【人間科学研究科】2022年度医療福祉・心理セミナーを開催しました!
心理学は産業の世界にも活かされていることを、皆さんはご存じですか?
本日は、産業の中で活かされる心理学をテーマに、開催された今年度の医療福祉・心理セミナーについて、心理学科の金平希講師からの報告をお届けします(投稿は学長室ブログメンバーの大杉です)。
こんにちは、心理学科の金平です。
2022年度医療福祉・心理セミナーが、2022年11月24日(木)に開催されました(昨年の様子はこちら)。
医療福祉・心理セミナーは、心理学に関連した現場で必要とされる知識やスキルについて、様々な職種の方からお話を伺う機会を提供するセミナーです。学生が将来の進路を具体的にイメージすること、そして学修への動機づけを高めながら、よりよい学びを深めていくことができるよう、人間科学研究科主催で毎年開催しています。
今年は、マツダ株式会社の車両開発本部車両実研部、クラフトマンシップ開発グループ主幹エンジニアである久保賢太先生を講師にお招きしました。
久保先生には、産業領域で心理学がどのように活かされているのかを「心理学を活かした自動車開発-心理学で食べていくには?-」というテーマでご講演いただきました。本日はその様子をご報告いたします。
<講演会開始の様子>
最初に「心理学者の挫折と苦労」について、久保先生ご自身の経験から、社会が抱く心理学のありようのずれ(人の心が読める?脳科学?等)や、心理学を職に結び付けることの難しさをお話しいただきました。
久保先生はもともと学生時代にポリグラフ検査について研究されており、科学捜査研究所に就職を希望されていた時期や大学教員を目指されていた時期もあったそうです。
<左が平伸二研究科長、右が久保賢太先生です。実は久保先生は広島修道大学がご出身で、平研究科長の後輩にあたります。)>
次に「心理学を活かした自動車開発」についてお話しいただきました。
感性をモノづくり(企画・開発行為)にどう生かしていけばいいのかについて、感性を心理学における感情や情動として定義し、実際のものづくりに生かしていった過程を自動車の開発を題材に説明していただきました。
具体的には、人間の感覚、感情、社会認知の特性を感性の要素としてとらえ、自動車が備えるべき物理特性(スイッチの操作や室内照明、インテリア、ミラーの開閉など)に落とし込んでいった多くの事例を紹介していただきました。
<数社の自動車のスイッチを比べる装置>
視覚や触覚などの感覚器官に関する実験もたくさんご紹介いただいたので、心理学の知見がどのようにものづくりにいかされているのかイメージしやすかったです。
久保先生は、実際に数百ものスイッチを押した時の生理指標を測定し、人が心地よく元気になると感じる(Lively Feeling)スイッチの触感について、追及したそうです。
<講演のまとめの様子>
心理専門職と言えばカウンセラーのイメージが強いと思いますが、最新のモノづくりの現場にも心理学が様々な形で活かされているということを知ることができ、これから心理専門職を目指す学生の視野も広がったのではないでしょうか。
実は私(大杉)も、久保先生とはある種の盟友でして、今回のセミナーを心から楽しんだ1人です。苦労話も含め、現在のご活躍を伺えたことは、私にとっても、そして目を輝かせながら聴いていた学生たちにとっても、大きな刺激と希望となったと思います。
産業界でも活かせる心理学。高校生の皆さんも、一緒に学んでみませんか?
学長から一言:人が使う商品や技術ですから、自動車開発でも人の気持ちや関心にピッタリのものを追究すべきであることはよく分かります。そこで人の心や気持ちの奥深いところを探る学問である心理学の出番。もともと心理学がご専門である今回のセミナー講師の実践経験を踏まえたお話はズシンと参加者の心に響いたことでしょう。