学部・学科・大学院
人間文化学科
奥村 尚大(おくむら なおひろ)

職 名 | 講師 |
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学 位 | 博士(文学) |
専門分野 | 日本近現代文学 |
担当科目 | 日本文学研究法、日本近現代文学研究、日本文学史、文学との出会い、日本語表現法 |
メッセージ | 文学研究は、文学作品の持つ魅力を見つけ出すことでもあります。作品の中に描かれた表現を読み込み、調査や思考を通じて作品の持つ面白さや意義を見つけ出しましょう。文学研究の理論や方法を学ぶことは解釈と評価の切り口を見つけ出し、作品の世界を切り開く第一歩となります。 |
文学者と法の意外なつながり—専門誌への寄稿—
刑務所職員などを中心的な読者とする雑誌『刑政』には、吉屋信子や吉川英治などの多数の文学者による記事が掲載されています。また、それだけではなく、作家と専門家らとの座談会も掲載されています。こうした記事は文学者の法制度との向き合い方を知ることができる重要な資料だと言えます。しかし、矯正協会の機関誌で、内容も専門的な記事が中心ということもあり、文学者による記事はこれまでの文学研究ではほとんど知られていませんでした。『刑政』の記事を調査することで、文学と法の関わりを解明するというのが私の研究です。
文学者の寄稿の背景—分野を超えたネットワーク—
作家の寄稿の背景には、作家と『刑政』関係者の間の交流がありました。たとえば、一時期『刑政』編集を務めていた寺光忠と、作家・石光葆は共に旧制広島高等学校出身者で親交がありました。こうした分野を超えた関わりが、作家たちの専門誌への寄稿の一因となったと考えられます。このほかにも吉川英治と正木亮のように繋がりがあった作家と法分野の専門家は多数存在しています。こうした人脈を明らかにすることで、専門誌に文学者の記事が掲載された背景を明らかにし、分野を超えた文学史を明らかにすることを目指しています。