【プレスリリース】アルツハイマー病治療に関わるコレステロール代謝の誘導機構を解明

■研究成果の概要

神経変性疾患であるアルツハイマー病は脳が委縮していく病気であり、その症状には認知機能の低下があげられます。症状の進行に伴って、記憶障害、注意障害、視空間認知障害などを呈し、日常生活に支障をきたします。特に、仕事・家事・子育てのキーパーソン世代である65歳未満に発症する若年性アルツハイマー病はさまざまな課題を抱えています。若年性アルツハイマー病患者の血中では、脳神経細胞に毒性をしめす24S-ヒドロキシコレステロール(24S-OHC)の増加が観察されています。すなわち、高値24S-OHCはアルツハイマー病の早期発症に関わると考えられることから、24S-OHC代謝の誘導が新たな治療戦略となる可能性があります。福山大学薬学部の松岡浩史講師と道原明宏教授らの研究グループは、コレステロール代謝に関わるRORα核内受容体が、24S-OHCの選択的代謝酵素であるCYP39A1を調節していることを見出しました。そこで、肝細胞培養系を用いてRORα核内受容体の作動薬を処理したところ、CYP39A1を発現誘導させることに成功しました(下図)。今回の研究により、RORα作動薬を用いることでアルツハイマー病の治療応用が可能になると期待されます。

■論文発表の概要

・論文名:Orphan Nuclear Receptor RORα Regulates Enzymatic Metabolism of Cerebral 24S-Hydroxycholesterol through CYP39A1 Intronic Response Element Activation(RORα核内受容体はCYP39A1イントロン応答配列の活性化を通じて脳由来24S-ヒドロキシコレステロールの代謝を制御する)

・公表雑誌:International Journal of Molecular Sciences, Special Issue, 21(9): 3309

・公表日:2020年5月7日(オンライン公開)

 


☆本件に関するお問い合わせ先☆

【担当者】松岡 浩史(まつおか ひろし)(薬学部講師)

【電話番号】084-936-2112(内線5146)

【FAX】084-936-2024

【E-mail】matsuoka@fukuyama-u.ac.jp

 

 

この記事をシェアする