【社会連携センター】共同研究機会を求め川崎医科大学学術集会で発表!
第13回川﨑医科大学学術集会が、7月30日(土)に同大の現代医学教育博物館で開催されました。この学術集会は、種々の共同研究実施の可能性探索の契機ともなることから、福山大学は2015年から参加し、今回が8回目の参加となります。この学術集会に参加したことによって教員間の交流が始まり、共同研究協定の締結や特許出願などに結びついています。集会の様子について、学長室ブログメンバーで社会連携センターの中村が報告します。
今回の学術集会は、新型コロナウイルス感染症対策を十分に講じた上での開催となりました。
感染防止のため、川崎医科大学教員関係の126題のポスター発表は中止され、抄録集での発表となっていました。対面での発表は川崎医科大学以外の大学等が中心となって行われ、次のように、発表演題数は口頭発表の8題とポスター発表の8題でした。
・福山大学:口頭発表1題、ポスター発表3題
・川崎医科大学:口頭発表6題
・川崎医療福祉大学:口頭発表1題、ポスター発表3題
・岡山県立大学:ポスター発表2題
福山大学からの発表者は、薬学部薬学科の大西正俊准教授、白川 真講師、中村徹也講師の3名でした。
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集会は、川崎医科大学の柏原副学長の司会により、川崎医科大学の福永学長の挨拶で始まりました。続いて、8題の口頭発表が3回に分けて行われました。
下の写真は、本学の白川講師による口頭発表の模様です。座席間隔を大きく空けて聴講する形式で、入場制限も行われていましたので、少し閑散とした雰囲気となっています。また、口頭発表者の前面には、飛沫感染防止のためにアクリル板も置かれ、仕切られています。
本学から参加してポスター発表した3名の様子を紹介します。ポスター掲示も3密を避けた形式のために、ポスターとポスターの間隔はかなり開いています。
大西准教授は、レモングラスの香りの成分について発表しました。アロマセラピーなどで用いられるレモングラスには、シトラールという成分が主に含まれています。シトラールは食べると抗酸化効果を発揮することが明らかになった一方で、その香りはマウスにとって不快であることが示唆されました。レモングラスは、アロマオイルや健康食品としてだけでなく、害獣除けとしても応用できるかもしれません。
白川講師は、2020年に保険適応になったばかりのがん治療法であるホウ素中性子捕捉療法(BNCT)について発表しました。BNCTとは中性子とホウ素の非放射性同位体(10B)の核反応を利用した治療法で、副作用が極めて少なく、処置後の生活の質(QOL)が高いことが知られています。白川講師がこれまでに特許を取得した5つの候補薬剤は、どれもマウスを用いた実験で優れた抗腫瘍効果が得られており、早期の臨床応用が期待されます。
中村講師は、薬物を目的とする部位へ正確に送達することについて発表しました。薬物は、溶解性や電荷などの性質に従い、体の中を移動して最終的に体から消失します。治療を必要とする目的部位に届くと治療効果が生み出され、望ましくない部位では副作用を引き起こします。抗がん剤は正常な細胞まで攻撃してしまうので、がん細胞に多く発現している受容体を標的とする工夫を行ったところ、がん細胞を選択的に攻撃する製剤の開発が可能となりました。
今回、発表した教員と関係教員の集合写真です。皆さん、お疲れ様でした。
右から中村徹也講師、大西正俊准教授、白川 真講師、道原明宏教授、中村雅樹助教です。
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福山大学社会連携センターは、これからも他大学との研究交流や共同研究の更なる進展を目指して活動してまいります。今回の川崎医科大学学術集会への参加を通じて、研究交流の深化、新たな研究アイデアの発見、共同研究の実施へと繋がることを願っています。
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学術集会関係の過去のブログを紹介します!併せて、特別セッションとポスターセッションの発表者も列挙します(役職は当時のものです)。
口頭発表:町支 臣成教授
ポスター掲示:橋本 優花里教授、仲嶋 一教授、沖 俊任准教授、井ノ内 直良教授、上敷領 淳准教授
(2016年8月9日)吉備地域での産学官連携の取り組み 知的財産活用の学術集会で発表!
口頭発表:町支 臣成教授
ポスター掲示:仲嶋 一教授、中道 上准教授、中東 潤准教授、今 重之教授
(2017年8月10日)ハプニングに負けず川崎医科大学の学術集会の発表を無事終了!
口頭発表:前原 昭次講師
ポスター掲示:白川 真講師、松岡 浩史講師、柴田 紗知助教
(2018年8月6日)透析患者さんの透析中のQOLを高める!
ポスター掲示:中道 上准教授、井ノ内 直良教授、山下 純准教授、大西 正俊講師、木平 孝高講師
(2019年8月7日)川崎医科大学の学術集会で大学院生も発表!
ポスター掲示:瀬尾 誠講師、髙山 健人講師、番匠谷 研吾助手、志摩 亜季保助手
(2020年8月4日)コロナ禍でも川崎医科大学の学術集会で発表!
口頭発表:小川 祥二郎准教授
ポスター掲示:佐藤 雄己教授、小川 祥二郎准教授、本田真知子助手
(2021年8月17日)3密を避けて川崎医科大学の学術集会で発表!
口頭発表:上敷領准教授
ポスター掲示:上敷領准教授、松岡准教授、木平准教授
学長から一言:コロナ禍にめげることなく開催された川﨑医科大学主催の学術集会に参加の本学関係者の皆様、お疲れ様でした。研究成果の発表や参加を通じて、学術研究の新たな地平が拓けたでしょうか。他流試合により、学内では気づかなかった知恵やアイデアに触れ、さらに斬新な研究や協同への展開が生まれることを期待しています。