【☆学長短信☆】No.108理学・工学を担う女子学生を増やすには?

我が国では、数学、自然科学、工学、工学系技術等の領域の学生数や教員・研究者数の男女差が相変わらず大きく、なかなか小さくなりません(現在、全大学の女子学生割合は45%ですが、理学に限れば27%、工学では15%)。本学の工学部もご多分に漏れず、女子学生が少なく、この状況を打破したいのですが、妙案はないものでしょうか。
社会全体にコンピュータリゼーションが浸透し、否応なくスマートシステムに向かっている時代に、そして日本のように生産人口が今後減少していくが故に、特にものづくりにおける一人の労働者あたりの生産性を高めることが喫緊の課題である時代に、女子学生が相変わらず理学・工学を敬遠する傾向が強いことは、単に本学の工学部にとどまらない課題でしょう。
男女共同参画の先進国である米国でも、すでに小学1年生で「男子は女子よりロボットやプログラミングに興味も自信も強い」というステレオタイプが出来上がっている、という最近の研究結果があります。この性差は算数や理科といった教科領域よりも、コンピュータサイエンスや工学技術の領域で一層強いことも示されています。
けれども、わずか20分間、実験室でスマホを使ってロボットを動かすプログラミングの作成を経験した小学1年生の女の子は、経験しなかった女の子よりも、プログラミングへの興味、ロボットへの興味やロボットについての自己効力感(ロボットにうまく対応できるという自信)を高め、同じ経験をした男の子とほぼ変わらない水準にまで向上したとのことです。
2020年度から実施の新学習指導要領で、文部科学省は小学校におけるプログラミング教育の必修化を計画していますが、何学年からどのような形で教科学習に組み込むのか、小学5年生や6年生では、もう遅すぎるのかもしれませんし、やり方を間違えればマイナス効果の危険もあるでしょう。
本学の工学部では、様々な子ども向けの行事やコンテスト等を行っていますが、単なるイベントとしてではなく、ICT化時代の大学における工学教育の在り方、そこに至る小中高等学校の教育の在り方について考えた上で行う必要があるでしょうし、それが成功すれば、結果として女子学生が増えるかもしれませんね。期待しています。

参考文献等
Master, A., Cheryan, S., Moscatelli, A., & Meltzoff, A. N. (2017).
Programming experience promotes higher STEM motivation among
first-grade girls. Journal of Experimental Child Psychology, 160,
92-106.
(注. STEM=science, technology, engineering, and math)
内閣府男女共同参画局『男女共同参画白書 平成30年度版』2018.6.
http://www.gender.go.jp/about_danjo/whitepaper/h30/zentai/index.html
文部科学省『小学校プログラミング教育の手引(第一版)』2018.3.
http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/zyouhou/detail/1403162.htm

 

学生の活躍です。
(1)心理学科の発達心理学研究室に所属する3年生6名は、宮地茂記念館2階の子育てステーションで「子ども遊び広場」活動を継続的に行っていますが、この活動に対して、今年度も「一般財団法人 義倉」(申請代表者:佐藤隆治君)と「(公財)ひろしまこども夢財団」(申請代表者:西國進也君)の助成金を獲得しました。引きつづき素晴らしい地域貢献活動を期待しています。
詳細は、学長室ブログで。

【心理学科】発達心理学研究室の学生が学長に活動報告!

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