1975年、ここ備後の三蔵の丘に生まれ、2学部3学科から出発した福山大学の建学の精神は、地域社会に広く開かれた大学として、「知行合一」を重んじ、「人間性を尊重し、調和的な人格陶冶を目指す全人教育を行う」ことです。今や人文社会系、理工系、医療系の5学部14学科を擁する県東部で唯一の総合大学に成長した本学は、建学の精神をふまえた上で、「地域を想い、地域に愛され、地域から国際社会に繋がる“未来創造人”の育成」を目指しています。「未来創造館」と命名されたシンボル的新校舎も完成し、「揺るぎなく前進」しています。その成果は、全国平均や広島県平均を大きく上回る、毎年ほぼ100%の就職内定率という実績に端的に表れています。
急激な社会の変化の中で「予測が困難な時代」を生きる若者にとって、大学での学修は「生涯学び続け、どんな環境においても“答えのない問題”に最善解を導くことができる能力」を養い、次代を生き抜く基盤とならねばなりません。本学は独自の特色ある全学的教育システムの構築を目指し、「福山大学教育システム」を掲げ、社会の変化やニーズに合わせて、不断の革新や改善を進めて来ました。とくに開学40周年(2015年)を機に、各学部・学科でディプロマ・ポリシー(卒業認定・学位授与の方針)を改めて定め、その実現に向けてカリキュラム・ポリシー(教育課程編成・実施の方針)を策定しました。
この「人間関係をつくりながら学ぶ目標設定型の教育システム」とまとめることのできる「福山大学教育システム」は、次のような特徴を持っています。卒業時に身につけるべき学科ごとの学士力(大目標)を知識・技能・態度の3領域にわたって明示し、各領域でそれぞれ中目標、さらにそれにつながる授業ごとの小目標を掲げます。小目標から中目標、さらに大目標へと進む体系全体をカリキュラムマップとして可視化し、「教員が何を教えたか」ではなく「学生が何をできるようになったか」を重視します。また、「学修意欲は強い絆の人間関係の中でこそ生まれる」との考えに基づき、入学から卒業までに、①大学生としての自立、②仲間同士の対話・自己発見、③地域社会への参加、④社会での自己実現、の4ステップを設定しています。さらに、所定の資質の修得度は、個人・学科・全学レベルのレーダーチャートで「見える化」されます。
ところで、大学の三大機能は教育・研究・社会貢献と言われます。研究と教育の一体化については議論のあるところですが、研究をまったく抜きにした大学教育というのは考え難いでしょう。本学には、広範な学問分野に跨がる総合大学の強みを活かし、理系も文系も全学を挙げて取り組む「瀬戸内の里山・里海学」と呼ぶユニークな福山大学ブランドの研究があります。平成29年度に文部科学省の私立大学研究ブランディング事業の助成対象にも採択されました。瀬戸内の多島環境の独特な生態系、豊かな海洋資源、オンリーワン企業がひしめく福山、鞆の浦や神辺の文化遺産など、研究対象に溢れた備後ならではの地域密着型研究が展開しています。シロギスを大型のテッポウギスに養殖する新技術の開発、福山市の花バラから抽出した酵母を使ったワインや食品生産等々、地域の産業・文化の発展にも貢献する研究活動が盛んです。学生もそれらの研究に参加し、格好のアクティブ・ラーニングの場となっています。
さあ、この地域に根ざした福山大学で、皆さんの将来の夢の実現に向かって一緒に揺るぎなく前進しましょう。私たち教職員は全力でサポートします。