【生物工学科】『哺乳類学』刊行!
新しい『哺乳類学』の教科書が東京大学出版会から刊行されました。わたくし生物工学科の佐藤が第I部の『進化』を担当しましたので、紹介させていただきます。
第I部 第1章では、化石の記録やDNAの分析からわかってきた哺乳類の起源と進化について解説しました。第2章では、進化のメカニズムと、哺乳類の毛の色や味覚に関わる遺伝子の進化に関する研究事例を紹介しました。その中では、アザラシやアシカの味覚の遺伝子が退化しているという最近明らかにした成果についても詳しく説明しております。第3章では、DNAの分析からわかってきた日本の哺乳類の起源を議論しました。日本の哺乳類はいつ、どこからやってきたのでしょうか?そして第4章では、この20年におけるDNA分析技術と進化解析における革新的発展を解説し、20年後の進化哺乳類学の未来を展望しました。本学にも導入されている次世代シークエンサーを使った研究事例を紹介しております。哺乳類の進化生物学を志す学生の皆さんには、ぜひ読んでいただきたいです。福山大学附属図書館に1冊寄贈しましたので、ご利用いただければ幸いです。
その他の部では、形態(第II部)、生態(第III部)、保全(第IV部)がテーマです。一冊を通して、最新の哺乳類学が学べる教科書になっています。生物多様性の損失が著しい人新世、その解決のためには生物多様性の成り立ちと現状、そして保全についての知識の習得が欠かせません。その点でこの本が持つ役割は大きいと考えています。
以下、東京大学出版会のサイトにおける内容紹介と目次になります。
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内容紹介
主要目次
第I部 進化(佐藤 淳)
第 1 章 起源と進化
第 2 章 分子進化
第 3 章 日本の哺乳類
第 4 章 テクノロジーと進化哺乳類学
第II部 形態(佐々木基樹)
第 5 章 外部形態と骨格
第 6 章 生命維持器官
第 7 章 泌尿生殖器
第 8 章 形態適応
第III部 生態(小池伸介)
第 9 章 採食
第10章 生息地
第11章 個体群
第12章 群集
第IV部 保全(江成広斗)
第13章 科学と規範としての保全
第14章 外来種の管理
第15章 絶滅危惧種の保全
第16章 普通種の保全
終 章 これからの哺乳類学(小池伸介)
あとがき(小池伸介)
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学長から一言:生物工学科の佐藤淳教授も執筆陣に加わった新刊書『哺乳類学』の上梓をお慶びいたします。きっとこの分野の最新の学術的発見や研究成果がぎっしり詰まっていることでしょう。本学の関連科目の授業の中で活用されるなら、受講生の皆さんの知識が大きく拡がること間違いなしですね。