【☆学長短信☆】No.117The forest is longing for the sea. The sea is longing for the forest. ~海は森の恋人、森は海の恋人~

 キャンパスが、桜からツツジの季節に変わりました。令和元年の最初の学長短信です。

 新入生の皆さん、新しく来られた教職員の皆さん、本学は、福山大学のブランディング推進事業として、全学を挙げて「瀬戸内の里山・里海学」に取り組んでいます。その中でも特に進んでいる部分を切り出して応募し、文部科学省の私立大学研究ブランディング事業に採択されているのが「瀬戸内海 しまなみ沿岸生態系に眠る多面的機能の解明と産業支援・教育」です。研究は着々と進んでおり、4月20日には、韓国の国立木浦大学の研究者とともに国際シンポジウムも本学で開催しました。また、安全安心防災教育研究センターの河川臨海域環境保全・防減災教育研究部門が、国土交通省中国地方整備局包括的連携・協力協定に基づいて提案して、このたび選定された「芦田川中下流部の河道形態・構造の防災評価ならびにビオトープの生態評価」も、「瀬戸内の里山・里海学」の一部です。

 関連して思い出されるのは、今年1月22日の本学の教養講座で京都大学名誉教授・舞根森里海研究所長の田中克先生がされた「森里海連環学が拓く、海から森を想い 森から海を想う世界」という講演です。海や川や森はすべて私たちにつながり、私たちの命につながり、本来は一体なのです。森は海の恋人、海は森の恋人、そして私たちは森と海と共に生きている、海がなければ森も人も生きることはできない、とのお話でした。また、田中先生は、観念的にではなく、人類進化の現実として、森が海を育み、水辺が私たちの遠いふるさとの入り口であることを示され、これを大切にして、子ども達が水辺で遊び、生き物たちと会話することが大切と説かれました。自然を征服することが近代化ととらえて、いつの間にか、多くの日本人も失ってきた感覚です。

 本学のブランディング推進事業「瀬戸内の里山・里海学」も、瀬戸内を舞台に、森、里、川、海のつながりとそれらとの共生を、基本的には追求・回復するものでなければなりません。瀬戸内にある大学として、地域創生・地域活性化を考える際にも、根底にこの精神を忘れないようにしたいものです。

 

参考文献等

福山大学グリーンサイエンス研究センター・福山大学ブランディングプロジェクト『しまなみと多島海~島嶼研究の2国間国際シンポジウム~ 講演要旨集』2019.4.20.http://www.fukuyama-u.ac.jp/archives/062/201904/Abstract%20book_6April2019_completed.pdf

 

学長室ブログ「【福山大学ブランディング研究】意義深き国際研究」(2019.4.23.)

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/13224/

 

「森里海大好き!」編集委員会 『森里海大好き!』環境省(「つなげよう、支えよう森里川海」プロジェクトチーム)、2018年。

https://www.env.go.jp/nature/morisatokawaumi/dokuhon.html

 

学長室ブログ「【教養講座】森里海連環学が拓く、海から森を想い、森から海を想う」(2019.1.24.)

https://www.fukuyama-u.ac.jp/blog/10765/

 

 

教員の活躍です。

(1)人間文化学部心理学科の金平希助教が、日本私立学校振興・共済事業団の「2019年度 若手・女性研究者奨励金」に選出されました。おめでとうございます。

採択一覧等はこちら。

https://www.shigaku.go.jp/files/s_josei_saitakukenkyu2019_2.pdf

https://www.shigaku.go.jp/files/s_shoureikin_saitakujyokyo2019.pdf

 

 

この記事をシェアする