様な自然環境の下で棲息する水生生物種の活性に及ぼす影響評価に係わる生物科学工学的研究に大別し、将来のニーズに応えることを目的としています。
研究報告書
安全安心防災教育研究センター活動報告書
委託事業報告書