【税務会計学科】張楓教授が2022年度政治経済学・経済史学会賞を受賞!
張楓教授の単著『近現代日本の地方産業集積―木工から機械へ』(日本経済評論社、2021年)が、今年6月の第16回企業家研究フォーラム賞受賞に引き続き、10月末に2022年度政治経済学・経済史学会賞を受賞しました。
このことについて、学長室を訪問し、受賞を報告しましたので、その様子を学長室ブログメンバーの関下がお伝えします。
政治経済学・経済史学会賞は、日本経済・世界経済の現状及び歴史に関する理論的・実証的分析において優れた業績に対して授与されます。受賞作『近現代日本の地方産業集積』は、戦前から戦後、さらに現代を射程に入れた1世紀という長期にわたる、備後福山地域を舞台とする多様な地方産業・企業(下駄・家具・木工機械)の通時的な考察に挑んだ作品でした。歴史的に蓄積されてきている地方産業の多様性や構造的特質が多様な産業・企業に関する豊富な歴史的文献やヒヤリング資料などを蒐集・活用することにより、力強く描写されている点は高く評価されています。
張楓教授が20余年の研究集大成を振り返るように、これまでの研究活動のなかで試行錯誤を繰り返しながら、徹底した「現場主義」を貫き、自分の足で企業や業界団体所蔵一次史料の調査・渉猟、関係者聞き取り調査などを幅広く行ってきました。それにより、長い時間設定という条件のもとで、企業と産業の発展のダイナミズムを可能にした歴史的条件を経済主体の行動に立ち入りながら、また周辺関連産業とのリンケージの形成と展開を重視しつつ解明するという独自の研究方法を貫徹してきています。かかる歴史研究の方法論は、現在進行中の近現代日本のラジコン産業史研究にとどまらず、備後福山の「市民の台所」とされる福山地方卸売市場開設50周年誌編纂事業においても継承されています。
ちなみに、福山地方卸売市場開設50周年誌編纂事業に関する研究成果の一部は、12月17日(土)に張楓教授が副センター長を務める備後圏域経済・文化研究センターが主催するシンポジウム「『市民の台所』の過去、現在と未来」においても、披露される予定となっております。ご関心のある方々に、ぜひとも奮ってご参加いただきたく、ご案内いたします。