【グリーン】グリーンサイエンスセミナー「生物多様性保全に向けた市民科学の実践 BIOME」
『第46回 グリーンサイエンスセミナー』が、2019年12月6日(金)の午後3時から5時過ぎまで、2432教室にて開催されました。
今回の講師は京都大学農学部発のベンチャー”BIOME“代表の藤木庄五郎さんで、世話人は海洋生物科学科の渡辺伸一准教授でした。 ※アイキャッチ写真の左側の方 右側の方は卒業生で、現役の漁師
BIOMEの始まり
藤木さんはご覧のように若く、ついこの間まで京大農学部の大学院生だった方です。大学院時代は森林生物学の研究者で、インドネシアのボルネオ島の密林に長期間滞在し、メンバーがバタバタ倒れていくような過酷な環境下で研究活動をされていたそうです。その過程で、ボルネオの森林がみるみる切り倒されていき、荒れ野原になっていく姿を見て、森から70mもある大木を切り倒して丸裸にしてしまう経済の力ってすごいな!、今何かしなければ手遅れになってしまう!、という危機感から、BIOMEを始めようと思ったそうです。
BIOMEとは
BIOMEとは、藤木さんがやってる会社の名前であり、スマホアプリの名前でもあります。詳しくはリンク先を見てください。簡単にいうと、スマホのカメラで生物を撮影すると、その生物がなんて名前の生物かを教えてくれて(と言ってもなかなか簡単には教えてくれない)、その生物のレア度に合わせてポイントを獲得する事ができるというアプリで、ポケモンGOのリアル(自然)版みたいな感じです。
BIOMEの意義
このアプリ、ただ近くの生き物をみつけてポイントを稼ぐというアプリではなく、いつどんな所にどんな生物がいるのかという情報を集積してビッグデータ化しようというもので、生き物界のGoogleを目指しているそうです。集めた情報は企業や公的組織と組んで、環境保全やモニタリングに活かそうというもので、実は非常に壮大なビジョンを持った事業なのだと理解しました。
BIOMEの苦労話
講演の最後に、いかにしてここに至ったのか!という会社のパーソナルヒストリーについてもお話しいただきました。学生だった頃、何をして良いのかわからず色々なセミナーや講座に潜り込んで勉強し、アプリなら何とかなるという感触を捕まれたそうです。当時はプログラミングの知識もなく、全て独学でプログラミングやAIを学び、金もないので奨学金をつぎ込み、架空のアプリ画面を作って投資家を回って出資金を募り、嫌がる後輩を無理やり説得して会社に引き込んだりと、波瀾万丈の社史でした。このような熱意はどこから来るのか詳しくはわかりませんでしたが、熱いバイタリティーに触発された学生さんもいたことでしょう(教員も)。藤木さんとは今後も連絡を取り合って連携していくつもりなので、ぜひ生き物界のGoogleを実現して頂きたいと思います。