学部・学科・大学院

生物科学科

石塚 真太郎(いしづか しんたろう)

職 名 講師
学 位 博士(理学)
専門分野 動物生態学、動物行動学、分子生態学
担当科目 保全生物学、生物多様性実習、生物観察実習、バイオ情報処理演習、生物学I
メッセージ 動物の生態を理解するためには、彼らの生息地でフィールドワークを行うことが必要です。フィールドワークには困難が伴うこともありますが、現場で動物と向き合い、もの言わぬ彼らの謎を紐解いた時の喜びはひとしおです。ぜひ動物の謎を解き明かすフィールドワークに出かけましょう。

動物の多様な行動を読み解く

野外の動物は実に多様な行動を見せてくれます。その行動の一つ一つには、自然界を生き抜くためのヒントが隠されています。そんな動物の行動に魅せられ、これまで主に霊長類の行動について研究してきました。例えばニホンザルが冬期に形成する猿団子の中では、立場の強いオスほど内側を陣取ることが多く、防寒に成功していることを明らかにしました。フィールドワークに基づき、さまざまな動物の行動の実態や機能を解き明かしています。

ニホンザルの猿団子

島に暮らす哺乳類の歴史を探る

日本の離島にはさまざまな陸生哺乳類が生息しています。彼らはどのようにして島に住み着くに至ったのでしょうか?地史上のイベントによって周辺の大陸から隔離された種もいれば、海を泳いで渡った種もいることでしょう。陸生哺乳類の島への侵入の経路や時期は、多様に異なるはずです。私は過去に香川県小豆島のニホンザルとニホンジカについて研究し、島への侵入の歴史が両種で大きく異なることを発見しました。このような研究を今後は瀬戸内全域に拡張し、島の哺乳類の多様な歴史について明らかにしたいと考えています。

小豆島のニホンジカ

瀬戸内の複雑な生態系を解き明かす

数多くの島が存在する瀬戸内には、それだけ多くの生態系が存在しています。その一方で、一部の動物にとっては島の間が往来可能であり、瀬戸内全域を一つの生態系を見なすこともできます。この二面性こそが、瀬戸内の生態研究の面白さだと考えています。私は瀬戸内の生態系を解き明かすべく、島の間を泳いで渡るイノシシに注目し、環境利用や食性などの生態調査を進めています。これらの研究を瀬戸内の里山・里海の保全に活かし、人と自然の共生につなげたいと考えています。

瀬戸内海を泳いで島間を渡ることがあるイノシシ

アフリカ熱帯林でボノボを追う

私は国内の哺乳類だけでなく野生のボノボも研究対象にしています。ボノボはチンパンジーとならんでヒトに遺伝的にもっとも近い動物であり、攻撃性の低い平和的な社会を形成する点で特徴的です。このようなボノボの平和的社会に興味を持ち、アフリカ(コンゴ民主共和国)の熱帯林まで行って研究を進めてきました。これまでの研究により、メスがさまざまな形で平和的社会の実現に寄与していることがわかってきました。ヒトに近い類人猿の研究は、私たちがどのように進化してきたかを知るための手がかりを与えてくれます。

アフリカの熱帯林に暮らすボノボ