【スマートシステム学科】里山里海PJのカメラは海底へ!

【スマートシステム学科】里山里海PJのカメラは海底へ!

8月24日のブログでも紹介しましたように、瀬戸内の里山・里海学が福山大学ブランディング推進のための研究プロジェクトとして展開中です。今回は、前回の続報としてスマートシステム学科の仲嶋教授や田中准教授から現地での実験レポートが届いていますので、工学部スマートシステム学科(フェイスブックはこちら)の伍賀が紹介します。


海底カメラの海中投入実験(1)

皆さんお待たせしました。海底カメラの「容器」が完成しました。 ・・・中身はどうしたかって?、それはこちらに置いてハコの完成です。喜んでください。今日のブログは、これを海に運んで沈めてみちゃったというスゴイ体験の報告です。完成した海底カメラの容器はこちらです。加工は地元の柏原機工さんにご協力いただきました。ありがとうございます!海底カメラ(容器)

ぱっちりしたおめめが2つ(ステレオカメラ)で見かけは意外とかわいい。でもすごいんです。何たって見かけによらず、とっても重いんです。小学生の高学年のお友達といい勝負できますね。さあ、早速海に行こう!!

・・・ってノリだったのですが、福山大学マリンバイオセンターの フジイ船長さんが渋い顔 なんですよね。「重すぎるから船の上に乗せられないので、船のへさきから海中に吊るして現場に行くよ」って。理由を聞くと、不安定な船の上で重いものを扱うのはとっても危険なことなので、仕方がないんですって。まあ、海に行けるんだからしょうがないね。ということで、機嫌を直して船着場に到着~~。

因島大橋が見える

現地は、しまなみ街道の雄大な因島大橋を前にしたマリンバイオセンターの前の海。のどかな瀬戸内海の風景、それに晴天で風も波もありません。晴れていても暑くないなんてすごくラッキー。それにもまして福山大学の爽風丸ってカッコいい船だね!!・・・と思っていたら、海底カメラの容器は船のヘサキに縛り付けられてしまったよ。海の中が見えるんじゃなかったの。なんでー??

 

へサキに装着される

出航、行ってきまーす。あっという間に現地到着。瞬間移動かよ。近かっただけだけど、船旅って感じではなかったのがちょっと残念。

しまなみ海道が見えて絶景ですな

実験開始直後、船長さんから不気味な言葉が。「ここは水深20m以上あるけど太いロープの長さは20mだっけ??」
聞いてませんけど、船長さん以前に10mぐらいとおっしゃっていませんか。ロープが細すぎるとかなんとかで、慌てて太いロープ20m買ったんですよ。事務の方から睨まれてもひたすら耐えたんですけど。
船長さんも技官さんもこちらの不安をよそに「細いロープをつないで沈めればいいや」なんて、大丈夫なんでしょうか。スルスルと沈んでいくカメラ。ひたすらカメラ容器の無事を祈るのみ。

カメラ投入!そして海底へ・・・

一仕事終えて、なんかほっとしました。ちなみに、細いロープの端には黄色い浮き玉がついています。少しだけ他の実験をして現場を後にします。すぐに帰ってくるんだけどね。それまで無事であってほしい。近くを航行する大きい船に向かって、イタズラするんじゃないよって、ちょっと睨みつけてみます。本番の観測の時に使う計測機のチェックも行いました。以前のブログで紹介した流速計、その時は川での試運転だったけど、今回は海デビューです。

流速計をチェックする村上くん

午後から回収作業です。港から出ていいきます。ちょと風が出てきたみたいです。
現場到着して、すぐに浮き玉を引き上げる。なんて、船長さんたちにはお茶の子さいさいみたいです。さすが海の男たちって感心しているところで、細いロープがピンと張って本体が海底から引き揚げられようとするところになります。ある程度引き上げられたところで、調子の良かったウインチの動きが止まってしまったのです。ウインチに絡んだ細いロープがピーンと力一杯引っ張られています。やばいです。キレたら終わりかもしれません。20mの太いロープまで届かなければいけないんですけど。太いロープに細いロープをつなぐなんて物理の勉強を無視してました。ごめんなさい。あとで勉強し直しますから今回だけは法則無視、じゃなくても根性とか魔法でもいいですから助けてください。

そこに船長が立ち上がって細いロープを踏みつけると同時に、技官の方がウインチを勢いよく巻き上げる。ぐるっとウインチが回って太いローブの端がたぐり寄せられる。すごい!すごい!!感動です。こんな技があるなんて、あんたら何者。その後、無事に海底カメラは水面近くに引き上げられました。
ウインチの摩擦力が足りない部分を踏みつけた足の摩擦力で補うなんて、物理なんだけどすごい高等物理学を見せつけられました。でも、今度来るときには太いロープをより長くすると心に誓い合いました。こういうのはこころのキズナって言わないんでしょうか。
さて、帰りは海底カメラ「容器」は海の中に浸かったまま港へと進みます。少し向かい風のある中を進むには船の速度をぐーんと落とします。船長さんは1ノット、2ノットと速度計を読みながら慎重に前進させます。とてもゆったりして気持ちいい。これこそ船旅じゃない。この因島大橋の下も海上交通の要衝となっており、大型の船舶があちこちに見えます。行き交う船に向かって心の中から手を振りながら港へ向かいました。

 

お疲れ様。海底カメラ「容器」の陸揚げです。

乗船のときも大変でしたが、下ろすにも一苦労でした。船のヘサキをはしけの上に向けて接岸するというのはとても操船技量が必要だそうです。今回は船長さん以下大変ご苦労をおかけしました。次に乗せてもらえるときにはもっと手軽にできる方法を考えてきます。

海底カメラ「容器」の海中投入実験は無事終わりました。報告を読んでいただいた皆さん、大変ありがとうございました。

 無事に引き上げられました

えっ・・・?、「容器」の中身について何も書いてないじゃないって。そうですね。実は、今回は海底カメラの「容器」だけの耐水テストだったんです。海底の画像が見えると期待した皆さんすみません。科学技術の進歩は一歩ずつです。焦ってはいけません。事故だって起こるんですから。なんてね。

瀬戸内海の海底の映像を見たい人は以前のブログに上げた「海中ドローンの実験」を見てください。私たちも海底カメラの「容器」なんてもったいぶらずに「海底カメラの実験」を年内にご報告いたします。なにせ、中身は既にできあがっているのですから。

 

学長から一言:今回のブログは、何だかちょっと悪ぶってユーモラスに饒舌でしたが、おもーい容器の中がまだ入っていないって事で、照れてたのかな?!?何はともあれ、里海の海中探索のための装置が、あの手この手で出来てきて、これからが楽しみ~~!!!

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