学部・学科・大学院

漢方薬物解析学研究室

漢方薬物解析学研究室

漢方薬の有用性を科学的に解明する

漢方薬は、カゼから難治性疾患まで様々な病気の治療に使われていますが、実際には漢方薬の科学的な作用メカニズムはあまり分かっていません。当研究室では、この「未科学」である漢方薬の有用性を解明するために、漢方薬や生薬の作用メカニズムの研究に取り組んでいます。

お知らせ

  • 2020.10.19 研究成果がJournal of Natural Medicinesに掲載されました。
  • 2019.11.09 髙原助手が第58回日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会(香川)で発表しました。
  • 2019.08.17 岡村教授、髙山講師が第4回サイエンス漢方処方研究会サマーシンポジウム(東京)で講演しました。
  • 2019.03.24 髙山助教が第8回サイエンス漢方処方研究会シンポジウム(東京)で講演しました。
  • 2019.03.07 研究成果がScientific Reportsに掲載されました。(プレスリリース
 

研究内容

1.漢方薬と腸内微生物叢とのクロストークに関する研究

人体には数多くの微生物がヒトの細胞と共生しながら、私たちの生理機能をコントロールしています。特に大腸には約40兆個もの細菌が存在しており、これらの乱れが免疫系疾患や代謝性疾患など様々な疾病の要因に関わることが示唆されています。我々は、漢方薬・生薬成分の代謝に関わる腸内細菌など微生物が構成する腸内微生物叢により、漢方薬の効果を示す人(レスポンダー)と効果を示さない人(ノンレスポンダー)を決定づけていると仮説を立て、研究を進めています。漢方薬の効果は、漢方薬・生薬成分が腸内微生物により代謝変換されるだけではなく、腸内微生物叢も整える、すわわち、漢方薬と腸内微生物叢のクロストークを介して発現していると考え、その解明に挑んでいます。

2.複合成分系薬物としての漢方薬の有用性の解明

漢方薬は、複数の生薬の組み合わせで処方が構成される複合成分系薬物であることから、個々の成分の意義やそれらの相互作用などを十分に考慮する必要があります。そのため、漢方薬を構成する生薬の主要成分のみで、漢方薬の本質や有用性を説明することは困難であると我々は考えています。これまでに、便秘症の治療に頻用される大黄甘草湯の主有効成分センノシドA(SA)の腸内代謝について、rhein 8-O-β-D-glucopyranoside(大黄)などのアントラキノン成分やリクイリチン(甘草)などのフラボノイド成分が代謝促進することで、大黄甘草湯の下剤活性を亢進することを解明し、複合成分系薬物である大黄甘草湯の有用性を解明しています。

3.腸内微生物代謝における薬物相互作用に関する研究

臨床現場において、漢方薬は単独で使用されることよりも、西洋薬と併用して使用されることが多いと報告されています。腸内微生物叢は、抗菌薬や経口血糖降下薬、胃酸分泌抑制薬などの服用により構成が変化することが知られていますが、それに伴う漢方薬・生薬成分の代謝変換への影響はほとんど明らかになっていません。我々は、実際に問題となる漢方薬と西洋薬の薬物相互作用について科学的に検証し、実臨床に活きるエビデンスを提供していきます。

 

研究業績
(Researchmapの研究者情報)

 

スタッフ
(教員紹介)

写真をクリックすると、「教員紹介」ページが表示されます。
髙山健人講師
髙原千穂助手