【グリーンサイエンス研究センター】令和6年度成果報告会(2/27)
「生物多様性」と「生物資源」は福山大学が「瀬戸内の里山・里海学」を合言葉に近年成果を上げてきた研究テーマです。本学から資金援助を受けて、2つのチームが3年間のプロジェクトを実施しており、今年度末にプロジェクトを終えます。その成果を発表する場として、来月2月27日(木)に「グリーンサイエンス研究センター令和6年度成果報告会」を開催することとしました。学内をはじめ、地域の皆様にもぜひお越しいただき、研究成果を共有できれば幸いです。グリーンサイエンス研究センター長の佐藤(生物科学科)が紹介します。
第一部『瀬戸内海島嶼における生物多様性形成史の解明』
第一部では、瀬戸内海や島に生息・生育する魚類、藻類、哺乳類を対象に、どのように本地域の生物多様性が形成されてきたのかを考えます。中でも藻場や森や島そのものの生態系のつながりを生き物の視点からとらえていく研究を紹介します。そして、その研究成果をどのように地域社会に伝えていくのかという科学コミュニケーションに関する発表があります。海や森のいきものを通した生態系のつながりを感じていただければ幸いです。
前半のプログラム:
14:30~14:35:開会の挨拶
14:35~15:35:第一部 『瀬戸内海島嶼における生物多様性形成史の解明』報告
はじめに~研究の視点~(海洋生物科学科 阪本憲司)
海のつながり
–海藻は藻場間でどの程度交流しているのか(海洋生物科学科 山岸幸正)
–流れ藻は藻場をつなぐのか?~ワレカラ類にとっての流れ藻の役割~(海洋生物科学科 金子健司)
–アミメハギが教えてくれた藻場のつながり(海洋生物科学科 阪本憲司)
森のつながり
–アカネズミが教えてくれた島のつながりと森のつながり(生物科学科 佐藤淳)
科学コミュニケーション
–里山・里海学の情報発信とフィールド体験(海洋生物科学科 真田誠至)
まとめとこれから(海洋生物科学科 阪本憲司)
第二部『豊饒の海「しまなみ」資源のSDGs』
第二部では、シロギスやスサビノリという地域の資源を如何に利用して社会に役立てていくかに関する研究を紹介します。特にシロギスを対象に生物学的、及び工学的視点から、より良い養殖を目指す学際的な研究を聞くことができます。総合大学の特色を活かした、生命工学部、工学部、薬学部の間の共同研究が実現しました。地域に眠る資源に価値を与える研究です。
後半のプログラム:
15:45~16:45:第二部 『豊饒の海「しまなみ」資源のSDGs』報告
はじめに〜持続的な資源利用の重要性〜(海洋生物科学科 有瀧真人)
瀬戸内の里海資源スサビノリの健康維持機能の探索に関する研究(薬学部 杉原成美)
福山大学発〜シロギス養殖のこれまでとこれから〜(海洋生物科学科 有瀧真人)
シロギス養殖システムの開発〜工学的チャレンジ〜
–AIを用いた自発給餌システムの開発(情報工学科 池岡宏)
–太陽熱利用水槽加温システムのシミュレーション(建築学科 伊澤康一)
16:45~16:55 全体を通した質疑
16:55~17:00 講評
17:00~17:00 閉会の挨拶
要旨
やや堅い文章ですが、成果報告会を用紙にまとめると以下のようになります。
「令和6年度をもって、グリーンサイエンス研究センター研究プロジェクトの中で2件が3年間の研究を終え成果をまとめる段階にある。福山大学独自の研究助成を受け、どのような成果を得てきたのか、そしてそれをどのように社会に発信し福山大学の研究プレゼンスを高めてきたのかを本学教職員および学生を中心として地域の皆様とも共有することを目的に研究成果報告会を開催する。1件目のプロジェクトは「瀬戸内海島嶼における生物多様性形成史の解明」で、地域の生態系がどのように形作られてきたのか、そして現在どのように維持されているのかを明らかにしようとしたプロジェクトである。2件目は「豊饒の海「しまなみ」資源のSDGs」で、養殖資源を中心として、地域の資源をどのように有効活用していくのか、そしてそれをどのようにSDGsの達成につなげてくのかを追求したプロジェクトである。本学のブランド研究「瀬戸内の里山・里海学」の根幹を担う、生物多様性と生物資源利用のプロジェクトの成果を、学内の多様な専門分野の教員に聞いていただくことで、本報告会が今後の新しい研究プロジェクト創出の種になること、そして将来的に里山・里海学をどのように展開すべきなのかを考えるための題材になることを期待したい。」
以上、皆様のお越しをお待ちしております。
学長から一言:福大ブランドの研究「瀬戸内の里山・里海学」という大きな括りの中で、本学独自の研究助成金によるサポートも含めて展開されている研究のうち、グリーンサイエンス研究センターがらみの諸研究の多様な成果がまとめて確認できる好機会。研究費を獲得したら、その成果を目に見える形で公開するのが「仕上げ」であり、大いに楽しみな報告会になりそうです。