【☆学長短信☆】No.133 新型コロナウイルス感染症と笑い

 「学長! 笑っている場合ですか!」と、お叱りを受けそうですが、・・・。

 本学では、1975年の開学以来、著名人をお呼びして、年に5回程度、教養講座を開き、学生に「一流」を味わってもらっています。今年度は残念ながら、新型コロナウイルス感染症の拡大により第1回、第2回と、中止になりました。

 今から4年前の第1回教養講座は、分子生物学者の村上和雄先生(筑波大学名誉教授、公益財団法人国際科学振興財団バイオ研究所所長)のお話でした。講演の題は「遺伝子をオンにして可能性を伸ばす」。先生のお話によれば、細菌でも人でも、ありとあらゆる生き物はすべて4つの文字からなる同じ遺伝子暗号を使って出来た命であり、人間とチンパンジーの違いは、その暗号の配列で比較するとたった3.9%程度。すなわち、遺伝子が人生を決めてしまうのではなく、遺伝子のオン・オフからも個性や能力の現れが変わるとして、「幸せ」や「やる気」に関連する遺伝子のスイッチ・オンが重要、とりわけ、笑い、感動、祈り、強い意志などの精神的要因もそのような遺伝子のスイッチ・オンに深く関係していることを話されました。いわゆる「お笑い」が、ガン患者の免疫力を高めるという実験を実施中というお話もあり、印象的でした。

 最近、ある細菌感染症の専門家も「知識と免疫力で感染症を正しく恐れる」という題の雑誌記事の中で、「私たちの持つ自然免疫力を高めるには、『睡眠』『栄養』『保温』に加え、『前向きな心』と『笑顔』が大切」と書かれていました。

 恐怖心や不安にとりつかれて、すくんでしまったり、噂に流されたり、他人の行動の非難に終始したりするのではなく、一時的な楽しみのために無防備な行動をとるのでもなく、正しく恐れて予防策をとりながらも、強い意志と希望をもって、笑いや感動あるいは達成感のある規則正しい日常生活を送ることが、長期化するコロナ時代を生き延びる最善の術のように思えます。簡単なことではありませんが、これも成長の糧と思って、がんばりましょう。

参考文献

村上和雄『子どもの遺伝子 スイッチ・オン!』新学社 2013年。

鈴木潤『知識と免疫力で感染症を正しく恐れる』潮、20206月号、50-55.

 

教員と学生の活躍です。

1)薬学部の松岡浩史講師等教員と学生達の研究グループによる、動脈硬化の原因物質を分解する酵素の合成に関する研究が、動脈硬化の予防薬の開発につながるとして、76日の中国新聞をはじめとするいくつかの新聞等で紹介されました。これからを期待しています。

 詳細は学長室ブログで。

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/37289/

この記事をシェアする