薬学の知識を活かし、付加価値のある薬剤師を目指せる場【研究科修了生】
親戚に医師がいたこともあり、高校時代から漠然と医療に関わりたいと考えるようになり、薬学部に進みました。学部時代に学んだことをさらに深めようと進学した大学院では、がん細胞の基礎研究に没頭しました。抗がん剤の効果に個人差があることに着目し、体調や性差と言った条件面の違いが、がん細胞の成長をうながす酵素にどういった影響をおよぼすか、実験を通して明らかにしようと努めていました。研究生活が充実していたのはもちろんですが、大学院での4年間は人とのつながりを強め、自らの視野を広げるうえでも大きな転機になりました。学部では国家試験合格に目が行きがちですが、社会人に求められる振る舞いは院生になってから身についたように思います。
研究の成果を活かそうと、卒業後は地元の広島を離れて四国のがん専門病院へ。主に入院患者向けの調剤業務を担当しています。臨床の現場ではセオリー通りに症状が進行するとは限らず、思わぬ合併症が出ることも少なくありません。そうしたケースに対応するのは容易ではないものの、経験豊富な先輩と対応を進めて狙い通りの効果が出るとうれしいです。また、医師からの急な問い合わせに答えられ、やりがいを感じます。まだまだ1人でできることは限られていますが、これから働き続けていくうえで意識しているのは、ワンランク上の薬剤師を目指すことです。薬剤師人口が増加する時代にあって、ただ調剤をこなすだけでは生き残りは難しいと感じています。病院経営や人材のマネジメントにも関心を向けつつ、さまざまな経験を積んでいくことで自らの可能性を広げたいです。その意味でも、文理を問わず多様な価値観に触れられる総合大学で学ぶことには、大きなメリットがあるはずです。2021年に開館した未来創造館をはじめ、研究設備も整っているので有意義な学生生活が送れると思います。
薬学部 薬学科 2018年卒業
薬学研究科 博士課程 2022年修了 [博士(薬学)]
藤井 朋保さん(広島県立 大門高等学校 出身)
取材日:2022年11月