【生物工学科】新しい『哺乳類学』の教科書
新しい『哺乳類学』の教科書が東京大学出版会から刊行されます。わたくし生物工学科の佐藤が第I部の『進化』を担当しましたので、自著の宣伝にはなりますが紹介させていただきます。刊行は7月の予定です。
第I部第1章では、哺乳類の起源の話から、DNA情報を使った研究により明らかになった哺乳類の進化的類縁関係(特にレッサーパンダやイタチ類【下の写真はイタチ科のニホンテン】について)や有胎盤哺乳類が多様化した年代に関する議論の対立など今後解決すべき課題について解説しました。第2章では自然選択と中立進化の基礎的な説明をするとともに、毛色関連遺伝子で見られる自然選択、味覚受容体遺伝子で見られる遺伝子の死などの具体的な研究事例を紹介しました。第3章では日本の哺乳類が「いつ」「どこから」やってきて、そして「なぜ」そこにいるのかを、最新の進化研究による知見に基づき議論しました。そして第4章では、この20年で考えられないほどに進展したDNA技術を概観し、次世代シークエンサーを用いた進化哺乳類学に関する研究を紹介するとともに、20年後の進化哺乳類学の未来を展望しました。生物工学科の講義である「地球環境科学」、「保全生物学」、「環境ゲノム学」における哺乳類に関する部分が本になった形になります。
その他の部では、形態(第II部)、生態(第III部)、保全(第IV部)に関して解説されており、基礎から応用まで幅広く学ぶことができる本に仕上がりました。刊行はまだ先ですが、哺乳類に興味のある学生の皆さんぜひ読んでみてください。
以下、東京大学出版会のサイトからの抜粋です。
内容紹介
主要目次
第I部 進化(佐藤 淳)
第1章 起源と進化
第2章 分子進化
第3章 日本の哺乳類
第4章 テクノロジーと進化哺乳類学
第II部 形態(佐々木基樹)
第5章 外部形態と骨格
第6章 生命維持器官
第7章 泌尿生殖器
第8章 形態適応
第III部 生態(小池伸介)
第9章 採食
第10章 生息地
第11章 個体群
第12章 群集
第IV部 保全(江成広斗)
第13章 科学と規範としての保全
第14章 外来種の管理
第15章 絶滅危惧種の保全
第16章 普通種の保全
終 章 これからの哺乳類学(小池伸介)
あとがき(小池伸介)