【生物科学科】美しき琉球の島 伊平屋島の調査
沖縄島からフェリーで80分。縁があり、昨年から伊平屋島で調査を行うことになりました(昨年のブログはこちら)。昨年と全く同じルートではありますが、何度行っても素晴らしい景観で感動します。もちろん学生にとっては初めての体験ですのでその驚きと喜びはわたしの比ではありません。調査の様子を生物科学科の佐藤が報告します。
不安のままに伊平屋島へ
実は、計画の3日間、直前まで天気予報は90%の雨でした。実際に、那覇空港についてすぐ雲行きが怪しくなり、フェリーの出る運天港までの移動の際にはスコールのような雨を体験しました。はたしてフェリーは出るのだろうかと不安がありましたが、運天港にたどり着いた時には、天気は若干よくなりました。フェリーはどうやら問題なく出航ということで一安心でしたが、やはり海はいつもよりも荒く、揺れました。
伊平屋島に到着し、翌日の調査のために車で島を一周しました。空は暗く、小雨が降っており、あまり天気は良くありませんでしたが、調査には問題のない程度の雨でしたので、これ以上天候が悪くならないことを祈りながら、翌日に備えました。以下の写真は、伊平屋島の念頭平松です(リュウキュウマツ)。雨の伊平屋島も趣があってよいという学生の言葉が印象的でした。
嘘のように晴れた
いったい誰なのでしょうか、日ごろの行いが良いのは。翌日ホテルのカーテンを開けると青空が。。。2日目には天気予報は見事に外れ、とても良い天気になりました。琉球の島々の天気の移り変わりの速さを実感した次第です。おかげさまで予定通り、3地点から淡水を、5地点から海水をサンプリングし、環境DNA分析用のサンプルを何の問題もなく無事に収集することができました。サンゴ礁海域の海は見事で、エメラルドグリーンの海はずっと見ていても飽きません。しばらく砂浜で寝ていたいところです。青空の下、ゆっくりと美しい景色を見ながら、調査を楽しみました。
素晴らしい景観と生物多様性
やはり琉球は瀬戸内とは生きている生物が異なります。海辺では琉球のウツボがカニを襲って食べている様子や、ルリスズメダイという熱帯魚が泳いでいる様子など、普段、見ることのない生物多様性を感じることができました。自然の水族館かと思うくらいに、美しい光景でした。今年は、サンプリング場所が決まっていたので、来年に向けて他の様々な場所を見学できた点が良かったところです。そのうち、森に入って哺乳類の調査もしたいと思いますが、その前にハブなどの危険生物の把握が必要です。
株式会社クラハシの養殖施設を見学
今年も株式会社クラハシの皆様にご協力いただき、調査を無事に終えることができました。調査の後に同社の養殖施設を見学させていただき、養殖を普段学ぶことのない生物科学科の学生たちにとっては生態系調査とは異なる観点で勉強になりました。夕食もご一緒させていただき、魚介など地元の料理をおいしくいただきました。クラハシの皆様、今年も大変お世話になりました。ありがとうございました。
美ら海水族館、ふたたび
帰りには昨年同様、美ら海水族館を見学しました。美ら海水族館のジンベイザメがいる大水槽は環境DNAの研究で有名です。この大水槽から水をサンプリングして、その9割以上の魚をDNAから検出できたという論文があります。4年生はこれから伊平屋島のサンプルを対象に環境DNA分析を行っていきますので、分析で検出が予想される生物を水族館で学びました。美ら海水族館は運天港に近い場所にあるため、伊平屋島の調査と大変結びつけやすい教育施設です。いつもながら、ジンベイザメの大きさに圧倒され、海の生物多様性を心行くまで楽しみました。
伊平屋島から送ったサンプルも無事に届き、あとは4年生が卒業研究として分析をするのみです。さてどんな生き物たちが待っているでしょうか?楽しみですね。昨年も書きましたが、何度でも行きたいと思える島です。興味のある学生の皆さん、伊平屋島に行きましょう。生物科学科の対象は陸海空すべてのゾーンに生息している生物です。生物に興味のある皆さん、一緒に学びましょう。
学長から一言:沖縄県最北端の有人島である伊平屋島への研修旅行を敢行した生物科学科の佐藤教授と学生の皆さん、別世界のような素晴らしい自然を満喫したことでしょう。瀬戸内海も魅力的ですが、沖縄の海はもう一つも二つも上と感じたのではありませんか。研究対象に溢れ、生物多様性について学ぶには絶好の環境だったと思います。