薬学科
佐藤 雄己 (さとう ゆうき)
職 名 | 教授 |
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学 位 | 博士(薬学) |
専門分野 | 薬剤学、薬物動態学、感染制御学、臨床腫瘍薬学、医療薬学 |
担当科目 | 製剤の性質、悪性腫瘍の薬・病態・治療、事前学習、薬学総論、病院・薬局実務実習 など |
メッセージ | がん治療や感染症治療、漢方治療等において、薬物血中濃度や生理活性物質の体内挙動をもとに現場で活用できる「薬の適正使用」を目指した研究を行っています。研究の最終目標は臨床で薬を使用する際の効果や副作用を反映する「指標」を見つけ出すことです。臨床も研究もでき、臨床で信頼される薬剤師を目指しましょう!! |
体外式膜型人工肺(ECMO)治療における治療薬の薬物動態特性の解明
集中治療で実施される体外式膜型人工肺(ECMO)治療に用いる麻酔薬や鎮静薬などの治療薬は、患者さんの臓器機能の変化や使用する薬剤の物理学化的性質(器材への吸着性、安定性等)により薬物動態の予測が困難であり、想定した治療効果が出ないことや予期せぬ毒性が発現することがあります。In vitro ECMO回路モデルやIn vivo ECMOモデル動物を使用して、麻酔薬や鎮静薬の薬物動態に基づく最適な薬剤の使用方法の開発を目標としています。
がん悪液質における悪心や食欲不振の発現機序解明と治療法を開発する
がん悪液質の患者さんには食欲不振が高発現するため、患者さんの生活の質(QOL)が著しく低下します。現在、がん悪液質による食欲不振の発症機序については完全には明らかにされていません。そこで私共はがん悪液質モデル動物を対象として、生体内における生理活性物質(ホルモン、タンパク質)とがん悪液質による食欲不振の発症との関連性を明らかにし、治療法標的となる分子を同定し、治療法を開発する研究に取り組んでいます。
認知症治療薬の副作用に対する漢方薬の効果を明らかにする
認知症治療薬の副作用には悪心・嘔吐などの消化器症状があります。このような症状は患者さんの生活の質(QOL)を著しく低下させます。悪心モデル動物を対象として生体内における薬物濃度および生理活性物質(ホルモン、タンパク質)と消化器症状発症との関連性を明らかにし、消化器症状に対する漢方薬の効果を明らかにすることを目指しています。
統合失調症治療薬の血中濃度および薬物代謝関連タンパクの遺伝子多型と有効性・安全性との
関連を明らかにする
統合失調症治療薬の中には、血液中の薬物濃度が治療効果および副作用の発現と関連しているものがあります。これらの薬剤はチトクロームP450(CYP)などの薬物代謝酵素の基質になることが知られています。CYPには一塩基遺伝子多型(SNPs)があり、多型の有無で薬剤の血中濃度が大きく変動する可能性があります。医療機関と共同して、統合失調症患者における治療薬の血中濃度とCYPの遺伝子多型を測定し、治療効果や副作用発現との関連を明らかにし、最適な薬剤の使用方法を明らかにすることを目指しています。
感染性敗血症に対する免疫グロブリンの有効性を明らかにする
敗血症に対する補助療法としての静注用免疫グロブリン(IVIG)の効果についてはエビデンスが不十分であり、現行の敗血症ガイドライン上では推奨されていません。IVIGが適応となる病態の探索を目的として、敗血症モデル動物を使用してIVIGの有効性、抗菌薬との併用効果、および抗菌薬のPharmacokinetics/Pharmacodynamics解析に基づく最適な投与方法を明らかにすることを目指しています。