【薬学部】日本認知症ケア学会において薬学部教員が石﨑賞を受賞!
6月18日(土)から10月31日(月)までの期間、日本認知症ケア学会第23回大会がWEB配信で開催されました。大会終了後、優秀な演題発表者に贈られる「石﨑賞」の選考が行われ、12月7日(水)に日本認知症ケア学会事務センターから「石﨑賞」受賞のお知らせが、薬学部の道原明宏教授のもとへ届きましたので、同じ研究室所属(病態生理・ゲノム機能学研究室)の松岡が報告します。
一般社団法人日本認知症ケア学会は、28,408人の学会員(施設・団体会員121施設含む)と、35,461人の専門士(上級専門士1,011人含む)を擁する大きな学会です(2018年10月時点)。
「石﨑賞」とは、一般社団法人日本認知症ケア学会大会において優秀な演題発表をした者に対して贈られる賞です。故・ 石﨑寛氏よりの浄財を基に平成13年度から設定されました。石﨑賞の選考は、大会時に各セッションの座長が各発表演題に対して、その発表の内容に関する独創性(他にない独創的な視点で認知症ケア実践、あるいは認知症に関する研究を行い、大変興味深い結果を示したもの)、有用性(認知症ケアの実践、あるいは研究活動にとって、その方法や結果が大変参考となり有用性が高いもの)、発展性(重要な視点で認知症ケアをとらえていることから、将来の認知症ケアの実践、あるいは研究の発展に寄与することが期待されるもの)を1~10点で点数評価し、上位の演題に対して授与される賞です。
以下のセッションにおいて発表された優秀な演題に「石﨑賞」が授与されました。
行動・心理症状(BPSD)、 若年性認知症、 グループホーム、 地域ケア・サービス、 デイサービス・デイケア、 合併症・身体ケア、 家族、 介護スタッフ、 療法、 施設ケア、 ターミナル、 虐待対応・予防(権利擁護)、 認知症予防、 組織運営・経営、 生活環境・まちづくり、 教育・研修、 QOL・生活支援、 アセスメント・スケール開発
本大会では、WEB発表148演題、誌上発表54演題がプログラム抄録集に掲載されました。石﨑賞の選考演題としてのエントリーは、WEB発表が必須となっています。道原教授は「教育・研修」のセッションでWEB発表されました。
演題名:介護学生に対するグループホームのアンケート調査とテスト連動型動画講義の有効性 -介護福祉施設の概要を理解するための動画教材づくり-
薬学生と教員が協働で作成した認知症グループホームに関する動画講義は、薬学生だけでなく、介護学生に対しても授業・補講の教材として効果的に利用できることを示しました。また、動画の中で多職種連携の意義、介護学生と薬学生の親睦がこれからの介護・医療にとって重要であることを述べています。
今後の活動として、福祉関係に対する動画講義をさらに作成し、理解を深めた薬学生が介護専門学校に赴き、テスト連動型動画講義を行うことで介護学生の知識向上の一役を担うと共に、親睦のきっかけとして動画を利用し、相互理解に活用していきたいことも述べられていました。
認知症グループホームの動画講義に関する論文については、2021年6月に掲載されています。
■ Michihara A*, Sueda A(卒業生), Watanabe M(卒業生), Toyota A(卒業生), Koga Y(卒業生), Iwai S(ケアマネジャー), The understanding of “group home” in pharmacy students, and the impact of test-linked video lectures: a survey. Jpn. J. Soc. Pharm. 40(1): 43-49 (2021).
今回の発表内容を含む論文については、2023年1月に掲載が決まっています。
■ Yoshioka R(在学生), Michihara A*, Questionnaire Survey on “Group Homes” for Long-Term Care Students and Improvement of Understanding through Test-Linked Video Lectures. Jpn. Health Med. Associ. 31(4): in press (2023).
この日本認知症ケア学会において、道原教授は初めての発表で受賞、とても素晴らしいですね!今後の展開がますます期待されます!
