【薬学研究科】博士学位論文公聴会で発表!
2月16日に2023年度薬学研究科博士学位論文公聴会が開催されました。このことについて、薬学研究科長の今教授から報告がありました(投稿は薬学部ブログメンバーの五郎丸です)。
ポスター
発表者は山口史明氏です。学位論文タイトルは、チロシンモチーフを有するリソソーム膜糖タンパク質LAMP-1とLAMP-2アイソフォームの細胞内局在化に関する研究です。難しそうなタイトルです。内容は、細胞内外成分の分解機能を中心的に担う細胞小器官であるリソソームの膜上に発現するLAMP-1とLAMP-2に着目した研究であり、特にLAMP-2では結合する分子との強度によりLAMP-2の発現部位が変わるという非常に興味深い知見を見出しました。これらの研究は、難病に指定されているライソゾーム病の酵素補充療法の適応拡大への知見として、LAMPファミリーのLAMP-2Aが利用できる可能性を初めて見出した結果であり、本成果はこれら疾患の新たな治療薬研究に応用されることが期待できます。
公聴会では、山口氏が博士課程において筆頭著者として報告した国際学術論文2報を中心に説明されました。発表後には活発な質疑応答がなされました。
発表が終わった山口氏からコメントを頂きました。「多くの先生方のご指導とご助力により博士(薬学)の学位を取得でき、大変うれしく思うとともに深く感謝しております。学位取得を新たなスタートとして、今後も臨床薬学に精進していきます。」
指導教員である赤﨑健司教授と本博士論文主査である道原明宏教授からもコメントを頂戴しました。
赤﨑教授から:「山口史明氏の学位論文が薬学研究科の審査に合格して、晴れて博士(薬学)の学位が取得できました。新型コロナウイルスの流行で、たびたび研究が中断する中、粘り強く実験を続け、重要な結果を出すことができました。上述のような価値ある内容の論文と評価され、嬉しく思っています。」。
道原教授から:「30年前、赤﨑教授の指導の下、先輩、私、後輩の大学院生が行っていた研究がさらに発展し、新知見が得られたこと、大変うれしく思います。山口さんが就職している福山記念病院の西塚医療技術部長兼薬剤科長とは論文を共同で執筆した間柄でもあり、今後も就職先に顔を出すかもしれませんが、その時は、病院薬剤師としての課題等をお聞かせください。また、福山大学博士(薬学)の名に恥じぬよう、臨床における多くの課題をバッタバッタと解決し、論文として2~3年に1編以上、報告していただきたいと思います。論文が書ける薬剤師として、今後の活躍を期待しています。」
山口氏には、本研究での経験を活かしてこれからも地域の医療に貢献し続ける薬剤師になることを期待します。
左より赤﨑教授、山口氏、坂根准教授
学長から一言:独創的な研究で本学の薬学研究科から論文博士号を授与されることになった山口史明氏に心からお慶びを申し上げます。薬剤師としての職務に携わる傍ら、研究を続けるのは並大抵のご苦労ではなかったでしょう。研究内容については、門外漢には理解を越えていますが、難病治療のための特効薬開発の手掛かりになるものと聞いて、その価値を推測しました。さらなる研究の展開に期待いたします。