【海洋生物科学科】広島県の湯﨑知事に成果報告してきました 〜福山大学が技術開発、ブランド化した養殖シロギス「びんごの姫」が流通します〜
福山大学が技術開発した養殖シロギス「びんごの姫」を商標登録し、2023年の秋には市場に流通する予定であることを、以前にこのブログでお知らせしました。この度、初出荷することが正式に決まり、これまでの経緯と今後の計画を広島県の湯﨑知事に報告してきました。その様子を海洋生物科学科教授の有瀧が紹介します。(掲載は、海洋生物科学科学長室ブログ委員の阪本が担当)。
「びんごの姫」の初出荷
商標登録された福山大学ブランド「びんごの姫」が、おかげさまでこの度、11月18日に初出荷することが正式に決定しました。また、大塚学長と、実証化に取り組んでいただいている(株)クラハシの関係者に加え、福山市の枝広市長にもお声がけさせていただき、これまでの経緯と今後の計画を広島県の湯﨑知事に報告してきました。さらに、湯﨑知事には「びんごの姫」と天然魚を食べくらべていただきました。
シロギスの養殖技術開発の開花
シロギスの養殖技術開発に取り組んだのが2015年。数々の課題を一つ一つ解決し、基礎的な技術を確立した上で(株)クラハシに移転し、沖縄伊平屋島での実証化をスタートしたのが2018年のことです。その後、広島県や福山市のサポートも受けながら足掛け9年、量産への着手から5年の時間をかけて積み上げてきた、教育・研究の成果がようやく花開くことになりました。産官学が連携して、シロギスの親−卵−子供−成魚のサイクルを人工環境下で完結させる完全養殖を数万尾以上の量産規模で成功させたことは世界初です。加えて、それを初出荷するという一大イベントが目の前に迫ってきたため、ぜひお膝元広島県の湯﨑知事に報告したいと申し入れたところ、快諾いただき成果報告をさせてもらえることになりました。また、心強いことに、つい先日因島キャンパスでシロギス養殖の視察をしていただいた枝広市長がご同席くださいました。面会は11月2日、14時から15分の限られた時間ですが、お話だけではなく、「びんごの姫」と天然魚の食べくらべを知事にしていただき、食レポまでもらうというちょっと欲張りな企画まで予定されました。さて、その結果はどうであったか・・・。
「びんごの姫」の紹介と試食
当日は、お昼過ぎに我々が広島県庁に集合して会場に向かうと、広報や研究開発、産学連携担当の県職員の方々が大勢揃っておられ、「ああ、いよいよ知事にお会いするんだなぁ」という実感が湧いてきました。
また、続々とテレビや新聞など多数のマスコミ各社が詰めかけ、かなり熱気の溢れた雰囲気になってきました。
予定通り、14時前に枝広市長が、14時過ぎに湯﨑知事が入ってこられ、まずは(株)クラハシの天野社長からこれまでの経緯や初出荷の予定、「びんごの姫」の特徴などの説明がありました。続いて福山大学から、シロギスを取り上げ技術開発に至った経緯や民間への技術移転の顛末などを私、有瀧がお話ししました。さらに枝広市長からは、備後地域の新たなブランドとして養殖シロギスが大いに注目を集めることへの期待を表明していただきました。これらを承けて、知事からは産官学連携での技術開発に加え、市場への流通までに至った成果を高く評価する言葉をかけてもらいました。
成果報告の後は、湯﨑知事の試食と食レポです。知事はまず天然魚の塩焼きや刺身、天ぷらを口にされた後、「びんごの姫」の料理に手を伸ばされました。それぞれの品をゆっくりと噛み締め、召し上がられた後に「びんごの姫の方が脂のノリがいいですね」、「それと火を入れた塩焼きと天ぷらは特にふっくらした食感が感じられます」、「天ぷらはその特徴が強く、明らかに養殖の方がおいしいと思います」と食通レポーターばりの感想を語られました。
その間、カメラのフラッシュ、メモを取る記者の方々、T Vカメラの照明などが交錯して、「おお!どこかで見た取材会見そのものだ!!」と少し興奮しながらその場の雰囲気を楽しませてもらいました。知事は試食の後、予定の時間をオーバーして我々と歓談されるなど、少なからず、「びんごの姫」とその取り組みに興味を持っていただいたと感じております。
知事が会場から退出された後、我々はマスコミ各社の「囲み取材」を受け、少し詳しく「びんごの姫」についてお話しするとともに、産官学連携こそがこの取り組みを効率的かつ効果的に進展させてきたエンジンであり、大きな成果につながっていることなどを説明しました。最後に、華やかなこの場には立っていませんが、多くの学生たちが足掛け9年間の年月の中で積み上げてきた地道な努力が「びんごの姫」という素晴らしいブランドを生み育てたことを報告して会場を後にしました。
シロギス養殖の技術開発は、これからも・・・
湯﨑知事への成果報告、そして11月18日の初出荷を経て、福山大学が進めてきたシロギス養殖の技術開発は一つの大きな節目を迎えることになります。ただ、技術開発に終わりはありません。これからも、まだまだ大きな課題が生じてくることは間違いありません。この先も学生たちとともにその課題に立ち向かい、得られた成果の実証現場へのフィードバックが継続していくはずです。成果を社会へ、揺るぎなく前進していきます!!
学長から一言:本学の内海生物資源研究所が確立したシロギスの完全養殖技術と大きく「テッポウギス」のサイズに育ち初出荷を控えたシロギスとを携えて湯崎広島県知事にご報告する機会を得ました。本事業に関心を持ってご支持いただいている枝広福山市長もご臨席くださり、実に晴れがましい催しになりました。同日夕方のテレビ各局の番組で、この報告会が大きく取り上げられたことも喜ばしいことでした。