【建築学科】福山・鞆の浦 後山山荘の見学に行きました!(建築保存・再生論)
みなさん、こんにちは!
建築学科では、3年生が学修する「建築保存・再生論」(担当:佐藤圭一教授・梅國章教授・山本一貴講師)という科目があります。この科目では、鞆の浦の建物や街並みを調査し、古民家のリノベーションを提案する課題に取り組みます。今回は、その一環として古民家リノベの傑作である後山山荘の見学に訪れた様子をFUKUDAI Magの学科委員であり、引率補助した大畑から紹介させていただきます。
鞆の浦は福山の観光地ともなっている港町です。多くの文化財があり、重要伝統的建造物群保存地区には江戸時代に建てられた建物もあります。港を背に後山山荘を目指して、急な坂道を登りました。
「後山山荘」は昭和初期に建てられた「鞆別荘」を保存再生した建物です。鞆別荘は福山出身の建築家の藤井厚二さんがご自身のお兄様のために設計されたものでした。
京都に「聴竹居」という重要文化財があり、藤井厚二さんが自邸として設計した建物です。この聴竹居と鞆別荘のサンルームは兄弟のように似たデザインで、後山山荘のサンルームは当時の姿に近い状態で修理されています。
このサンルームからは鞆の浦を一望でき、夏には鞆花火大会を楽しむことができる空間になっています。
後山山荘を再生した建築家の前田圭介さんが主宰するUIDの大竹さんに、後山山荘について説明をしていただきました。
どのような経緯で再生することとなったか、どのような方法で再生したか等を教えていただきました。再生する作業や学生を交えた団体で庭を造っている様子を映像で紹介していただき、残された手掛かりから後山山荘に生まれ変わっていく足跡を見ることができました。
映像を見た後はサンルームに学生が集まり、説明を聞きながらメモを取っていました。
後山山荘では、廃屋となっていた鞆別荘に残されていた建具等が再利用されています。例えば、縁側に面するガラスは波打っており、昭和初期の吹きガラスを見ることができます。
(写真中央のガラスの向こう側に映る縁側が波打っているのが見えます。)
説明を聞いた後は、後山山荘の中や庭を自由に見学して、気になった場所を写真に収めていました。居間や食事室の床には石材が使われており、こだわった家具や照明も印象的でした。
玄関とは違う場所の入口を発見したり、サンルームのロッキングチェアに座って鞆の浦の景色を楽しんだりと、学生たちは後山山荘の魅力を体感しているようでした。見学した日はとても暑かったですが、写真に写っている内露地は風が通り涼しく感じました。
学生たちが取り組むリノベーション課題の建物は、旧小林家住宅という町家を対象としています。後山山荘の見学で学んだ内容を活かした面白い提案が出てくるのが楽しみです。
この日は、町並み保存拠点施設「鞆てらす」と旧小林家住宅の調査も行いました。
今回は「建築保存・再生論」の見学の様子をお伝えしました。後山山荘は個人所有の別荘ですが、外観だけでなく内部まで見学させていただき、貴重な体験をさせていただきました。また、ご説明いただいたUIDの大竹さん、ありがとうございました。
※本記事で使用した写真はいずれも掲載許諾をいただいております。この場をお借りして感謝申し上げます。
学長から一言:建築学科の授業「建築保存・再生論」の一環で、鞆の浦にある再生古民家を探訪。将来の建築家の卵たちには、価値ある建物を実際に一つでも多く訪れ、その特徴や奥深さに触れて目を肥やすことがどんなにか大切なことでしょう。貴重な機会を活かし、将来に向けてのアイデアの引き出しをドンドン増やして下さい。