12月13日に、この吉報をもって井上敦子薬学部長と共に、大塚学長を訪問しました。
本受賞演題の発表内容や、多職種連携の意義、介護学生と薬学生の親睦が、これからの介護・医療にとって重要であることなどを報告しました。また、地域連携と教育の一環として、学生と共に2017年から参画してきた認知症カフェを発展させてきたことが、本受賞につながったことも報告しました。
さらに、鶴田副学長も訪問しました。
薬学部教授でもある鶴田副学長には、本受賞演題の発表内容やこれまでの活動の経緯などを報告しました。また、これらの活動を通じて、共同発表者の吉岡俊明さん(広島県介護福祉士会会長)が末田有土さん(卒業生で病院薬剤師勤務)の優秀さを評価してくださり、今後はトリニティカレッジ広島医療福祉専門学校の外部講師として薬剤に関する授業を末田さんに依頼するとの連絡が道原教授に届いたそうです。このように学生の在学時の活動内容が評価され、卒業後も活躍の場を広げる一助となったことに、教員として大変うれしく思います。
道原教授から一言:
このような賞をいただき、大変うれしく思っております。今回の賞は研究室の教員、学生たち、特に卒業生の末田有土さん、渡部美波さん、6年生の吉岡利紗さん、広島県介護福祉士会会長であり「トリニティカレッジ広島医療福祉専門学校の介護福祉学科長」の吉岡俊昭氏、「尾道さつき会、星の里・にしざこの家」の岩井祥氏(ケアマネジャー資格取得者)のご尽力・ご助言があってこそ、いただけた賞だと痛感しております。今後も薬学教育の一貫として多職種連携にスポットを当て、地域貢献できる人材の育成に貢献していく所存であります。これからも微力な私にご尽力いただけますよう、学生の皆様、よろしくお願いいたします。
来年度からは、本職である基礎研究にも力を注ぎ、研究室所属教員、同階のフロアー教員、学部内外の共同研究者と共に「カメの歩み」のごとく、頑張っていく所存です。お力添えの程、よろしくお願いいたします。
「認知症カフェ、認知症グループホーム」を題材とした道原教授のこれまでの論文について、以下に示します。興味のある方は、一読いただければ幸いです。
■ Yoshioka R*(在学生), Hamashima T(卒業生), Watanabe M(卒業生), Tagawa M(薬剤師), Michihara A, コロナ禍における対面式認知症カフェ再開に向けた取り組み. 認知症ケア事例ジャーナル 14(2): 155-159 (2021).
■ Sueda A*(卒業生), Iwai S(ケアマネジャー), Michihara A, 介護施設が行う祭りの意義から薬剤師の役割を考える. 認知症ケア事例ジャーナル 13(4): 304-307 (2021).
■ Miya K(卒業生), Sunami Y(卒業生), Michihara A*, Validity of Test-linked Lecture on Disease Prevention by Pharmacy Students for Dementia Café Visitors and Evaluation of Continued Comprehension Degree. Jpn. J. Soc. Pharm. 39(1): 23-29 (2020).
■ Miya K*(卒業生), Sunami Y(卒業生), Tamura A(卒業生), Uchino Y(卒業生), Michihara A, 薬学生による認知症カフェを利用した地域包括支援活動の実践. 認知症ケア事例ジャーナル 11(4): 296-299 (2019).
過去の学長室ブログ(2021年12月23日)でも、認知症カフェの活動の様子が紹介されていますので、ご覧ください!
道原教授の社会貢献活動、とても素晴らしいですね!大学時代に何か新たな活動がしたいけど、その一歩が踏み出せない学生の皆さん、道原教授に相談してみてはいかがですか?きっと学生の皆さんの話を親身になって受け止めた上で、熱心なアドバイスがもらえることと思います。
道原教授の熱い想い、君に届け!
学長から一言:道原教授、日本認知症ケア学会の「石﨑賞」受賞、おめでとうございます! 日頃から熱心な学生指導で定評のある教授が、学生のボランティア活動である「認知症カフェ」の運営にも深く関わり、地域の方々から感謝されていることは、これまでにも学長室ブログで何度か取り上げて来ました。おそらくそうした実践も踏まえた研究発表が専門学会で高く評価されたことは、実に喜ばしいことです。引き続きの活躍を祈ります!