令和6年度 第3回 教養講座の開講について

【日  時】 令和6年9月25日(水)10:40~〔開場10:10~〕

【場  所】 大学会館1階ホール

【演  題】 メディア社会とあいまい情報 ―ネガティブ・リテラシーのすすめ

【講  師】 佐藤 卓己 氏

       上智大学文学部新聞学科教授 

       京都大学名誉教授・京都大学総長主席学事補佐

       紫綬褒章受章者

【講演概要】

輿論主義(デモクラシー)と世論主義(ポピュリズム)の分別を訴えてきたメディア研究者として、フェイクニュースの氾濫するデジタル時代、これからのAI時代に求められるメディアリテラシーのあり方を考えます。メディアリテラシーは、情報の真偽を見分ける能動的な能力として取り上げられることが一般的です。しかしながら、私たちが「ふつう」の生活をする中で情報の真偽を十分に見分けることはそんなに簡単なことなのだろうか。それを可能にする精神的、時間的な余裕をもった人が多い社会が理想だとしても、現実には困難な理想である。困難な理想は絶望を生むだけではないだろうか。

そうした絶望を回避するために、現実的なメディアリテラシーとして、あいまい情報に耐える「ネガティブ・リテラシー」が必要なのです。それはSNS等に溢れるあいまい情報を適当にやり過ごし、不用意に発信しない力と言ってもよいでしょう。こうした不確実性に耐える力(クリティカルシンキング)こそが輿論主義(デモクラシー)の土台となります。世論駆動のファスト政治、震災後のメディア流言といった二〇一〇年代以降のメディア社会を回顧しつつ、あいまいさに耐えられない「私」に必要なネガティブ・リテラシーの学習方法を考えます。

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