Department of Electrical and Electronic Engineering
新しい宇宙活用研究プロジェクト(不退転プロジェクト)
小型人工衛星と地上高機能センサーネットワークの統合
スマート社会では、IoTにより社会をどう変えるかが最重要ですが、そこへ小型衛星をどう活用するかの検討を加えることが流れです。今や小型衛星はビジネスツールですから、小型衛星そのものが先端研究になる時代ではありません。先端性の確保は小型衛星が実行するミッションがどれだけ高機能で社会に役立つかにあります。広島県は山が多く土砂崩れによる災害への対策が必要で、GIS を活用した災害情報システム整備やハザードマップ作成など行政による防災活動は盛んです。しかし住民が確実に避難できる災害情報システムは未だにないのが現状です。そこでスマートシステム学科では、全く新しい土砂崩れ予測システムを小型衛星ミッションで実現させようと広島東部地域の製造業と連携で2015年度より宇宙活用研究プロジェクトとして開始しました。ミッション達成に必要な技術は、ロボット技術、センサ技術、ネットワークサービス、衛星通信技術などでそれらすべてを統合させます。これまで土砂崩れ予測システムの研究を進めてきましたが、ロボットのエネルギ確保や急斜面でのロボット群行動、センサーネットワークによる計測に技術的困難が多いため、システム全体の統括を一旦解除し、「地上移動センシングおよび通信系」と「海の状態データ収集と画像取得を行う新しい小型衛星ミッション系」の二つのサブグループで研究を進め統括再開に向けて技術向上を図っています。いずれも『福山大学ブランディング研究』を担っています。
土砂崩れ予測ミッションの研究
我々の土砂崩れ予測ミッションは、2017年度の世界衛星ミッションコンテストでファイナリスト10件に選ばれるほどに期待されています。ミッション達成に必要な重要技術は、大きく分けて次の3項目です。
① 山斜面で地中データを収集するセンサーネットワーク技術
② 広い範囲のデータを収集する自律移動群行動ロボット技術
③ 山深くにいるロボットからデータを収集する衛星通信技術
他にも山斜面で長期間、ロボットに必要な電源を供給する技術、自然環境下でメンテナンスフリーで数年動き続けるロボット技術もあり、大変に高度な技術開発を要することから、それら地上技術の目途が立つまで衛星ミッションの研究は保留させることに致しました。再開を楽しみにしてください。
高機能センサーをネットワーク化して山斜面のデータを収集
高安定化移動ロボットの開発
本学科で、左右独立にクローラが揺動させて、急斜面でもバランスを崩さず安定して走破できる高安定化移動ロボットを開発しています。現状のロボットを左図に示します。駆動力に電動スクータのインホイールモータを利用して、安価で高精度な駆動系の実現を目指して開発中です。
里海の豊かさを維持させることに役立つ海のデータ収集ミッション
不退転プロジェクトは、土砂崩れ予測ミッションに代えて、将来の海洋データをグローバルに収集する小型衛星に必要な「Store & Forwardデータ通信技術」に関連する海のデータ収集ミッションを進めています。左図を参考に達成させるミッションを説明します。
海上モジュールは藻場で常に海水のデータを計測・記録。
(1) 衛星が広島上空通過時にデータリクエスト信号を送信。
(2) 信号を受けた海上モジュールは、直近データを衛星へ送信。
(3) 収集データを基に、衛星は海上モジュール付近の海を撮像。
周回で世界各地に設定した海上モジュールから収集した海のデータと撮像データは、次の周回で衛星は福山大学地上局へ一括ダウンリンクします。今までにないグローバルな海のデータ収集ミッションに期待してください。