令和元年度 学位記授与にあたって 学長挨拶

令和の時代を創造する!

 卒業生・修了生の皆さん、卒業・修了おめでとうございます。図らずも皆さんは、令和の時代の最初の卒業生・修了生として、社会へ巣立つことになりました。

 皆さんは、在学中にはたくさんのことを学び、経験し、多くの人間関係を築かれたことと思います。それらを糧として、社会に出た皆さんが大きく花開かれることを、こころから期待しています。そしてご家族の皆様にも、心から「おめでとうございます」と申し上げます。ご家族の皆様の長きにわたる物心両面でのご支援に、教職員一同、こころから感謝申し上げるとともに、こうして若さと知力にあふれる若者約800人を新たに世に送り出すことができることを、喜び誇りに思います。

 卒業生・修了生の皆さんは、在学中にはたゆまず勉学を続け、本日卒業式を迎えることが出来たわけですが、それを誇りに思うと同時に、今日までの皆さんの勉学や生活を支えてくださった家族や仲間、そして社会の人々に感謝の気持ちを忘れないようにしましょう。そしてこれからは、皆さんが社会に出て社会を支える側になることをしっかり自覚しましょう。

 1975年に開学した福山大学は、皆さんを含めてこれまでに、4万人近い卒業生を送り出してきました。卒業生は、備後地域を中心に全国の様々な地域で、リーダーや中核となって社会を担っており、そこに皆さんも仲間入りするのです。卒業生は本学の宝であると同時に、社会にとっても宝であり、社会は皆さんに大きな大きな期待を寄せています。

 しかし、その社会は、現在、なかなか難しい問題をたくさん抱えています。国際的に見れば、民主主義の根底にあるべき寛容の精神が失われつつあるのではないかと危惧され、あちこちで国と国、民族と民族、地域と地域の欲望がぶつかり合い、人々の分断が起こっています。

 そして、さらに我が国は、少子超高齢化、人口減少の下でどのような持続可能な社会をどのように作っていくのかという、これまで経験したことのない、外国にも解決のモデルのない、新しいタイプの難問に、先進諸国の中でもっとも早く直面しています。これから10年の間にも、生産年齢人口の急減と人工知能AIの発達等により、働く環境や働き方、そしてそれらにまつわる解決すべき諸問題は増大かつ激変することが予想されます。

 皆さんがこれから支え作っていく社会は、このようになかなか先の見通しのつきにくいものであり、また困難の予想されるものではありますが、それだけに皆さんが大学時代に学んで身につけた知識、技能、態度、それらを総合して発揮する人間力への期待も大きいのです。さらに、このような大学での学びを土台にして生涯学び続ける覚悟も必要です。時代に流されるのではなく、ぜひ新しい令和の時代を創ってください。

 では皆さんのこれからのご活躍を願って、もう一度、「ご卒業・修了おめでとうございます」と述べ、式辞を終わりとします。

 

令和2年3月20日

福山大学 学長 松田文子

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