【生物工学科】骨のすごみ
骨にはすごみがある。進化の痕跡が至る所に隠れている。DNAの文字情報も解読できると、とっても面白いけれども、骨には別の面白さがある。先月、生物工学科で動物の骨格標本づくりを始めたことをお伝えしました(こちら)。今日はその進捗状況を少しだけ。
講義・実習に忙しい生物工学科の学生さんたち。1週間に一度しか集まれないけれども、ちゃくちゃくと骨格標本の作製が進んでいます。「ホネ部」的な活動になっています。下の写真は、上段左からスカンク、ニホンイタチ、アカネズミ、下段は実験モデルの商品として売られているラットの骨格標本です。商品と同レベルの標本を作ることができるようになりました。大きさからいうと、ニホンイタチとラットが近そうに思われるかもしれませんが、進化的に近縁なのはスカンクとニホンイタチ、そしてアカネズミとラットです。歯を見るとよくわかります。
下のアカネズミの全身骨格標本は1年生が作成を進めています。背骨に頭骨をくっつけるのが難しい。頭が重すぎるのです。如何に筋肉が強固に体を支えているのかがわかります。頭の下の部分には大後頭孔という脊髄が通る穴が開いています。人間は2足歩行をしたために、頭の真ん中寄りに穴が開いているのですが、4つ足動物の頭の大後頭孔は後ろの方に開いています。アカネズミが2足歩行していたら、背骨に頭骨をくっつけるのにこんなに苦労しなかったのに。。。
魚の透明標本グループも進んでいます(下の写真)。きれいに骨の構造が分かりますね。この1か月で、カエル、鳥、ヘビも集まり、脊椎動物の骨の進化を見ることができそうです。現在、ニホンテンの骨格標本を作製中。実験台では次にチョウセンイタチが待っています。ますます比較が面白くなってきました。ただ、もっと骨を詳しく観察したいのですが、学術標本なので壊れたらたいへん。3Dプリンタでプリントアウトできないかなぁ。。。と思っています。そしたらみんな気軽に触れる!
7月14日(日)のオープンキャンパスでは、このような形の進化とDNAの進化の違いについて考えてみます。動物の進化や生態に興味のある方はぜひ生物工学科にお越しください。生物工学ってちょっと固そうなイメージがありますが、実は生き物をよく理解するということが最も大切な学問なんですね。いろんな角度から生き物を学んでいます。
<文責:生物工学科 佐藤淳>