【プレスリリース】関節リウマチの悪化に関与する新たな分子の発見
研究成果の概要
関節リウマチは、医療の発展により寛解を期待できる疾患となりつつありますが、未だに数割の患者に対しては治療法が見出されておらず、新規分子機序を利用した関節リウマチ治療薬の開発が望まれています。
この度、薬学部の今重之教授並びに本田真知子助手らの研究グループは、腎臓形成に関与する分子であるネフロネクチンが、関節リウマチや多発性硬化症などの自己免疫疾患マウスの血中で発現が亢進していることを見出しました。このことから、ネフロネクチンが自己免疫疾患に関与すると予想し、ネフロネクチンに対する新たな抗体を作製することで関節リウマチマウスの増悪化に及ぼすネフロネクチンの影響を解析した結果、抗ネフロネクチン抗体は関節リウマチの関節腫脹(下図)や軟骨破壊を抑制できることを明らかにしました。ネフロネクチンが自己免疫疾患で発現が亢進し、増悪化に関与するという知見は、本研究が世界で初めて見出した結果であることから、今後はネフロネクチンに着目した研究を進めることで関節リウマチを始めとした様々な自己免疫疾患の新たな治療薬への発展を期待できます。なお、本研究は、科学研究費補助金や日本リウマチ財団などの助成を受けて実施されました。
論文発表の概要
●研究論文名:Antibodies against nephronectin ameliorate anti-type II collagen-induced arthritis in mice.
(ネフロネクチンに対する抗体は、関節リウマチマウスモデルの増悪化を抑制する)
●公表雑誌:FEBS open bio
●公表日: 2019年11月24日(日曜日)(オンライン公開)
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【担当者】今 重之(薬学部)
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