【薬学部】特別講義「薬剤師の軌跡と未来」~Pharmacist Scientistを目指そう!

【薬学部】特別講義「薬剤師の軌跡と未来」~Pharmacist Scientistを目指そう!

2月26日、日本病院薬剤師会 会長の武田泰生先生をお招きし、「薬剤師の軌跡と未来-病院薬剤師の魅力と求められる職能-」についてご講演頂きました。さて、参加した4、5年生は、どのようなメッセージを受け止めたのでしょうか。ご講演内容と併せて、半田助教がご報告します(投稿は薬学部ブログメンバーの五郎丸です)。

 


第一部:医療の変遷における薬剤師の軌跡

武田先生のご講演で、時代によって求められる医療は変化し続けていること、求められる医療が実現できるように、厚生労働省が定める診療報酬、そして文部科学省が定める薬学教育モデル・コア・カリキュラムも変遷してきたことをあらためて認識しました。

薬学部のカリキュラムは、平成18年度より4年制から6年制になりました。6年制カリキュラムを修了した薬剤師が社会で活躍し始めた平成24年度、厚生労働省は新たな診療報酬の加算項目として薬剤師の病棟での薬剤関連業務を評価する「病棟薬剤業務実施加算」を加えました。

これは、「病棟薬剤師や歯科等を含むチーム医療の推進」の一環であり、

① 薬剤師に期待される職能は、調剤や薬物の管理を中心とした対物業務から、対人業務へとシフトし始めたこと
薬剤師が薬物治療に積極的に介入し、医師と協働することでより良い薬物治療を提供できると期待されていること

がわかります。

第二部:薬剤師の未来

少子高齢化が急速に進む日本の医療が大きく変化しようとしています。文部科学省が定める薬学教育モデル・コア・カリキュラムは、令和6年度に大きく改訂されます。さて、遠くない未来の薬剤師に期待されることとは何でしょう?

これからのチーム医療や地域医療における薬剤師の役割とは?

チーム医療において薬剤師が職能を発揮することは、よりよい薬物治療の提供に繋がります。がん薬物療法認定薬剤師、感染制御認定薬剤師に代表されるような認定・専門薬剤師は、特定の領域の十分な知識と技術をもつエキスパートであり、質の高い薬剤師業務を実践します。

また、チーム医療に参画し経験を積んだ病院薬剤師は、薬に関する高い専門性は勿論のこと、さまざまな疾患の病態といった薬に限定されない広い見識を備えます。広い見識をもつ薬剤師は地域医療において、患者さんには受診が必要か否かをトリアージ(選別)することができるでしょう。在宅医療が増えると見込まれる地域医療において、薬局薬剤師もまた病院薬剤師同様に高い専門性と広い見識が求められるようになります。

武田先生からのエール~Pharmacist Scientistを目指そう!

チーム医療、地域医療における薬剤師が果たす役割は、対人業務がますます中心になると予想されます。より良い薬物治療を患者さんに提供するためには、薬剤師は薬のエキスパートとして専門性を高め続けること、さらに見識を広げることが求められます。

武田先生からは、「生涯に渡り、積極的にキャリア形成を行って欲しい、そして研究を通して問題発見能力と問題解決能力を身に付けて欲しい。ぜひ、薬剤師も学位取得を目指し、科学者としてのセンスや専門性を究めるPharmacist Scientistを目指してください!」との熱いエールをいただきました。

武田先生の熱いエールに学生は何を思うか

―間もなく病院・薬局実務実習に臨む4年生の感想―

<K.Tさん>
今以上に変化が絶えない世の中になるということを聞き、単に目の前のことに励むのではなく、変化を素直に受け入れる対応力をもち、将来へ遠い目を向けることを意識し今後の生活を送っていきたい。
また、今回の公演で印象に残ったことに、キャリア形成の目的があります。「キャリア形成は自分のスキルアップのため」という考えがありましたが、「キャリア形成は患者さんの役に立つため」ということを聞きとても衝撃を受けました。スキルアップには少し抵抗がありましたが、患者さんのために積極的にキャリア形成をしたいと考えるようになりました。

<K.R.さん>
時代に合わせて、薬剤師に求められる職能が変化していることが分かりました。この変化に対応できるように実習中に、様々な情報を収集し、技術を身につけたいと感じました。将来の進路はまだ決めていませんが、薬剤師にしかできないことをしたいと思いました。

<K.K.さん>
薬剤師の業務が対物から対人へと変化している世の中で、臨床の薬剤師の現状を実際に見て、薬剤師にしかできないことを自分なりに見つけ、考えながら、行動していきたい。そして、問題を抽出する力や、解決策を見出す力を身につけたいと思います。

―病院・薬局実務実習を終え、就職活動中の5年生の感想―

<N.A.君>
将来のビジョンがとても広がりました。病院で高度な知識を身につけ、薬局に還元するということが印象に残っています。私が実習に行かせて頂いた薬局では、取り扱いの難しい医薬品の調剤はありませんでした。しかし、これから先は、薬局もより細分化した知識が求められることを知りました。そのため、病院でより専門的な知識を学び、抗がん剤などに特化した薬局でその技能を生かして行きたいと感じました。

講演を振り返り決意を新たに!

武田先生には、「薬剤師の軌跡と未来」について、大学における薬学教育との関係も含め、たいへん分かり易くご講演いただきました。未来の医療を担う薬剤師として活躍すべく、決意を新たにした学生も多いことでしょう。

この春に改訂される薬学教育モデル・コア・カリキュラムには、未来の薬剤師に必要な職能と直結する内容が盛り込まれること、課題研究は学生の皆さんが生涯に渡り研鑽を重ねる姿勢や、問題発見能力および解決能力を養うための重要なカリキュラムのひとつであることを再認識いたしました。

将来、福山大学薬学部生のひとりひとりが、変化し続ける医療の世界において臆することなく存分に活躍し羽ばたき続けられるよう、薬学部一丸となりサポートしていきます!

 

学長から一言:日本病院薬剤師会 会長の武田泰生先生をお招きして実施した薬学部の特別講義は、薬剤師という職業の今までと未来に関する充実したものだったようです。受講した学生諸君は大いに刺激を受けたことでしょう。武田先生のご教示を胸に刻んで、本学薬学部からたくさんの優秀な薬剤師が巣立っていくことを祈ります。

 

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