学部・学科・大学院
薬学科
髙山 健人(たかやま けんと)

職 名 | 講師 |
---|---|
学 位 | 博士(薬学) |
専門分野 | 漢方薬物学、生薬学 |
メッセージ | 漢方薬は、植物などの身近な天然資源を加工した「生薬」から構成され、歴史的経験の積み重ねによって有効性が裏打ちされた医薬品です。私たちは、多彩で特徴的な作用を示す漢方薬の有効性を科学的に解明することで、漢方薬の適正使用の普及に努めていきます。 |
腸内細菌叢とのクロストークを介した漢方薬の薬効発現の解明
近年、腸内細菌叢の変化は免疫疾患や代謝性疾患などさまざまな疾患の発症に関連することが明らかになり始めています。そこで私たちは、漢方薬成分は腸内細菌叢により代謝変換を受けるだけではなく、漢方薬成分が腸内細菌叢の構成や腸内細菌叢が有する酵素活性など機能を変化させることによって、すなわち、漢方薬成分と腸内細菌叢のクロストークの結果が、宿主に漢方薬の多彩な薬効として発現しているのではないかと考え、研究を進めています。

漢方薬成分と腸内細菌叢のクロストーク
複合成分系薬物としての漢方薬の有用性の解明
漢方薬は複数の生薬を組み合わせて処方が構成される複合成分系薬物であることから、漢方薬の個々の成分の意義やそれらの相互作用などを十分に考慮する必要があり、構成する生薬の主要成分だけで漢方薬の本質や特徴的な薬効を説明することは困難です。私たちは便秘症治療に汎用される大黄甘草湯について、大黄のアントラキノン成分や甘草のフラボノイド成分が主有効成分であるセンノシドAの腸内代謝を促進することで、大黄甘草湯の下剤活性を高めていることを明らかにし、複合成分系薬物としての漢方薬の有用性を解明しています。

漢方薬はさまざまな成分の相乗効果でその薬効を発揮している