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薬学科

松岡 浩史(まつおか ひろし)

職 名 准教授
学 位 博士(工学)
専門分野 遺伝生化学、分子生物学
担当科目 生体のなりたち、生命情報を担う遺伝子、ゲノム情報と創薬、実習Ⅲ(遺伝子工学)、バイオ・細胞医薬品、実践薬学演習、セルフメディケーション など
メッセージ 生物が“正常さ”を維持するには、個々の遺伝子が正確に働く必要があります。目が目であるために、腕から足が生えないように、特定の組織だけに機能を持たせるためには、働く遺伝子の強さやタイミングが厳格に調節されています。これら遺伝子がバランス良く機能を発揮するメカニズムについて、ともに考えてみませんか。

ヒトの遺伝形質のちがいはどのようにして生み出されているのか?

各人のゲノム配列の違い(遺伝子多型という)は300万ヵ所程度あるといわれており、生存に全く影響しないものから生死にかかわるものまで様々なものがあります。これらゲノム配列の違いは、個人の体質(薬の効きやすさ、副作用など)や疾患へのかかりやすさを決定づける1つの要因です。近年、医療の現場においても、個人の遺伝情報をもとにして、最適な薬やその量の選択に利用されはじめています。それら各人の特徴は、ゲノムのどのような配列の違いによって生み出されているのか、ともに考えてみましょう!【発表論文: Jpn Health Med Associ 2022/Jpn J Soc Pharm 2017

ヒトは、千差万別で多種多様さがあるからおもしろい。研究室メンバーの集合写真です。

遺伝子が遺伝子を支配するメカニズム!

ヒトには約2万5千の遺伝子が存在し、それら遺伝子が機能を発揮するには、DNAに書き込まれた遺伝情報からRNA分子を合成し、その後、タンパク質に変換する過程があります。遺伝子が機能を発揮するためのファーストステップであるRNA合成は、個々の細胞がおかれた場所や状況に応じて、タイミングや合成量が調節されています。このような調節のバランスの破綻がさまざまな疾患を惹き起こします。私たちは、このバランスを支配している遺伝子の働きを明らかにしようと試みています!【発表論文: BMC Mol Cell Biol 2020 / PLoS One 2015

遺伝子が機能を発揮するしくみについて、議論しています。

血液と脳のあいだには関所がある!?

血液と脳のあいだには“血液脳関門”と呼ばれる関所があり、血液中の物質を簡単には脳へ通さないしくみがあります。血液脳関門のバリア構造のおかげで、神経細胞が様々な有害物質にさらされないように守られています。一方、薬物治療の観点においては、薬を脳まで届けたければ、血液脳関門の働きを制限する必要があります。例外を除けば、小さな薬は血液脳関門を通過可能で、大きな薬はブロックされます。血液脳関門のしくみを理解し、コントロールできれば、治療困難だと考えられてきた病気の治療域がさらに広がるであろうと期待されます。【発表論文: Biomedicines 2022 /Biochem Biophys Res Commun 2018

生体の血液脳関門を試験管内で再現して、さまざまな実験をしています。