【メディア・映像学科】新任教員を紹介します!
今年度、メディア・映像学科に着任した新任教員、洞ヶ瀬真人准教授から自己紹介が届きましたので、学長室ブログ担当の渡辺がお伝えします。
福山大のみなさん、はじめまして。今年度からメディア・映像学科に着任した洞ヶ瀬 真人(どうがせ まさと)と言います。よろしくお願いします。
まず、緑豊かな大学のキャンパスがあり、外へ出れば歴史と風情のある街並みが広がる。そして足を延ばせば、風光明媚な鞆の浦や尾道の港町がある。ここは、映像の担い手には絶好の場所ではないでしょうか。この素晴らしい環境のもとで、みなさんと一緒に学べることをとても嬉しく思います。
自分の経歴を話すのは、紆余曲折ばかりで少し気恥しいです。学部時代の専攻は経済学だったのですが、好きな映画のことが大学では研究になるらしいということを知り、映画史の研究から研究者の道に入りました。ですが映画という題材は、考えてゆくと、文学や芸術のようでありながら映画産業という経済活動に通じます。また、大ヒット映画ともなればとんでもない数の観客が一つの作品をみつめることになるので、社会や政治への影響力も計りしれません。そのため研究を進めると、学部時代の経済の知識が生きるとともに、メディアや社会学、ポップカルチャー研究、ひいては映像を扱う人間や撮影対象となる世界の根本を考える哲学のようなことまで新たに学んでゆくことになりました。また、日本の映画を研究していたのにもかかわらず、映画・映像は国境を越えて世界中で見られるため、そうした世界のなかの日本映画を考えるために留学させてもらったりもしています。自分ではあまり意識していなかったのですが、こうした領域横断的な研究活動が、とくに海外では高く評価されるということを後から知りました。ときには回り道も悪くないのかもしれません。
留学時には、3.11の震災の日を海外でむかえるという経験をしました。津波や原発の映像がテレビ画面を覆い尽くす勢いで海外まで押し寄せました。その場にいなかったからこそ感じた心配や恐怖感は未だに忘れられません。このあたりから学術全般で社会性が求められようになり、その時体験したことも影響して、自分の研究もただ映像作品を考えるだけのものから社会の実問題につながる内容へと変わってゆきました。今は、世界に先駆けた日本の環境問題である公害のなかで、ドキュメンタリーなどの映像表現が果たした意義を考える研究をしています。風光明媚な瀬戸内海も、歴史を振り返ると公害の現場だった過去があるため、それを映像記録がどう捉えてきたのかに注目しています。もちろん映画ファンとしては、ここが小津安二郎の『東京物語』や大林宣彦作品などを生み出した映画の聖地であるということも見逃せません。尾道散策をするのが楽しみです。
学長から一言:洞ヶ瀬真人准教授、福山大学へようこそ! 「紆余曲折の経歴」などと、ご謙遜を! ちょっとやそっとでは経験できない道をたどって、それらが映画・映像やメディア研究の血となり肉となっているのでしょう。豊富多彩な経験を以て、メディア・映像学科に新風を吹き込んで下さい。期待しています。